研究所・研究センター一覧

千葉大学環境リモートセンシング研究センター

Center for Environmental Remote Sensing, Chiba University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


センター長
服部 克巳
Hattori, katsumi
キーワード
リモートセンシング、地理情報、大気環境、陸域環境、気候変動、モデル統合
住所
〒263-8522
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
診断的な地球環境科学研究の発展に貢献

衛星によるリモートセンシングは、広域の地球環境を同時に、かつ繰り返して観測できるため、地球環境のモニタリングにおいて必須の技術となっています。環境リモートセンシング研究センター(Center for Environmental Remote Sensing, CEReS) は1995年に設立され、次の三つのミッションを持って研究活動を行っています。

  1. リモートセンシングに関する先端的な研究を行うこと
  2. リモートセンシングデータを用いて地球表層環境変動研究を発展させること
  3. リモートセンシングを社会に役立てる研究を行うこと

CEReSは国内の関連コミュニティ機関と積極的に連携して共同研究を行い、データの観測・解析・公開・共有を通じて診断的な地球環境科学研究の発展に貢献しています。また、アジア諸国等との国際共同研究や大学院教育等を通じたリモートセンシング研究者の育成にも力を注いでいます。

令和5年度の研究活動内容及び成果


マルチプラットフォーム搭載円偏波合成開口レーダの開発

マイクロ波レーダを用いたリモートセンシングは、昼夜を問わず、また、雲や霧があってもそれを透過して地表面の観測を行うことが可能です。CEReSでは、独自の偏波技術に基づいて航空機や無人航空機や成層圏プラットフォームシステムや小型衛星に搭載できる軽量の円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)の開発を行い、航空機搭載による実証実験を実施し、性能評価、応用開発を行いました。今後は成層圏プラットフォームなど搭載SARとAIによる地表面変動をはじめ、植生変化、豪雨時の地表面状態、精密農業、地区分析管理等のリアルタイムモニタリングなどへの応用が期待できます。

図. 円偏波合成開口レーダ(CP-SAR) <br>(左上)XバンドSAR搭載Boeing 737航空機、(上中)LバンドSAR搭載無人航空機、(右上)CP-SARとAIによる地区分析管理、(下左)LバンドCP-SAR搭載小型衛星、(下右)CP-SAR搭載CN235航空機とその取得画像

図. 円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)
(左上)XバンドSAR搭載Boeing 737航空機、(上中)LバンドSAR搭載無人航空機、(右上)CP-SARとAIによる地区分析管理、(下左)LバンドCP-SAR搭載小型衛星、(下右)CP-SAR搭載CN235航空機とその取得画像

大規模数値計算とデータ駆動科学による災害・環境予測

2022年度から開始したムーンショット目標8おいて、海上豪雨生成によって陸域集中豪雨被害を緩和させるためのコア研究課題を推進しています。気象や防災に加え、数理・情報・哲学・法学研究者や、損害保険・気象予報業務会社など、産学・異分野横断研究グループで推進しています。

図. 研究センターで推進中の、気象研究に向けた研究プロジェクトの全体像。

図. 研究センターで推進中の、気象研究に向けた研究プロジェクトの全体像。

世界の静止衛星観測網を活用した陸域モニタリング研究

ひまわりでよく知られている静止気象衛星は、10分に1回といった従来の衛星観測に比較して非常に高い頻度で地球表層を観測します。さらに最新の静止気象衛星では、観測性能が向上し、1km解像度のカラー画像を取得でき、陸域モニタリングへの応用が可能になっています。世界の静止気象衛星を国際共同研究によりネットワーク化し、植生変化など陸域のモニタリングを推進しています(https://ceres.chiba-u.jp/geoland/)。

図. ひまわり8号で推定した地表面温度を用いた植生乾燥ストレスモニタリング (Yamamoto et al. 2023)

図. ひまわり8号で推定した地表面温度を用いた植生乾燥ストレスモニタリング (Yamamoto et al. 2023)

世界最先端のリモートセンシング技術による地球大気環境変動研究の推進-気候危機の緩和および適応に向けて-

最大の地球環境問題のひとつとして人類の持続可能性までも脅かしている気候変動の影響が「気候危機」として世界各地で顕在化してきています。気候危機の原因が人間活動にあることは疑う余地はなく、その緩和および適応に向けた対策が急務となっています。地球大気環境変動研究において、リモートセンシング技術は地球規模で長期にわたって均質なデータをもたらす唯一の方法であり特に重要です。当センターは独自の世界最先端のリモートセンシング技術・データなどを基盤に、国際地上リモートセンシング観測網を主導して広く国内外の研究機関と国際共同研究を進めています。衛星リモートセンシングも組み合わせ、ローカルだけでなくグローバルにも顕在化している様々な予測困難な現象に特に着目して、地球大気環境変動研究を推進しています。

図. CEReSが主導している2つの国際地上観測網(SKYNET、A-SKY)。

社会との連携


静止気象衛星ひまわり8/9号のデータアーカイブ・公開

CEReSでは、ひまわり8/9号データをリアルタイムで処理し、精密な位置補正を行い、ユーザが使いやすい座標系に変換したデータを公開しています。リアルタイム動画は、次のサイトでご覧いただけます。
http://quicklooks.cr.chiba-u.ac.jp/~himawari_movie/index.html

図. CEReSが処理・公開するトンガの大規模噴火を捉えた静止衛星ひまわりの画像。

図. CEReSが処理・公開するトンガの大規模噴火を捉えた静止衛星ひまわりの画像。

食料安全保障を目指した気候変動適応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装
=リモートセンシングで水稲の損害評価の効率化を実現=

気候変動の適応策として期待される農業保険は食料安全保障のための重要な社会インフラとして各国で運用されています。JST/JICA-SATREPSプロジェクトにおいて、保険の対象である水稲の干ばつ害、病虫害、水害について空間情報を駆使した損害評価プロセスを創りました。構築した手法の有効性はインドネシア中央政府によって承認され、西ジャワ州内及び他7州に広く展開するためにプロジェクトのフォローアップ活動を推進中です。
https://www.jst.go.jp/global/kadai/hyouka/pdf/h2804_indonesia_terminal-evaluation-report.pdf

 

 

図. リモートセンシングで水稲の損害評価の例

研究所・研究センター一覧

Links

文部科学省日本学術会議国立大学共同利用・共同研究拠点協議会janulogo300-80