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広島大学放射光科学研究所

Research Institute for Synchrotron Radiation Science, Hiroshima University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
島田 賢也
Shimada, Kenya
キーワード
放射光、超伝導、スピン、物性・生命異分野融合、高輝度小型放射光源、人材育成
住所
〒739-0046
広島県東広島市鏡山2−313
放射光を用いた物質科学研究の推進と人材育成

放射光科学研究所では、小型放射光源(HiSOR)が発生する紫外線~軟X線域の放射光を利用し、世界最先端の計測技術を用いて超伝導や電子スピンに由来する量子現象を研究する固体物理学および溶液中の生体高分子の立体構造を研究する物性・生命異分野融合領域の研究、ならびに高輝度小型放射光源や挿入型光源に関する研究を行っています。
また大学の中に置かれた研究拠点として、多様な文化や背景を持つ国内外の大学・研究機関の第一線の研究グループとともに研究課題に取り組み、互いに学ぶことのできる環境を活用した、学部・大学院生および若手研究者の育成を進めています。

※令和6年度に(旧)放射光科学研究センターは組織整備により放射光科学研究所へと改組されました。

令和5年度の研究活動内容及び成果


電子・スピンの運動を可視化する走査型顕微鏡の開発 — マイクロメートル領域のスピン流を精密に測定 —

数マイクロメートルの微小な結晶の電子とスピンの運動を超精密に観察できる顕微スピン角度分解光電子分光装置(顕微SARPES装置)の開発に世界で初めて成功しました(図A)。情報機器の超低消費電力化・高性能化が急務となる中でスピンを活用する省エネ電子技術である「スピントロニクス」が注目されています。これまで、マイクロメートルまで微小化された物質の中でスピン流がどのように振る舞うか観測できませんでした。顕微SARPES装置の開発により、微小領域のスピン流を超高精密に観察することが可能になりました。特にトポロジカル絶縁体におけるスピンの流れ(スピン流)が注目されています(図B)。この新たな実験技術は、スピントロニクス材料の性能評価や動作原理の解明、新規デバイス開発などに適用でき、物質・材料科学や応用科学の分野にわたって大きく貢献することが期待されます。

(A)新開発の顕微SARPES装置の概念図  (B)トポロジカル絶縁体PbBi4Te4S3の微小領域における,電子の運動の観測結果(赤・青はスピンアップ、ダウン)

(A) 新開発の顕微SARPES装置の概念図  (B) トポロジカル絶縁体PbBi4Te4S3の微小領域における,電子の運動の観測結果(赤・青はスピンアップ、ダウン)

社会との連携


地域と連携したSDGs活動と人材育成への貢献

本研究所は、STEAM教育研修(タイ国)や中国地域(広島、鳥取など)の中学・高校の体験学習、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)研修などで多くの児童・生徒の来訪を受け入れ、山口県の高校にはVRによる施設見学を含む「VR先端科学体験セミナー」を提供しました。また高エネルギー加速器研究機構(KEK)の加速器科学国際育成事業(KEK、広島大学、呉高専、広島商船との共同研究)による加速器科学分野の人材育成を進めています。さらに社会人を対象とした公開講座を広島駅前「広島大学きてみんさいラボ」で開催しました*1。これらの活動は地域のSDGs活動とつながり、研究に取り組む学生の生活を応援する草の根的な活動へと発展しています*2
※1 : https://hsrc.hiroshima-u.ac.jp/outreach/activity.html
※2 : https://hh-sdgs.jp/partner/?s_company=&s_goal=&search_text=%E3%81%BB%E3%81%86%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%93%E3%81%86

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