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京都大学化学研究所

Institute for Chemical Research, Kyoto University
  • 第1部会
  • 国際共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
島川 祐一
Shimakawa, Yuichi
キーワード
化学、元素科学、物性科学、生物・情報学、ビーム科学、および学際プラットフォーム
住所
〒611-0011
京都府宇治市五ケ庄
化学を原点として、多様な研究分野が、その深化と連携・融合を目指す

1926年設立の京都大学で最初の附置研究所である化学研究所は、30研究領域(専任教員約80名、留学生約80名を含む大学院生約250名、研究員等約70名、別に5客員研究領域)からなる5研究系・3附属センター体制をとっており、化学を中心に物理・生物・情報学に及ぶ先進・横断的研究を展開しています。各々の研究領域は、理、工、農、薬、医、情報学の本学大学院研究科の協力講座として次代を担う研究者の育成に努め、全学の教育にも積極的に貢献しています。最近では、「国際共同利用・共同研究拠点」(平成30年度文部科学省認定)、「上海オンサイトラボラトリー」(令和元年度京都大学認定)などの活動を通して国際的な学際分野の開拓も進めています。基礎から応用にいたる幅広い領域で、常に多様で新規な先駆的・先端的な研究を推進し、新たな知への挑戦を続けています。

令和6年度の研究活動内容及び成果


光学材料革新が拓く超高出力レーザー

超高出力レーザーはレーザー核融合や宇宙デブリ除去など、多岐にわたる応用が期待されています。しかし、レーザーシステムの最大出力や効率といった基本性能は、キーパーツを構成する光学材料の特性によってしばしば制限を受けます。たとえば、ファラデー効果を利用した光アイソレーターは「戻り反射光」によるレーザー損傷を防ぐうえで不可欠ですが、従来材料では高パワー耐性と大口径化の両立が課題でした。

京都大学化学研究所の時田茂樹教授らの研究グループは、日本電気硝子・大阪大学・核融合科学研究所と連携し、大口径化が可能な低損失ガラス製ファラデー素子の開発に成功しました。同素子は従来の単結晶素子と比べて吸光係数を約1/5に低減し、高出力照射時でも熱複屈折を抑制できることを実証しています。
(プレスリリース:https://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/sites/topics/250326/

一方、レーザー増幅素子のサイズはレーザーの最大出力を左右する主要因です。同グループは物質・材料研究機構および大阪大学と共同で、大型素子の製造を可能にする透明セラミックス技術の開発にも取り組んでいます。スパークプラズマ焼結法により、平均粒径がサブμmのEr:Y₂O₃透明セラミックスを作製し、中赤外域で高効率レーザー発振を達成しました(Ceram. Int. 2024, 50, 46925)。また、液相合成粉末から作製したNd,La:CaF₂透明セラミックスでは、La³⁺共添加によってNd³⁺のクラスタリングを抑制し、近赤外域で高効率発振を実現しました(Opt. Mater. Express 2025, 15, 890)。

これらの成果は超高出力レーザーのさらなる高出力化・高性能化を加速し、持続可能な社会の実現に大きく貢献すると期待されます。

社会との連携


■産官学連携・社会連携・情報発信

科学技術の高度化・専門分化が加速される中、産業界との研究連携は一層重要となってきています。本研究所では、多くの受託研究、共同研究などを通じて産官学連携研究の推進に注力しています。また、広く社会との連携も積極的に進めており、所外研究者や一般の人々に向けて、宇治キャンパス公開(2024.10.19-20第28回)、化学研究所研究発表会(2025.2.14第124回)、中・高校生向け出前授業などを行い、最新の研究成果を発信しています。広報誌「黄檗」やAnnual Reportなどの刊行物の発行、ウェブサイトやSNSによる情報発信も重要な広報活動です。また、化学研究所が創立100周年を迎える2026年秋には、京都大学総合博物館にて特別展を予定しています。(化学研究所創立100周年特設サイト

研究発表会の様子

研究発表会の様子

「京都の化学・化研の歴史」 〜化学研究所創立100周年記念特別展〜

「京都の化学・化研の歴史」 〜化学研究所創立100周年記念特別展〜

  ■国際交流

化学研究所では、部局間学術交流協定(令和7年4月時点で72件)などを基盤に、多くの海外研究機関と積極的な国際交流を実践してきました。これを一層推進すべく、平成23年度から、若手教員や大学院生などの短期の研究滞在を対象として、当研究所からの派遣と海外からの受入を支援する「化学研究所若手研究者国際短期派遣・受入事業」を実施しています。また本研究所には年間約200名の外国人研究者が訪れ、国際シンポジウムや研究所見学、共同研究などを行なっています。

部局間学術交流協定締結記事

部局間学術交流協定締結記事

国際シンポジウムでの集合写真

国際シンポジウムでの集合写真

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