「くすりの富山」の伝統を背景に設立された本研究所は、近年著しく発展した先端科学技術を駆使することにより、伝統医学・伝統薬物を科学的に研究し、東洋医学と西洋医学の融合を図り、新しい医薬学体系の構築と自然環境の保全を含めた全人的医療の確立に貢献することを使命としています。特に、世界的に問題になっている高齢化の進行、多因子性疾患の増加、及び天然資源の枯渇に鑑み、本研究所では令和2年度から重点研究プロジェクト(高齢者疾患対策研究、代謝・免疫疾患対策研究、未病医療・創薬研究及び資源開発研究[令和5年度現在])を推進し、その成果を社会実装することを目指しています。これらの目標を達成するための組織として、4部門5分野、1センター、1資料館からなり、これらが互いに連携し、東西医薬学の融合を基盤とした次世代型医療科学を創生して、健康長寿社会の形成に貢献することを目指します。
本研究所の林 周作 助教とミシガン大学 医学部のNusrat Asma教授らの国際共同研究グループは、腸管上皮細胞のBLT1受容体が、傷害された腸管粘膜の治癒を促進することを初めて明らかにしました。
絶えず腸内細菌や食物抗原などの外界と接している腸管粘膜では、上皮細胞と免疫細胞による高度に発達した粘膜バリアが腸管の恒常性を維持しています。炎症や物理的傷害によりダメージを受けた腸管粘膜では、上皮細胞と免疫細胞のクロストークを中心とする粘膜治癒によって粘膜バリアの再生が行われます。一方、炎症性腸疾患などの慢性炎症時には、粘膜治癒が正確に行われず、再燃を繰り返す悪循環に陥ると考えられています。近年、粘膜治癒は上皮細胞の増殖因子のみによって促される単純なものではなく、炎症性メディエーターも寄与する非常に複雑なイベントであることが明らかにされつつありますが、未だ不明な点も多いです。そこで本研究グループは、その一端を解明するために、炎症性メディエーターとして認識されているロイコトリエンB4(LTB4)-BLT1経路の腸管粘膜の粘膜治癒における役割を検証しました。その結果、ヒトおよびマウスの腸管上皮細胞にはBLT1受容体が発現しており、腸管上皮細胞のBLT1受容体が傷害された腸管粘膜の粘膜治癒を促進する役割を担うことを細胞レベルおよび生体レベルにおいて証明しました。
本研究所・和漢医薬教育研修センターの柴原直利教授が富山大学公開講座「健康と漢方医学」(教養講座)及び「薬局調剤のための漢方実践講座」(実践講座)を企画し、健康長寿社会の実現に向け、地域社会や一般市民等に漢方医学の知識の普及を図っています。市民のニーズにもマッチしており、両講座併せて10代から70代までの幅広い世代の19名が受講しました。その他、本研究所の教員10名が各々の基礎研究とそこから生まれる世界を分かりやすく講義する「こんなに“おもしろい”和漢薬学研究:基礎研究から生まれる新世界」(教養講座)を企画し、こちらも10代から70代までの幅広い世代の11名が受講しました。
また、富山市教育委員会市民学習センター主催の富山市民大学講座「生活医学薬学を学ぶ」において本研究所の教員7名が和漢医薬学に関する講義を実施しました。
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