乾燥地研究センターは、乾燥地研究に組織的に取り組む我が国唯一の研究機関として、1990年に設立されました。本センターは、鳥取大学の研究施設であると同時に、国内外の大学・研究機関から研究者を迎えて乾燥地研究を行う「共同利用・共同研究拠点」でもあります。その目的は、乾燥地における砂漠化や干ばつなどの諸問題に対処し、乾燥地における人と自然の持続性の維持・向上に資する研究を中核的研究教育拠点として推進するとともに、国際学術ネットワークの形成による研究者コミュニティの拡大、さらには、乾燥地科学分野のデータベース構築による総合的研究の推進、若手研究者の人材育成を図ることにあります。
貧困や人口増大を背景として、農地を酷使したり、不適切に利用したりすると、表面の土壌が風や雨によって失われたり、土壌の性質が悪くなったりします。乾燥地におけるこのような土地の劣化を砂漠化とよびます。こうして乾燥地では、ただでさえ湿潤地に比べて作物が育ちにくいうえに、干ばつや砂漠化などの災害にも見舞われます。こうした乾燥地の問題を、砂漠化・土地劣化・干ばつ(Desertification, Land Degradation and Drought: DLDD)とまとめてよびます。
砂漠化・土地劣化・干ばつによる問題を防ぎ、乾燥地を持続的に利用していくための手法・アプローチを国際社会では、「持続可能な土地管理(sustainable land management: SLM)」とよんでいます。私たちは、エチオピアを対象にして、土壌侵食防止機能の強化、土地生産力の向上、住民の所得向上を組み込んだ持続可能な土地管理フレームワークの開発に取り組んでいます。具体的には、降雨による土壌侵食の激しい青ナイル川上流域の3地域(高地、中間地、低地)に設置する研究サイトにおいて、土壌侵食の削減や耕畜連携システムの導入により土地生産力を向上する技術を開発し、さらにそれを住民の生計向上につなげる手法を開発しています。最終的には、開発された個別要素技術と普及していくための取り組み・手法を定式化し、次世代型SLMフレームワーク(エチオピアモデル)を提案し、青ナイル川流域および世界の乾燥地への展開を目指しています。
令和3年度は、人間活動と気候変動に対する水文学的応答および堆積物応答のモニタリング、生物物理的手法および土壌改良剤を用いた土地管理が土壌侵食の削減に及ぼす効果の評価、「教会の森」由来の土壌微生物を用いた劣化地での在来樹種の実生定着手法を実施しました。
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