プロテオサイエンスセンター(Proteo-Science Center (PROS))は、愛媛大学で開発されたコムギ無細胞タンパク質合成技術を基盤として、タンパク質機能から生命現象の解明を目指した基礎的な生命科学研究のみならず、その医学応用研究を行い、タンパク質科学(プロテオサイエンス)の国際拠点形成、及び、がん、自己免疫病、難治性感染症など難病の新しい診断・治療法の開発を目的に設立されました。PROSは、タンパク質の生化学研究およびタンパク質複合体研究を支える基盤技術の開発を担う「基盤技術開発領域」と、細胞・生体内や疾患、感染症を対象に複合体およびインタラクトーム解析を推進する「複合体生命機能解析領域」から構成されています。本センターは、令和4年度に共同利用・共同研究拠点化(プロテオインタラクトーム解析共同研究拠点: PRiME)されています。
我々は、関節リウマチの様々な病態を抑制的に制御するエピジェネティック制御因子UHRF1を同定しました。滑膜におけるUHRF1の発現レベルは、関節リウマチ患者および関節炎モデルマウスの病状と負の相関を示しました。また、UHRF1タンパク質を安定化させる薬剤の投与が、マウスモデルおよび患者由来滑膜オルガノイドの関節炎病態を抑制することを見出しました。これらの結果から、UHRF1タンパク質の安定化が関節リウマチの新たな治療戦略となることが期待されます。
タンパク質分解薬は従来の概念に捉われない新たな創薬アプローチとして注目されており、世界中のメガファーマを中心に研究・開発が行われている。我々は、近位依存性ビオチン化酵素を用いることで、タンパク質分解薬依存的なタンパク質間相互作用解析技術を開発した。さらに、質量分析法と組み合わせることによって、タンパク質分解薬依存的なタンパク質間相互作用を網羅的に解析可能であることを示しました。これらの結果から、本解析技術を用いることで、将来のタンパク質分解薬の作用機序の解明や治療薬開発に繋がることが期待されます。
愛媛大学が開発した「コムギ無細胞タンパク質合成系」を核に、愛媛・松山を世界のタンパク質研究の中心にしていこうという構想を表す言葉で、アメリカの「シリコンバレー」を越えるものになればとの思いが込められています。平成15年度から、タンパク質研究・関連産業の一大拠点形成に向けて、5団体(愛媛大学・愛媛県・松山市・松山商工会議所・愛媛経済同友会)が協力し、それぞれの得意分野を融合させて事業を行う産学官連携の仕組みです。毎年、タンパク質研究に関する最新情報発信・研究人材の集積を目指した“国際シンポジウム”、将来の研究人材を地元から発掘・育成する“一般向けセミナー”、企業誘致の機会創出・新規産業創出の“企業向け技術講習会”を行っております。
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