つくば機能植物イノベーション研究センター(T-PIRC)は、植物遺伝子および植物バイオテクノロジー研究を精力的に行ってきた遺伝子実験センターとフィールドを活かした農業研究を推進している農林技術センター農場部門の統合により、平成29年4月に新たに設置されました。加えて令和元年には、産官学連携による研究事業を推進することを目的としたインダストリアルゾーンをオープンすることにより、植物バイオテクノロジーと生物資源を基調とした基礎・基盤研究から応用・開発、社会実装までをOne-Stop Shopで行う研究拠点としての機能強化を行い、食料や資源の安定的確保といった持続可能な社会の実現に寄与しています。また、本研究センターから生み出された先端研究成果や社会実装に向けた各種取り組みにより、次世代技術を習得した人材育成の促進にも貢献します。
本センター教員を中心とした研究活動および共同利用・共同研究拠点「形質転換植物デザイン研究拠点」で進めている共同利用・共同研究を通じて、植物遺伝子の機能解明や遺伝子組換え植物の作成技術・育成・特性解析・食品安全性評価等について多くの成果が得られました。さらに文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクトや日仏国際ジョイントラボ等の活動を通じて遺伝資源の収集・配布を行うと共に、日本におけるナス科・ウリ科ゲノム研究の中心機関として国内・国際連携を推進し、研究者コミュニティの連携を積極的に支援しました。またフランス国立農学研究所やホーチミン市バイオテクノロジーセンター、ミシガン州立大学植物レジリエンス研究所等、海外関連機関等との連携強化を進めるなど、グローバル拠点化を推進しています。情報発信では特別シンポジウムを開催し、急速に開発が進んでいる新しいゲノム編集技術を応用した育種に関して、最新情報を多くの関係者に提供するとともに、今後の研究方策・情報提供のあり方等について意見交換を行いました。また、JST/JICA地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)により「メキシコ遺伝資源の多様性評価と持続的利用の基盤構築」に関する研究を展開し、遺伝資源に関する国際共同研究と研究者養成を行いました(SATREPS事業は2018年9月までですが、それ以降もメキシコとの共同事業は継続して進めています)。さらに、2022年度よりSATREPS新規課題として、「熱帯地域における持続的野菜生産のためのトオガラシ、トマトの革命的な育種技術開発」が採択され事業を開始しました。また、遺伝子組換え植物の野外利用において必須であるリスク評価に関わり、生物多様性影響評価について形質転換植物評価技術および管理技術に必要な科学的知見の基盤集積を行いました。
令和5年度における他の代表的な活動は以下のようなものです。
基礎研究で育成された遺伝子組換え植物やゲノム編集植物を応用研究に結びつけ、実用化していくために必要な様々な知識・技術・規制情報等を共有するため、産官学の研究者を対象とする公開シンポジウムや実務者研修会等を随時開催するとともに、多様な共同研究を実施しています。
大学発ベンチャー企業との共同研究でゲノム編集技術を活用して開発されたGABA高蓄積トマト、CRISPR/Cas9技術を活用して市販化された世界初のゲノム編集作物(本センターDistinguished Professor江面浩教授が、本研究の成果により2023年度「つくば賞」を受賞いたしました。)
北海道大学
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東北大学
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広島大学
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