京都大学野生動物研究センター(WRC)は、野生動物に関する教育研究をおこない、地球社会の調和ある共存に貢献することを目的として2008年4月1日に設立されました。その具体的な課題は、次の3点に要約されます。第1に、絶滅の危惧される野生動物を対象とした基礎研究を通じて、その自然の生息地でのくらしを守り、飼育下での健康と長寿をはかるとともに、人間の本性についての理解を深める研究をおこないます。第2に、フィールドワークとライフサイエンス等の多様な研究を統合して新たな学問領域を創生し、人間とそれ以外の生命の共生のための国際的研究を推進します。第3に、地域動物園や水族館等との協力により、実感を基盤とした環境教育を通じて、人間を含めた自然のあり方についての深い理解を次世代に伝えます。
現在、野生動物研究センターは、4つの研究部門と3つの国内研究拠点で構成され、この他、海外の多くのフィールド研究拠点で活動しています。
全国共同利用・共同研究拠点(拠点名:「絶滅の危機に瀕する野生動物(大型哺乳類等)の保全に関する研究拠点」)として、公募による大型哺乳動物を中心とした野生動物の保全に関する共同研究をおこないました。また研究拠点形成事業(「大型動物研究を軸とする熱帯生物多様性保全の国際拠点」)として、ブラジル・マレーシア・インド・タンザニア・中国・インドネシア・イギリスとの研究交流や共同研究をおこないました。この他、リーディング大学院「霊長類学・ワイルドサイエンス」事業をおこなっており、現場力、世界を相手に地球社会の未来をデザインする能力ならびに我が国の海外展開に欠かせない俯瞰力をそなえた、国際性に富むリーダーの養成をおこなっています。
野生動物研究センターは、国内の多くの動物園・水族館等と連携して野生動物に関する研究・教育を推進しています。動物園や水族館は一般の人が野生動物について知り、関心を持つことのできる「窓・扉」であり、野生動物研究センターと連携する動物園・水族館における公開シンポジウム「動物園大学」「水族館大学」を毎年開催することによって、一般の方々が野生動物研究の最先端に触れることのできる機会を提供しています。
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