研究所・研究センター一覧

金沢大学がん進展制御研究所

Cancer Research Institute, Kanazawa University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
平尾 敦
Hirao, Atsushi
キーワード
腫瘍学
住所
〒920-1192
石川県金沢市角間町
〒920-0934
石川県金沢市宝町13-1
(腫瘍制御研究分野、腫瘍内科研究分野)
がんの転移・薬剤耐性に関わる研究拠点形成を目指して

本研究所は、「がんに関する学理及びその応用の研究」を目的として、1967年にがん研究所として設立されました。以来、がんの基礎研究と研究成果の積極的な臨床応用を通し、がんに関わる広範な先端的学問領域での研究の発展と研究者の養成に努めています。特に、「がん幹細胞」と「がん微小環境」に研究の焦点を当て、転移・薬剤耐性の制御を目指した研究を推進し、その成果を臨床へと応用する研究拠点として活動しています。2011年には、転移・薬剤耐性に代表される「がんの悪性進展過程」の制御という研究所の使命を明確にするために、「がん進展制御研究所」へと名称を変更いたしました。2016年には、これまでの活動を基盤とし、さらに次世代のがん研究を推進する目的で、「先進がんモデル共同研究センター」を発足させ、国内外の共同研究推進の核として活動しています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


胃組織幹細胞の同定と胃がん発生機構の解明

胃組織は日々修復・再生されています。一方で、炎症や細菌感染などの傷害にさらされ続けることで胃がんが発生します。これまで、胃体部における正常組織幹細胞の存在と胃がん幹細胞との関連は、多くが謎に包まれていました。本研究所に所属する招聘型リサーチプロフェッサーNicholas Barker教授および村上和弘助教らは、Lgr5遺伝子が発現している細胞を、緑色蛍光タンパク質で可視化できるモデルマウスを作製し、胃体部で傷害が起こった際にWntシグナルに依存して増殖する、Lgr5遺伝子陽性の正常組織幹細胞を同定することに成功しました。さらに、これらの組織幹細胞でがん遺伝子を働かせることで、胃がんが発生することを明らかにし、学術雑誌にその成果を発表しました (Nat. Cell. Biol., 2017)。これらの研究成果は、胃がんの根本的な治療法および効果的な抗がん剤の開発につながることが期待されます。また、 Lgr5遺伝子は、他組織でも発現していることから、本モデルマウスを用いて、未知の組織幹細胞を同定し、その制御機構を明らかにすることで、再生医療への貢献も期待できます。

胃体部に存在する胃腺の底部に、Lgr5遺伝子陽性の正常組織幹細胞が存在します。これらの細胞は、傷害が起こるとWntというシグナルに依存して盛んに分裂し、胃組織を形作る全ての細胞に分化して傷ついた胃を修復します。一方で、これらの組織幹細胞内でがん遺伝子が働くことで、胃がんが発生します。このことは、傷ついた胃を修復・再生する「組織幹細胞」が、異常になることによりがんを生み出す「がん幹細胞」に変化してしまうことを示唆しています。

社会との連携


がんの先端研究を推進し、社会に還元する

がんは、日本人の死亡原因の1位であり、3人に1人ががんで亡くなっています。特に、遠隔臓器への転移や薬剤耐性が原因となる再発に代表される「がんの悪性化進展」を制御することは、がんの克服にはとても重要な課題です。私たちは、ゲノム情報をもとに、さらに新しい切り口によるがん研究の推進が重要であると考え、「がん幹細胞」、「がん微小環境」に集中して研究を進めて参りました。本研究体制で得られた成果を基に、創薬研究や臨床研究(治験)などのトランスレーショナルリサーチを推進することにより、社会に還元することを目指しています。現在、本研究所が主体となり、複数の医師主導治験が進行しています。これらの成果により、将来のがん医療の向上に大きく貢献できると期待しています。また、本研究所での最新の研究成果を紹介する市民公開講座の開催、高校生を対象としたがん研究紹介に加え、がんについての正しい知識を伝えるがん教育にも力を入れています。今後も、新たな研究シーズの発掘・育成、産学連携によるがん創薬の推進、トランスレーショナルリサーチという一連の活動をいっそう加速化させ、国民の健康維持増進、福祉の向上に寄与したいと考えています。

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