資源植物科学研究所は、基礎科学的な知識の活用による農業生産の改善を目的に1914年に創立された財団法人大原奨農会農業研究所を起源とし、第二次世界大戦後に岡山大学に移管された以降、幾たびかの改組を経ながら農学に関連する教育研究を実施してきました。2010年より「植物遺伝資源・ストレス科学研究」に関する研究を推進する共同利用・共同研究拠点として、植物のストレス応答の基礎研究を進め得られた知見を基盤に遺伝資源を活用し、将来予想される気候に適応できる作物の育種をめざした研究活動を推進しています。地球温暖化による環境の変化がもたらす作物生産の低下と世界人口増加による食糧需要の増加が重なり、近い将来の食糧不足が危ぶまれるなか、当研究所の役割はますます重要性を増していると認識しています。
カドミウムは有害な重金属ですが、世界の土壌は工業化や都市化によりこのカドミウムによる汚染が広がっています。私たちが摂取するカドミウム半分近くはコメに由来すると言われています。当研究所の馬教授らの研究グループは、イネのカドミウム集積能力の品種間の差に着目し調査したところ、カドミウム低集積の品種ではカドミウムとマンガンの輸送体であるNramp5の遺伝子が重複しその発現量が多くなっていることを見出しました。この遺伝子を交配の繰り返しによりコシヒカリに導入したところ、収量と食味はコシヒカリと同じでカドミウムの蓄積が低下したイネを作ることに成功しました。基礎科学的な研究成果を基盤に有用な作物を作成し社会に貢献する典型的な研究例と言えます。
本研究所の最新の研究内容を最先端の実験機器を利用して実験手法を学びながら理解するとともに、研究所の創始者であり大原美術館をはじめ社会や労働科学の研究所設立などで持続可能な社会構築を目指していた大原孫三郎氏の思想に触れるという、大学生、高専生を対象にした初めてのサマーサイエンスインターンシップを開催しました。全国各地から募集人員の倍以上の応募があり、選考された10名が4日に渡りさまざまな最先端の植物科学研究の実際を楽しく学び、その科学を支え育んだ倉敷市の歴史文化に触れることができました。初めての企画でしたが、参加者から好評をいただき、継続して実施することになりました。
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