繊維科学研究所(IFES)では、信州大学繊維学部附属高分子工業研究施設(1966年)の設立以来、約60年に渡って国内外の繊維科学研究を牽引してきました。繊維は、人類生活に欠くことのできない材料なだけでなく、様々な材料との複合化により、航空機や自動車の構造材料、二次電池のセパレータ、感染症対策、薬剤輸送システムなど、幅広い素材の機能性向上に貢献しています。IFESは、繊維の基礎材料である高分子合成から、テキスタイル・ファブリック成形、それらの機能・物性評価までを一貫実施できる知見と豊富な共通機器類を備えた、世界的にもユニークな拠点です。国内外の多様な機関との共同研究によって異分野融合を促進し、新たな高分子材料創成や繊維材料の応用展開を進めるとともに、繊維を理解し使いこなす人材育成を行います。
従来の固体電解質は強度が弱く、熱安定性も低いことが課題であり、全固体電池の小型化に必須な電解質の薄膜化を実現することが困難でした。今回新たに開発した支持体に電解質を充填させて得られた固体電解質は引張強度が向上し、高温(200℃以上)での熱的安定性も改善しました。PVDFナノファイバーはPET不織布の空隙率やポアサイズの均一性が改善され、リチウムイオン電池が要求するイオン伝導率を満たすことが確認できました。本研究の成果は、国際的に著名なジャーナルであるJournal of Power Sourcesに掲載されました。
IFESでは、繊維科学研究の国際的な研究交流と異分野融合を進めるため、国際シンポジウムを定期開催しています。主なものは、”East Asia Special Symposium on Advanced Functional/Textile Materials: Initiatives by Distinguished Researchers”(2024年1月25-27日開催)を対面開催し、国内外から100名程度の研究者・学生等の参加がありました。講演は繊維材料工学、ナノ繊維、シルク関連材料、臨床医学、生体機能材料、タンパク質工学、カーボン・ナノ材料など広範に渡り、繊維科学研究所の施設・設備の見学も行いました。
1.当研究所特任教授が、(一財)機械システム振興協会から(一社)日本縫製機械工業会への委託事業「縫製工程の自動化に向けたCADデータ活用に関する戦略策定」 委員会委員長 に就任しました。国内縫製工場の特に自動化が遅れている縫製工程において、デジタルミシンがCADデータを共通に取り込める「共通フォーマット」を策定し、熟練オペレーターの技能代替実現を目指します。
2.信州大学と安曇野市の包括連携協定のもと、天蚕繭収穫量安定化に寄与する調査研究等の事業を推進しました。カイコとその近縁種ヤママユガ(天蚕)の遺伝育種研究と、亜種・産地別系統保存事業は、研究用資源としてナショナルバイオリソースプロジェクトにも選定されています。
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