応用力学研究所は、1942年と1943年に設立された研究所をもとに、1951年に発足しました。現在は学術的基盤を発展させる地球環境力学部門、核融合力学部門、新エネルギー力学部門の3つの部門と、社会の要請に応える実用実証を目指す、大気海洋環境研究センター、高温プラズマ理工学研究センター、国際研究拠点海洋プラスチック研究センター、そして従来の自然エネルギー統合利用センターから2023年4月に改組した再生可能流体エネルギー研究センターを加えた、4つのセンターの体制で研究活動を行っています。地球環境、核融合・プラズマ、新エネルギーの各分野やそれらの融合分野で、基礎・応用研究、大型プロジェクト、そして共同利用・共同研究拠点として国内・国際共同研究を実施し、人類社会にとっての重要課題である地球環境問題とエネルギー問題の解決に努力しています。
地球温暖化は海水温上昇や海氷融解を介して様々な気候の変調を引き起こすため、地域的な影響評価を行うことは重要な課題です。本研究所では、東アジア・北西太平洋域を対象として、数値モデルによる将来気候予測実験の解析を進めています。地球温暖化によって、熱帯のフィリピン海では台風の発生数が減少する一方、より日本に近い高緯度側で台風が最大強度に達しやすくなる可能性があることを突き止めました。また、非常に強いエルニーニョ現象が将来増加することも予測されており、それが東アジアの気候に及ぼす影響についても研究しています。
常時揺らいでいる海洋表面から、突然波高が数倍に増幅される「一発大波」が生じることが知られています。応用力学研究所の近年の研究から、これと同様の非線形波が磁化プラズマにも励起されることが明らかとなりました。一発大波の振幅及び位相の非線形発展を同時に駆使することで、他の突発的な変動から一発大波の挙動を差別化し、直線磁化プラズマ実験から得られた複雑な時系列データの中に一発大波が埋もれていることが示されています。一発大波の励起に伴い輸送フラックスが過渡的に変動し、輸送は動的な様相を呈します。核融合プラズマの閉じ込めや粒子制御、降着円盤での突発的な質量降着などの天体現象への応用など、今後の更なる発展が期待されます。
低炭素社会実現には、蓄電池が含まれる分散型電力ネットワークが求められ、安全性確保に直流遮断器は不可決です。次世代パワー半導体デバイスであるSiCデバイスを用いることにより、体積・遮断時間・遮断回数に対して飛躍的な性能向上が期待できます。今回、電力ネットワークで要求される大電流(>100A)遮断に向けて、SiCパワーデバイスにバリスタを並列接続させる回路技術によって、遮断電流が3~5倍に増加でき、直流遮断器の遮断耐量の向上と小型化を両立できることを実験的に実証しました。加えて、回路・熱連成シミュレーションにより破壊メカニズムは大電流通電時に発生する自己発熱であることを明らかにしました。
応用力学共同拠点として、「国際化推進研究」「特定研究」「国際特定研究」「一般研究」「研究集会」「若手キャリアアップ支援研究」等の枠組みで、毎年共同研究を公募しています。また、国内外の委員会に積極的に参加し、学術振興と政策形成に貢献しています。例年開催されるRIAMフォーラムにて、共同利用研究の成果の発表し、研究所に関する理解を深めて頂くと共に、研究機関や民間企業との共同研究・委託研究を推進し、科学技術の実用化・産業化に貢献しています。
所内開放、サイエンスカフェや市民向けの講座などの開催、汚染物質PM2.5と黄砂の飛来予測、日本近海の海峡予測を提供し、また海洋プラスチック汚染や洋上風力発電等の研究成果の社会への還元に取り組んでいます。
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