乾燥地研究センターは鳥取砂丘の西側に位置し、1958年に設置された農学部附属砂丘利用研究施設を前身としています。砂丘研究で得られた知恵と技術を国際的な問題に応用するため、1990年、乾燥地研究センターに名称を改め、同時に全国共同利用施設になりました。現在は、「乾燥地科学」の共同利用・共同研究拠点として、国内外の研究者コミュニティーのハブとなっています。約1平方キロの敷地内には、乾燥地環境再現チャンバー、大型温室、ユニークな分析機器、砂丘砂圃場、降雨遮蔽圃場、海浜植物生態系保護区域、乾燥地植物資源バンク、研究成果展示室等があります。2022年度より砂漠化対処領域、乾燥地農業領域に加え、気候変動対応領域を設置し、全学組織である国際乾燥地研究教育機構と強い連携をとりながら、気候変動時代の乾燥地科学の研究を推進しています。
地球温暖化は降水量や気温の極端化を起こし、世界中で干ばつ、洪水、熱波、寒波が発生しています。乾燥地研究センターはスーダン農業研究機構と25年以上の学術交流協定の中で国際共同研究を行ってきました。スーダンは全土が乾燥地で中北部はナイル川の水を利用した灌漑農業、南部は天水農業を行っていますが、今後、地球温暖化の負の影響が最も強く現れると予想される地域の中にあります。特に、コムギは高温に弱いため、十分な生産ができません。そこで、本センターでは、野生種の種内変異をコムギの遺伝的背景に導入した多様性集団を作り、その中からスーダンの環境に適する遺伝子型を選抜しました。しかし、乾燥高温耐性は複数の遺伝子が関与して現れ、複雑な遺伝様式を示す量的形質です。そこで、耐性に関わる個々の量的遺伝子をDNAマーカーで標的し、確実な育種選抜ができる基盤を開発しました。現在、これを利用して乾燥高温耐性コムギ育種事業に着手しています。この方法で開発される品種は、スーダンのみでなく、同じ農業生態系をもつサヘル地域でも栽培することができます。
ところで、優秀な品種が開発されても、必ずしも実用栽培に至るとは限りません。研究室と農家のギャップを埋めるため、現地に出向き農民や政策決定者などあらゆるステークホルダーからなるイノベーション・プラットフォームとよぶチームを作り、優良種子を用いる事のメリットを体験してもらっています。このように、技術開発と共に普及にも焦点を当てながら活動を行っています。
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