琉球大学熱帯生物圏研究センター

Tropical Biosphere Research Center, University of the Ryukyus

第2部会
共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要

センター長
徳田　岳
Tokuda, Gaku

キーワード: 亜熱帯島嶼、サンゴ礁、マングローブ、生物多様性、共生、遺伝資源、感染症
住所: 〒903-0213
沖縄県中頭郡西原町千原１番地

熱帯生物圏における先端的環境生命科学共同研究拠点

熱帯生物圏研究センターは、沖縄北部・瀬底島に設置される瀬底研究施設、西表島に設置される西表研究施設と沖縄本島中部の琉球大学キャンパス内に設置される分子生命科学研究施設・西原研究施設より構成される、日本最南端の共同利用・共同研究拠点（熱帯生物圏における先端的環境生命科学共同研究拠点）です。本センターでは、琉球列島をはじめとする亜熱帯から熱帯域の多様な生物群を主な対象として、熱帯圏特有の生命現象に関する研究を行っています。研究組織は５つの研究部門と客員研究部門から成り、国内外の研究者との共同研究を行うほか、外部研究者が主体となった研究プロジェクトへの施設・設備の提供も実施しています。また野外での実習や調査のベースなどとしても機能し、大学院生や学部学生の教育にも利用されています。

令和4年度の研究活動内容及び成果

サンゴ礁生物科学部門では、造礁サンゴのウスエダミドリイシが夏場に高水温にさらされると卵の数が増え、熱に強い幼生が生まれることを明らかにしました。島嶼多様性生物学部門では、西表島の植物相を解明するために全島を踏査して植生調査を行い、日本新産種や西表島新産種をいくつか見いだしました。マングローブ学部門では、国際的な研究ネットワークの中心として、環境DNAを用いたマングローブ生態系の生物多様性研究を進めました。応用生命情報学部門では金秀バイオ（株）との共同で、長命草由来ジヒドロピラノクマリン類を配合したサプリメントの開発・市販を始めました。感染生物学部門では、感染症ワクチンの基礎研究成果を活用するため、国内外の企業との共同研究により豚、鶏、養殖魚等に対する畜産・水産用ワクチン並びにアジュバントの研究開発を進めています。

ホソバノキミズ (Elatostema lineolatum var. majus)：西表島からイラクサ科の未知種が見つかり、本種と同定されました (Naiki et al. 2022, Acta Phytotax. Geobot. 73: 219–226) 。

社会との連携

当センターは、日本最南端最西端の国立大学附置研という立地を活かし、サンゴ礁、マングローブ林、亜熱帯林をフィールドとして、中高大学生および大学院生を対象とした実習や講義を、多数実施してきました。残念ながら、令和4年度も新型コロナウイルス感染症の影響が残り、一部で施設利用者数の制限等を設けるなど、社会との連携活動が抑制される状況が続きました。しかし、現在では多くの制限が撤廃されつつあり、令和5年度以降は本格的な活動を再開出来ることを見込んでいます。