2012年12月の設立以来、福島第一原発事故による環境中の放射性物質の拡散・輸送・沈着・移行の実態とメカニズムを解明し、長期的な汚染状況と被ばく線量の予測を通じて原発事故影響の早期収束に尽力してきました。
2019年より国内6研究機関による研究拠点の中核機関として、国内外の研究者らと共同研究を推進しています。昨今公募研究に応募される課題も多岐にわたり、分野横断型の新しい学術領域創出にも繋がっています。
また、原子力緊急時対応や放射性廃棄物処理・処分、特に放射線測定分野で活躍できる若手研究者の育成も我々の大きなミッションです。
今後も地球規模課題を解決する知の創造と人材を創造する「世界的な教育研究拠点」を目指し、地球環境科学に放射化学や放射線影響学、原子力学などと、アイソトープを用いた地球環境変動の解明を目指す研究により一層尽力してまいります。
共同研究拠点事業として「重点共同研究」61件、「若手共同研究」28件、「海外共同研究」27件及び公募型以外に拠点間強化を目的とした共同研究10件を採択、実施しました。
重点では国内の大学・研究機関の研究者と重点課題についての戦略的な共同研究を展開し、若手では35歳以下の若手研究者を対象として重点的に支援を行い、当センターの施設やデータベースを活用した共同研究を推進しました。
令和3年5月には、コロナ禍で人の移動が制限されていたため、オンライン会議システムを用いてキックオフミーティングを開催し、海外も含めた80余りの拠点(共同研究者等)を繋ぎ、国内外から約100名の研究者が参加し、ポスター発表等を行いました。また、令和4年2月には、オンラインによる年次報告会を開催し、世界中から118名の研究者が研究成果発表や活発なディスカッションを行い、分野横断型の研究を推進しました。これら令和3年度の共同研究の採択者により、森林、陸水分野、海洋生態系分野、農産物分野などから59報の論文が出版されました。
原発事故後に多くの研究者や政府機関により測定された貴重かつ膨大なデータを次世代に残すため、様々な機関からデータを収集し、DOIを付与・出版しています。
構築したデータ検索システムでは、時間、緯度、経度、高度・深度、空間、放射性核種の名前、サンプルのタイプなどを指定することで、これらの出版されたデータおよび他機関から公開されているデータの一部を含めて串刺しで検索し、ダウンロードすることができます。
令和4年1月現在、これまでに出版したデータの総レコード数は206万、ダウンロードされたデータセット数は5,421となっています。また、原発事故直後からの環境試料についても、DOIの付与・出版を進めており、現在8件の566サンプルが公開され、ダウンロード可能となっています。今後、モデル計算データについてもDOI出版に向けて取り組んで参ります。
これらのデータは、環境放射能の研究者だけでなく、世界各国の政策決定者を含むすべての人への正確な情報提供を目的にCreative Commons Attribution 4.0 International Licenseのもとで完全公開しており、利用者数は増加傾向にあります。
今後、このデータベースを後世に残し、社会に活用される唯一無二の貴重な研究資源として充実させて参りたいと考えています。
データベースサイト Welcome to ERAN Database (tsukuba.ac.jp)
北海道大学
帯広畜産大学
東北大学
弘前大学
筑波大学
群馬大学
千葉大学
東京大学
東京医科歯科大学
東京外国語大学
東京工業大学
一橋大学
新潟大学
富山大学
金沢大学
静岡大学
名古屋大学
京都大学
大阪大学
神戸大学
鳥取大学
岡山大学
広島大学
徳島大学
愛媛大学
高知大学
九州大学
佐賀大学
長崎大学
熊本大学
琉球大学