研究所・研究センター一覧

京都大学化学研究所

Institute for Chemical Research, Kyoto University
  • 第1部会
  • 国際共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
青山 卓史
Aoyama, Takashi
キーワード
化学、元素科学、物性科学、生物・情報学、ビーム科学、および学際プラットフォーム
住所
〒611-0011
京都府宇治市五ケ庄
化学を原点として、多様な研究分野が、その深化と連携・融合を目指す

1926年設立の京都大学で最初の附置研究所である化学研究所は、30研究領域(専任教員約90名、大学院学生約190名、研究員約50名、別に5客員研究領域)からなる5研究系・3附属センター体制をとっており、化学を中心に物理・生物・情報学に及ぶ先進・横断的研究を展開しています。各々の研究領域は、理、工、農、薬、医、情報学の本学大学院研究科の協力講座として次代を担う研究者の育成に努め、全学の教育にも積極的に貢献しています。最近では、「国際共同利用・共同研究拠点」(平成30年度文部科学省認定)、「上海オンサイトラボラトリー」(令和元年度京都大学認定)などの活動を通して国際的な学際分野の開拓も進めています。基礎から応用にいたる幅広い領域で、常に多様で新規な先駆的・先端的な研究を推進し、新たな知への挑戦を続けています。

令和4年度の研究活動内容及び成果


酵素を模倣した金属 – 硫黄化合物により窒素還元反応を実現

大気の主成分である窒素(N2)の化学変換は、アミノ酸や DNAに含まれる窒素原子を供給するために必要な一方で、非常に難しい反応として知られています。自然界では、一部の微生物に存在する酵素ニトロゲナーゼだけがこの役割を担い、鉄(Fe)- モリブデン(Mo)- 硫黄(S)- 炭素(C)から構成される酵素活性中心(FeMoco)を用いて N2 を還元します。FeMoco の働きを人工物で代替する新技術を開発できれば、SDGs(持続的な開発目標)の実現に役立つと期待できますが、複雑な FeMoco は構造と機能の関係を理解するのが難しく、またタンパク質から取り出すと触媒機能を失います。これまで半世紀に渡り合成されてきた、FeMoco に関連する金属 – 硫黄化合物も、N2 を還元できなかったことから、N2 還元作用の鍵となる要素は未解明のままでした。
本研究所の大木教授らのグループは、タンパク質の働きや N2 が結合した FeMoco の構造を予想し、それらの要点を大胆に簡略化した Mo-Fe-S 化合物を合成して、これを触媒として N2 の還元反応を達成しました(Nature, 2022, doi: 10.1038/s41586-022-04848-1)。つまりこの Mo-Fe-S 化合物は、FeMoco による N2 還元作用の鍵要素を部分的に反映していることが分かります。人工の金属 – 硫黄化合物による N2 還元反応の第一歩を踏み出しただけでなく、酵素に学びつつ適切な分子設計を施すことで、金属-硫黄化合物が持つ可能性を広げられることを示す好例でもあります。

社会との連携


産官学連携・社会連携・情報発信

科学技術の高度化・専門分化が加速される中、産業界との研究連携は一層重要となってきています。本研究所では、多くの受託研究、共同研究などを通じて産官学連携研究の推進に注力しています。また、広く社会との連携も積極的に進めており、所外研究者や一般の人々に向けて、宇治キャンパス公開(2022.10.22-23 第75回)、化学研究所研究発表会(2022.12.9 第122回)、中・高校生向け出前授業などを行い、最新の研究成果の発信を行っています。広報誌「黄檗」やAnnual Reportなどの刊行物の発行、ホームページ公開による広報活動も重要な情報発信です。令和3年度は日本語のTwitterを開始しました。

研究発表会

研究発表会

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化学研究所では、部局間学術交流協定(令和5年4月時点で66件)などを基盤に、多くの海外研究機関と積極的な国際交流を実践してきました。これを一層推進すべく、平成23年度から、若手教員や大学院生などの短期の研究滞在を対象として、当研究所からの派遣と海外からの受入を支援する「化学研究所若手研究者国際短期派遣・受入事業」を実施しています。

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