研究所・研究センター一覧

九州大学生体防御医学研究所

Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
福井 宣規
Fukui, Yoshinori
キーワード
多階層生体防御システム、トランスオミクス、システム免疫学、がん生物学、発生再生医学、神経生物学
住所
〒812-8582
福岡県福岡市東区馬出 3-1-1
生体防御システムの世界的研究・教育拠点を目指す

本研究所は、1982年に発足して以降、生体恒常性の維持に重要な「生体防御」を研究の柱に据え、生命現象の本質や疾患発症のメカニズムに迫る多くの優れた成果を発信して参りました。2016年からは、トランスオミクス医学研究センターをコアに国内の3つの共同利用・共同研究拠点と協力して「トランスオミクス医学研究拠点ネットワーク形成事業」に取り組み、その実践の場として、2018年にシステム免疫学統合研究センターを新設しました。このような実績をさらに発展させるべく、本研究所は2022年に高深度オミクスサイエンスセンターを創設し、ヒト生物学の理解につながる新たな生体防御研究を推進します。加えて本研究所は、2022年から6年間、共同利用・共同研究拠点「多階層生体防御システム研究拠点」の認定更新を受けており、引き続き最先端の研究機器やオミクス解析技術を国内外の多くの研究者に開放・提供します。

令和3年度の研究活動内容及び成果


腸管再生やがん化に重要な新たな幹細胞の発見

分子医科学分野の中山敬一主幹教授らは、造血幹細胞や神経幹細胞の細胞周期停止に重要なp57遺伝子が、腸管上皮においても稀少な細胞集団に特異的に発現していることを発見した。そこでp57の系統追跡マウスを作製し、p57発現細胞の挙動を解析した結果、p57発現細胞は通常の状態では分化細胞の一種として存在するが、組織がダメージを受けると脱分化して幹細胞となり、腸管の再生に重要な役割を果たすことが判明した。さらに再生途中の腸管上皮を1細胞RNA-seq法によって解析したところ、p57発現細胞は「胎児返り」と「胃上皮様変化」という細胞アイデンティティの大規模な再構築(=時空間リプログラミング)を経て、幹細胞の状態へと逆戻りしていることが明らかとなった。このような変化は、臨床的にはがんや炎症などの病態でしばしば認められるが、これらは正常の組織に本来備わっている再生システムが、病態下で利用されたり誤作動した結果であることを示唆しており、実際に腸管腫瘍でも時空間リプログラミングが起こっていることが明らかとなった。

社会との連携


先端医学の社会への還元
  1. 日本医療研究開発機構等のサポートを受け、革新的医薬品の創出を目指した研究を進めて
    います。
  2. 知の拠点セミナー、市民公開講座、バイオインフォーマティクス夏の学校等に積極的に貢献し、成果を分かりやすく社会へ発信したり、解説したりしています。
  3. 中高生を対象とした研究所見学を実施することもあります。
生体防御医学研究所本館

生体防御医学研究所本館

 

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