研究所・研究センター一覧

北海道大学電子科学研究所

Research Institute For Electronic Science, Hokkaido University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
中垣 俊之
Nakagaki, Toshiyuki
キーワード
複合領域ナノサイエンス
住所
〒001-0020
北海道札幌市北区北20条西10丁目
従来の枠組みを超えた新学術領域の創成

電子科学研究所は「光」、「物質」、「生命」の3つの研究部門からなり、積極的な異分野融合による世界トップレベルの「複合領域ナノサイエンス」の基盤を構築しています。また、「附属グリーンナノテクノロジー研究センター」および「附属社会創造数学研究センター」が中心となって、北大内部および外部との連携による新たなイノベーションや新学術の創成に向けた研究体制を構築しています。さらに、我が国のイノベーションを根底から支える基盤整備事業として発足した「文科省ナノテクノロジープラットフォーム事業」において「微細加工」と「微細構造解析」の2つの実施機関に選定されており、最先端のナノテク関連設備群の共用化、人材育成、等を通じて、異分野融合とマテリアルイノベーションの更なる加速を目指しています。

平成30年度の研究活動内容及び成果


ナノ空間に閉じ込めた可視光で水分解・水素発生を高効率化 — 従来の10倍以上の効率を実現し太陽光エネルギーの有効利用に大きく貢献 —

北海道大学電子科学研究所の三澤弘明教授らの研究グループは、厚さ30ナノメーターの空間に可視光を効率的に閉じ込める光電極の開発に成功しました。 厚さ30ナノメーターの半導体(酸化チタン)を金ナノ微粒子と金フィルムでサンドウィッチして金ナノ微粒子側から光を入射すると、金フィルムと酸化チタンが光を閉じ込める光共振器として働き、全可視光の85%以上が酸化チタン層に閉じ込められて金ナノ微粒子により吸収されます。金ナノ微粒子は、ステンドグラスが赤色に発色する原因となる局在プラズモン共鳴と呼ばれる現象を示し、ある特定の色(波長)を吸収したり散乱したりしますが、このサンドウィッチ構造では、ほとんどの可視光が散乱されず吸収されます。 金ナノ微粒子が光を吸収すると金の中の電子が高いエネルギー状態となり、酸化チタン等の半導体に電子を与え、高い還元力を持った電子が水素イオンを還元して水素を、残った電子の抜け殻(正孔)が強い酸化力により水を酸化し酸素を発生させます。しかし、半導体基板上に金ナノ微粒子を一層付着させるだけでは、基板平面内の微粒子密度をいくら高くしても金ナノ微粒子に光を十分吸収させることは困難でした。
本研究成果の優れた点は、1)プラズモンと酸化チタン層内に閉じ込められた可視光が強く相互作用して一体となった新しい状態を創ると(図に示す構造により半透明な酸化チタン層に光が閉じ込められる)、可視光の幅広い波長の光を効率的に吸収させることができることを見出したこと、2)これにより、閉じ込め機能のない電極と比べ10倍以上の効率で光エネルギーを貯蔵可能な化学エネルギーに変換できたことです。極めて少ない物質量で太陽光エネルギーを有効に変換でき、サステイナブル社会の実現への大きな貢献が期待されます。
本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金特別推進研究(18H05205)により推進されました。 なお、本研究成果は、英国時間2018年7月30日(月)公開のNature Nanotechnology誌(電子版)に掲載されました。

 

社会との連携


ワールドコミュニティーとローカルコミュニティーの核として
国際連携

電子科学研究所は、世界16カ所の研究所・センターと交流協定を締結し、スタッフや学生の交流、ジョイントシンポジウム、共同研究プロジェクトを積極的に実施しています。様々な領域の国内外研究者が集まって特定のテーマについて議論する場を提供する目的で国際シンポジウムを毎年開催しています。その際、その年のテーマを漢字一文字で表すことにしています。2018年の漢字には「組」を設定しました。「光」、「物質」、「生命」の3つの研究分野の融合領域での議論を深め、新たなネットワークを切り開くことを目的としました。2018年度には台湾国立交通大学理学院と共同研究教育センターを設立し、台湾の2機関と国内他大学の4附置研究所と合同で国際共同シンポジウム、並びに共同講義3単位分(受講学生90名超)を実施しました。

国内連携 

本研究所は、共同利用・共同研究拠点事業において、大阪大学産業科学研究所、東北大学多元物質科学研究所、東京工業大学化学生命科学研究所、九州大学先導物質化学研究所と共にネットワーク型で物質・デバイス領域共同研究拠点の認定を受けました。本研究所は、その中で特に「ナノシステム科学分野」の取りまとめ研究所の役割を果たしています。2015年度から、外部機関の若手研究者が研究所に長期滞在して共同研究を実施するCOREラボを設置し、国外を含む他大学や研究所との共同研究体制を強化しました。

地域貢献 

電子科学研究所は、毎年1回、本研究所の一般公開を実施し、市民への研究概要の説明と展示を行っています。特に、小中学生向けの研究成果の展示が人気を集め、先端科学に触れる絶好の場として、札幌市民から高く評価されています。来場者数は年々増えており、2018年度も1000名超の来場がありました。この他、読売新聞札幌支社と連携講座サイエンスレクチャー協定書を取り交わし、主に中高生を対象とした体験型科学講座を2回実施しました。参加者はどちらも40名程で、新聞にて大きく報道されました。

研究所・研究センター一覧

Links

文部科学省日本学術会議国立大学共同利用・共同研究拠点協議会janulogo300-80