高柳健次郎博士のテレビジョン研究に端を発する本研究所は、「ビジョンサイエンスの基礎と応用」に特化した研究機関です。21世紀COEプログラム「ナノビジョンサイエンスの拠点創成」、浜松オプトロニクスクラスター、特別教育研究経費等で培ってきたイメージング技術にナノエレクトロニクス、ナノフォトニクス、ナノマテリアル等を融合させ、極限解像度、極限時間分解能、原子・分子識別不可視画像などの実現を目指す極限画像を創成し、科学技術の発展に貢献することを目的としています。また、国内外の機関と活発な共同研究を実施するとともに、その先端研究施設・設備を広く産官学における研究者の共同利用に供し、その社会的役割を果たしています。平成28年度より、東京医科歯科大学「生体材料工学研究所」、東京工業大学「未来産業技術研究所」、広島大学「ナノデバイス研究所」とネットワーク型共同研究拠点「生体医歯工学共同研究拠点」を形成し、全国共同利用・共同研究拠点として活動しています。
本研究の目的は、ナノスケール領域へ集束電子線を照射することで細胞を操作することである。ここでは、電子線照射によって、神経細胞(SH-SY5Y)の仮足の形の操作について検討した。図1(a), (b)に電子線照射前後の細胞を示す。電子線照射後では、仮足の面積が拡大していることがわかる(赤線で囲った部分)。図1(c)に電子線照射後の時間経過による仮足の面積の変化を示す。時間経過とともに変形した面積が大きくなっている。
また、電子線照射によって誘導される仮足の変形には電子線の照射量により変わることが分かった。葉状仮足の拡大、糸状仮足の形成、液胞の形成である。葉状仮足の拡大は、ドーズ量100e-/nm2の低照射密度領域のみで発生、糸状仮足の形成は1,000e-/nm2の高照射密度領域で高確率に発生、
液胞の形成は照射密度が10,000e-/nm2の場合のみで起こることを明らかにした。
浜松の地は多くのベンチャー企業発祥の街として有名であり、当研究所は浜松地域に対して強い連携を築いています。研究所は近隣企業との交流を活性化するため、定期的な技術交流会を開催しています。また、研究所の所員が中心となり4つの大学発ベンチャー企業を経営しています。国内外の先導的研究者の招待講演と研究所の所員の成果を一般に公開する高柳健次郎メモリアルシンポジウムを研究所は毎年開催しています。また、一般市民に先端科学技術をやさしく紹介するサイエンスカフェin浜松やテクノフェスタin浜松の企画・運営に研究所の所員が積極的に参画しています。
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