スラブ・ユーラシア研究センターは、1955年に設立され、旧ソ連・東欧地域に関する、人文・社会科学を中心とした学際的研究を使命としています。歴史、文化、言語、人類、政治、経済、国際関係などの専門家が力を合わせ、フィールドワークと文献研究を両輪とした多様なプロジェクトに取り組んでいます。特に旧ソ連・東欧で脱社会主義化が進んだ1990年代以降、政治・経済・社会の深い変動と、スラブ系とテュルク系、キリスト教とイスラームなどにまたがる文化的多様性に注目した研究を進め、旧ソ連・東欧以外のユーラシア諸地域との比較研究も行っています。共同利用・共同研究拠点としては、国内外の研究者・関連学会との連携を一層強めながら、アジアにおけるスラブ・ユーラシア地域研究をリードし、世界的な拠点となっています。
センターは今、戦争と気候変動を長いタイムスパンの中で考えることに注力しています。定例の国際シンポジウムでは、夏期に中央ユーラシア環境史の分野における文理協働研究の試みとして「崩壊の局面:アフロ・ユーラシアから「14世紀の危機」を思考する」を、冬期には「ユーラシアの国境、境界、戦争:暴力と復興のサイクル」を開催しました。両シンポジウムとも国内外のシニア研究者と若手研究者の報告会を含んでおり、次世代育成も企図した国際共同研究に進展しています。また、二年前に始動した「生存戦略研究ユニット」と令和5年度に始動した「ウクライナ及び隣接地域研究ユニット」の枠組みなどで、緊張を増す国際情勢・地域情勢に対応した企画にも取り組んでおり、世界諸地域の脱植民地化と、ウクライナ、コーカサス、パレスチナの状況及び今後の研究のあり方を議論するシンポジウムも組織しました。
著名な専門家やオピニオンリーダーと協力して、公開講座「どうなる? どうする? 日露関係」(後日YouTube配信)、公開講演会(3回)及び、国立大学附置研究所・センター会議第3部会(人文・社会科学系)シンポジウム「危機の世紀」を実施しました。また、北海道新聞社と連携して、ウクライナ戦争が境界地域(稚内及び根室)に与える影響について世論調査を行うと共に、境界地域研究ネットワークJAPAN(JIBSN)セミナー2023「境界地域の移住と観光を考える」(北海道・標津町)を共催し、境界研究に関わる実務者との実社会共創を推進しました。
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