本研究所は、糖鎖を研究することで生命の本質(コア)を理解する国際研究所として、東海国立大学機構直下に組織されました。本研究所では、名古屋大学と岐阜大学における世界トップレベルの糖鎖生物・糖鎖医学、糖鎖化学・イメージング分野の研究者が集結し世界で無二の統合的糖鎖拠点を形成します。それにより、核酸、タンパク質研究のより一次元上の生命原理の解明を世界で初めて可能にし、個別予防や未病検知といった医療革新につながる基礎研究を推進します。また、海外の糖鎖研究者らとの積極的な交流を通じて、国際的な視野と研究能力を備えた次世代の糖鎖研究リーダーの育成を目指しています。さらに、本研究所は、文部科学省「共同利用・共同研究拠点」:糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点(J-GlycoNet)と生命科学領域において初の文部科学省「大規模学術フロンティア促進事業」の「ヒューマングライコームプロジェクト(英語名:Human Glycome Atlas Project:HGA)」において中心的な役割を担っています。
令和4年度から、東海国立大学機構 糖鎖生命コア研究所、自然科学研究機構 生命創生探究センター、創価大学 糖鎖生命システム融合研究所は、文部科学省の「共同利用・共同研究拠点」:糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点(J-GlycoNet)に認定されました。「課題融合型研究」3件と「支援型糖鎖共同研究(探索型)」28件を採択し、新しい糖鎖研究が実施されました。その他、本研究所独自の公募として共同研究を6件(うち国際共同研究4件)とHGAを推進するための共同研究を3件採択し、実施しました。
木塚康彦教授らの国際共同研究チームは、糖尿病にも関わる糖鎖合成酵素GnT-IVaの新しい反応機構を発見したことを報告(DOI番号:10.1038/s42003-022-03661-w)しました。GnT-IVaは、タンパク質の上の糖鎖に枝分かれ構造を作る酵素で、糖鎖を作るための領域の他に、これまで知れている糖鎖合成酵素には見られない、糖鎖と結合する領域(レクチン領域)があることを発見しました。さらに、その領域の立体構造を明らかにすることにより、レクチン領域が酵素活性に不可欠であり、特定の糖鎖と結合することで効率的な糖鎖合成をすすめていることを明らかにしました。本研究成果は、タンパク質の上に複雑な糖鎖が作られる仕組みの解明に重要な基礎的知見を与えるとともに、糖尿病の病態解明や治療法開発にも役立つことが期待されます。
一般向けに「iGCOREサイエンスカフェ」を開催し、糖鎖に関する基礎から最新の研究までを題材に分かりやすく説明し、参加された市民と対話を行うなど、社会連携を推進しています。また、本研究所と企業の研究者が参加する「糖鎖技術研究セミナー」を2回開催し、糖鎖に関する研究力の向上とともに、イノベーション創出を図っています。さらに、本研究所で創出された研究シーズ、J-GlycoNet、HGAを紹介する場として展示会(BioJapan2022やMatching HUB Hokuriku2022)に出展し、社会実装や共同研究創出の機会の増大に貢献しています。
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