本研究所は2021年6月に開設されました。地球環境の下に人類が持続的に生きるためには、人為的な二酸化炭素(CO2)排出の抑止が必要と考えられます。本研究所はゼロカーボンエネルギーを用いたカーボンニュートラル技術の開発を通して、地球と共生しかつ豊かな社会の構築に貢献することを目的にしております。20世紀型の化石資源に過度に依存した社会が反省し、地球環境に親和性のあるカーボンニュートラル型の社会への転換を目指します。これまでの化石エネルギー依存を極力減らし、ゼロカーボンエネルギーである再生可能エネルギー、原子力エネルギー、バイオマスまた産業排熱などを活用する研究を行います。炭素は古来より人類と親和性があります。そこで炭素利用を許容しつつ環境にCO2を排出しない、ゼロカーボンエネルギーを用いた炭素循環産業システムの創成を目指します。
製造業は日本の基幹であり、炭素エネルギー消費が大きい分野です。産業のカーボンニュートラル化は量的に極めて重要です。本研究所では炭素循環グリーン産業システムを提唱し必要とする技術の創成を進めています。一候補である製鉄向けの炭素循環製鉄システム(iACRES)(図1)を提唱し、ボトルネックとなる二酸化炭素(CO2)の還元、再資源化について研究を進めております。固体酸化物電気分解セル(SOEC)を開発し、さらに大面積化、大容量化を可能とする金属基板支持形SOECの開発、CO2資源化を実証しました。開発技術の活用で炭素循環システムの製鉄のみならず製造業、運輸、民生などへの応用進展が期待できます。
政府方針である2050年カーボンニュートラル(CN)実現のためにはグリーン・トランスフォーメーション(GX、緑転、CN化に応じた産業及び社会の構造の変化)が必須である。GX社会を先導(Initiation)する研究活動の推進とスタートアップの強化、産業、社会連携の実質化を進めるために本事業GXイニシアティブ(Tokyo Tech GXI)(図2)を展開しています。GXIではGX研究のため本学エネルギー研究関連教員とエネルギー関連企業プラットホームとが連携し、産学連携型の研究支援組織を構築し、課題解決の推進・加速を行います。GXの社会導入には、従来の産業、社会構造の大きなパラダイム変換が求められます。GX技術の社会の受入れのための産学官・地域・市民との連携、また経済学、社会学からの多角的な視点を取り込みGX研究の知の拠点化、新たな学術の創成を目ざします。
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