地球の中心部に至る超高圧と高温条件を実験室に再現し、また多様な物性測定法や放射光・中性子などの量子ビームを組み合わせることにより、地球深部物質の構造と物性、更にそのダイナミクスや進化の解明を目指しています。実験が困難な圧力温度領域においては、第一原理計算を用いた数値シミュレーションを行うとともに、得られた物性パラメーターを用いた流体力学計算に基づき、より現実的な地球深部や惑星・スーパーアースの内部の動きも探っています。一方で、超高圧技術を生かした新物質の合成にも取り組んでおり、世界最硬「ヒメダイヤ」(ナノ多結晶ダイヤモンド)の合成はその一例です。これらの高度な技術や先端的な研究及び人材育成の成果を基に、本センターは平成25年に共同利用・共同研究拠点化(先進超高圧科学研究拠点:PRIUS)されています。
令和3年度は、施設設立20年を迎え新たな方向性として、「動的地球科学」・「惑星深部科学」・「超高圧材料科学」をキーワードとした研究を重点的に開始しました。この結果、下部マントル粘性率の実験的制約(Sci. Adv.誌)、火星マントルにおける地震波低速度領域の存在(Geophy. Res. Lett.誌)、透明ヒスイの超高圧合成(J. Mineral. Petrol. Sci.誌)などに新たな成果が発表され、いずれもプレスリリースを行い多くのメディアに取り上げられました。また、ヒメダイヤの応用に関しても国内外の20近い研究グループとの共同研究がすすめられ、多くの成果があがっています。このような研究活動が高く評価され令和3年度には国際高圧力学会「P.W.ブリッジマンメダル」、日本地球惑星科学連合「西田賞」、科学技術分野の文部科学大臣表彰「研究支援賞」、などの受賞・受章者を輩出しています。
共同利用・共同研究拠点に認定されている本センターでは、上記の3つの重点課題に取り組むとともに、それぞれの課題に関連した研究コミュニティーへの貢献も行っています。「動的地球科学」に関連しては、放射光施設SPring-8において新たに高圧変形装置を導入して共同利用を開始しました。また、「惑星深部科学」に関しては、全国の研究者を組織した惑星深部科学研究会を立ち上げて、定期的なセミナーを行っています。更に「超高圧材料科学」の推進においては、企業との連携も重視して複数の企業との共同研究や研究員の受け入れ、超高圧実験技術の指導などを行っています。またJSTのScience Portalの動画作成に協力するとともに、日本地球惑星科学連合のオンライン大会において、センターの研究室や研究内容の動画による紹介をリアルタイムで行うなど、コロナ禍下においてもアウトリーチ活動を積極的に行いました。更に研究成果のプレスリリース(3件)や、広く写真・動画等を公募したイメージコンテストの開催などを通じて、社会との連携活動を推進しました。
SPring-8に設置された2種類の新たな超高圧変形システム
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