大阪大学核物理研究センター(RCNP)は、原子核物理学の実験および理論的研究を行うために1971年に設立された、世界中の科学者に開かれた全国共同利用研究センターです。その目的は、精密な実験とその理論的解析により「どのような物質の存在形態が可能か」、「なぜクォークは核子の中に閉じ込められているのか」、「原子核の安定性の源は何か」、「宇宙はどのように生まれ形づくられてきたのか」というような基本的な問題に答えることです。また加速器を用いた核医学治療薬開発や半導体デバイスのソフトエラー評価などの応用研究も産学共創で推進しています。2018年度からは国際共同利用・共同研究拠点「国際サブアトミック科学研究拠点」として活動しています。
サイクロトロン施設(写真参照)では、これまで世界を牽引してきた陽子などの軽イオンビームを用いた原子核実験研究および応用研究をさらに発展させるために、AVFサイクロトロンの全面的アップグレードを実施しました。令和4年度はビームコミッショニングを進めながら、新生AVFサイクロトロンを用いて陽子ビームおよびヘリウムビームによる核医学、半導体デバイスの放射線損傷などの研究を開始しました。
レーザー電子光施設では、高エネルギー光子ビームを用いて、ハドロンの実験的な研究を行っています。まず複数の荷電粒子を検出する装置を使って、風変わりなハドロン(3つのクォーク、あるいはクォークと反クォークで表されないハドロン)や風変わりな原子核 (陽子や中性子以外にメソンを構成要素とする原子核)を生成するデータを収集しました。また複数の光子を検出する装置の大立体角化を行い、原子核中でのハドロンの質量変化を調べる実験を高度化する準備作業を行いました。
理論研究では、強い相互作用をする宇宙の物質生成の基礎となるハドロン・原子核物理を、解析的な理論計算と富岳などのスーパーコンピュータを使ったシミュレーションによって解明します。実験グループとの連携も密に行い、RCNPの他、理研、KEK、J-PARCなど国内の加速器施設、さらには欧州のLHCなど海外の施設が提供する最新のデータをも活用します。近年はフェムト世界における閾近傍のクラスター生成や、異なる形が共存する現象を量子多体系の第一原理的な手法により理解を進めています。
大型研究施設を抱える核物理研究センターは積極的に施設公開を行っています。講義(約30分)と見学(約50分)で構成され、リピータが多いのが特徴です。中学生や高校生が主ですが、近年は海外からの見学者も増えています。令和5年度は48団体から1776人の訪問者を受け入れました。
福島原子力発電所の事故後、早急に福島でスクリーニング作業を分野の研究者の協力をまとめる形で始めました。すぐに文部科学省の事業として推進される様になり、更に土壌の放射線線量の測定も文部科学省の一事業として進めました。福島第一原子力発電所周辺の「放射線量等分布マップ」の作成に中心的役割を果たしました。以下のURLで公開中のデータの一部を写真に示します。
(参照: http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/dojo/)
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