アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)は、1964年にアジア・アフリカ諸地域の言語・文化・歴史を総合的に研究する全国共同利用研究所として設置され、2010年度以降は共同利用・共同研究拠点「アジア・アフリカの言語文化に関する国際的研究拠点」に移行して活動を続けています。現地調査を主体とする臨地研究の手法に基づき、国内外の研究者とともに、数多くの共同研究を実施し、多数の研究成果を公刊しています。また、これらの地域の言語・文化等に関する研究資料や情報を研究資源として利用可能な形に加工し、国際的に共有するための研究資源拠点としての活動も進めています。さらに、国内外の研究者の言語・研究技術の修得促進を図り、さまざまな研修事業を通して次世代研究者の養成に努めています。
臨地研究(フィールドサイエンス)を基盤としてきたAA研にとって、2022年度も前半はコロナ禍により海外での研究活動が大きく制限されましたが、後半に入り徐々に従来の研究活動が再開されるようになってきました。公募による共同利用・共同研究課題35件を外国人研究員とともに実施するなど、オンラインを活用して国際共同研究を積極的に推進しました。
共同研究活動と並行して、デジタル人文学の観点から、積極的に研究資源のオンライン・リソース化と公開にも継続して力を注いでいます。とくに2022年度に発足した学内組織TUFSフィールドサイエンスコモンズ(TUFiSCo)をハブとして、AA研と学内他部局、国内外の連携機関とをつなぐことで、新たなフィールドサイエンス手法の開拓、デジタルリソースの利活用推進、一般社会への還元をこれまで以上に活発化しています。
AA研では若手研究者や一般の方々に研究成果を身近に感じてもらおうと従来から様々な活動をしています。毎年実施している言語研修や、成果の一部をひろく一般の方々に紹介する企画展も実施しています。2022年度はアメリカに暮らすムスリムの日常を切り取った写真展「マイノリティとして生きる:アメリカのムスリムとアイデンティティ」展とその関連トークイベントを開催したほか、世田谷代田仁慈保幼園では未就学児をはじめとする一般の方々を対象とした双方向型イベント、シビルダイアログキャラバン「空と海がつなぐ世界」を開催し、好評を博しました。シビルダイアログキャラバンに関しては、過去2回実施した活動の総括としての企画展「学知の共創を考える:イスラーム信頼学・シビルダイアログキャラバンの試み」も開催しました。
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