生態学研究センターは、生態学の基礎研究と国際共同研究の推進を目的に、平成3年に全国共同利用施設として設置されました。現在は、生態学・生物多様性科学の共同利用・共同研究拠点として、国内外の研究者が利用できる研究体制を取っています。当センターでは、生物の個体群や群集、生態系など、個体レベル以上の生命現象をさまざまな観点から研究しています。多様な生物が、互いに影響を与えつつも共存している姿を描き出し、生態系が成り立っているプロセスや進化の理解と、我々が生態系から受けているさまざまな恩恵の解明を目指しています。
東南アジアでは約2ヶ月にも及ぶ強い乾季をもち、熱帯季節林と呼ばれる天然林が広がっている。しかし熱帯季節林は、常緑樹林や、異なった2つのタイプの落葉樹林があり、その成立要因や森林機能の違いなどよくわかっていない。これら3つの森林タイプで107、65、51樹種の林冠葉の生理や形態特性を調べ、そのデータを一般公表した(Ishida et al. 2024, Scientific Data)。これは森林を構成する樹木種の70%から95%を網羅するインベントリーデータとなった。データ解析の結果、高土壌栄養塩では落葉樹林が成立し、低土壌栄養塩では土壌が厚いと常緑樹林が、土壌が薄いとまた異なったタイプの落葉樹林が成立し、土壌の違いに応じて異なった葉の特性を持っていた。すなわち熱帯季節林は、立地土壌の違いによって異なったタイプの森林を成立させ、異なった森林機能を持っていることが明らかになった。
京都大学は、全国各地に数多くの教育研究施設を展開しています。これらの隔地施設は、本学の多様でユニークな教育研究活動の拠点として重要な役割を果たすとともに、施設公開などを通じてそれぞれの地域社会における「京都大学の窓」となっています。これらの施設をそれぞれの地域により溶け込ませるため、京都大学は「京大ウィークス」として各施設を一般公開し、さまざまな公開イベントを行っています。
生態学研究センターは、京大ウィークスの機会を利用して、生態学の入門講座を小中学生や一般市民向けに開催しています。例年、「生態研センターの森の自然観察会」と題した野外の森の観察会を行い、参加者からは大変な好評をいただいています。この企画は、毎年少しずつ工夫をしながら、今後も継続します。
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