研究所・研究センター一覧

北海道大学電子科学研究所

Research Institute for Electronic Science, Hokkaido University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
居城 邦治
Ijiro, Kuniharu
キーワード
複合領域ナノサイエンス、物質科学、光科学、生命科学、数学・数理科学
住所
〒001-0020
北海道札幌市北区北20条西10丁目
従来の枠組みを超えた新学術領域の創成

電子科学研究所(電子研)は「光」、「物質」、「生命」の3つの研究部門と「附属グリーンナノテクノロジー研究センター」および「附属社会創造数学研究センター」からなる研究体制のもと、積極的な異分野融合により世界トップレベルの「複合領域ナノサイエンス」の基盤を構築することで、学内および外部との連携による新たなイノベーションや新学術の創成を目指します。また、東北大多元研、東工大研究院化生研、阪大産研、九大先導研と共に5大学研究所間アライアンスを組織し、大学の垣根を越えたネットワーク型「物質・デバイス領域共同研究拠点」として認定され、最先端のナノテク関連設備群の共用化、人材育成等を通じて、研究所横断的な共同研究を推進することで、異分野融合とマテリアルイノベーションの更なる加速を推進します。

令和4年度の研究活動内容及び成果


プレスリリースされた最近の研究成果

電子研では最新の研究成果を随時プレスリリースしています。2022年度に公開された研究成果の一部を以下に記します。

  1. 全固体電池材料の真の姿をX線レーザーで観察 — 乳がんのX線画像の新規解析法を発展させ、固体電解質の“海島構造”を鮮明化 —(コヒーレント光研究分野)
    Nano Letters https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.1c04392
  2. 人類の都市文明の立地と発展に粘菌からヒント — 現実の地形にあわせた、街と道の千年紀シミュレーション —(知能数理研究分野)
    Scientific Reports  https://www.nature.com/articles/s41598-022-13758-1
  3. 高温・空気中で安定した性能を示す実用的な熱電変換材料を発見 —再現性良く実用レベルの高性能を示す酸化物熱電材料—(薄膜機能材料研究分野)
    ACS Applied Materials & Interfaces https://doi.org/10.1021/acsami.2c08555
  4. 溶液中ナノ粒子を3次元観察できるデータ処理手法 —X線レーザーを用いた生体内に近い環境での構造観察に期待—(コヒーレント光研究分野)
    Optica  https://doi.org/10.1364/OPTICA.457352
  5. 分子サイズの世界を明るく照らす超高強度X線集光ビームをX線フラッシュ顕微鏡に応用 —SACLAにおいて世界最高分解能の2ナノメートルを達成—(コヒーレント光研究分野)
    Nature Communications https://doi.org/10.1038/s41467-022-33014-4
  6. 超高解像度テレビ用材料の高い電子移動度の起源を解明 —100cm2/Vsを超える超高移動度の透明酸化物薄膜トランジスタ実現に向けた大きな前進—(薄膜機能材料研究分野)
    ACS Applied Electronic Materials https://doi.org/10.1021/acsaelm.2c01210
  7. 高濃度なイオン導入がもたらす1次元繊維状物質の機能開拓に新展開 — 1次元状態を保持したアモルファス構造(擬アモルファス)の発見—(光電子ナノ材料研究分野)
    Advanced Functional Materials https://doi.org/10.1002/adfm.202208702
  8. 熱伝導率を制御するトランジスタ、実用化へ王手 —熱の伝わり方を電気スイッチで切り替える技術に向けた大きな前進—(薄膜機能材料研究分野)
    Advanced Functional Materials https://doi.org/10.1002/adfm.202214939
  9. 温度・圧力・電圧の同時制御が可能な新規合成手法の開発 —高圧拡散制御法を用いた準安定物質の合成—(光電子ナノ材料研究分野)
    Chemistry of Materials https://doi.org/10.1021/acs.chemmater.3c00318

    • 匂いを感じられないゴキブリ? — ゴキブリが匂いを感じる仕組みを解明し、匂いを感じられないゴキブリを作成 —(人間数理研究分野)
      iScience https://doi.org/10.1016/j.isci.2022.104272
    • マイガ用ライトトラップの開発に成功 —休憩施設への飛来虫防止に期待—(人間数理研究分野)
      Zoological Science https://doi.org/10.2108/zs210082

 

社会との連携


開かれた研究所をめざして
国際連携

電子研は、世界16カ所の研究所・センターと交流協定を締結し、スタッフや学生の交流、ジョイントシンポジウム、共同研究プロジェクトを積極的に実施しています。様々な領域の国内外研究者が集まって特定のテーマについて議論する場を提供する目的で国際シンポジウムを毎年開催しています。その際、その年のテーマを漢字一文字で表すことにしています。2022年の漢字には「拓」を設定しました。新型コロナの感染拡大の影響で、オンサイトとオンラインのハイブリッドで開催し、物質科学、光科学、生命科学、数学・数理科学の4つの研究分野の融合領域での議論を深め、新たなネットワークを構築することを目的としました。2018年度に台湾国立陽明交通大学(旧 台湾国立交通大学)理学院と共同研究教育センターを設立して以来、毎年、台湾の2機関と電子研を含む5大学研究所間アライアンスと合同で国際共同シンポジウム、並びに国際共同講義3単位分を実施してきましたが、2022年度は台湾国立陽明交通大学理学院において国際共同シンポジウムを開催し、3年ぶりに対面で国際共同講義を行いました。

国内連携 

電子研は、第3期に入りましたネットワーク型「物質・デバイス領域共同研究拠点」において「物質・光・生命・数理複合科学分野」の取りまとめ研究所の役割を果たしています。2015年度から、外部機関の若手研究者が研究所に長期滞在して共同研究を実施するCOREラボを設置し、クロスアポイントメントにより国外を含む他大学や研究所との共同研究体制を強化しています。

地域貢献

電子研は、毎年1回、研究所一般公開を実施し、市民への研究概要の説明と展示を行っています。特に小中学生向けの研究成果の展示が人気を集め、先端科学に触れる絶好の場として、札幌市民から高く評価されています。来場者数は年々増えており、2019年度は1,000名超の来場がありましたが、2020~2022年度は新型コロナの感染拡大により中止になりました。2023年は3年ぶりに研究所一般公開を再開する予定です。この他、読売新聞札幌支社と連携講座サイエンスレクチャー協定書を2019年度に取り交わし、主に中高生を対象とした体験型科学講座をスタートして、2022年度は旭川北高校にて「原生生物の行動と生態」を テーマに行われました。

 

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