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神戸大学計算社会科学研究センター

Center for Computational Social Science, Kobe University
  • 第3部会

研究所・センターの概要


センター長
上東 貴志
Kamihigashi, Takashi
キーワード
計算社会科学
住所
〒657-8501
兵庫県神戸市灘区六甲台町2-1

計算社会科学研究センター(Center for Computational Social Science)は、社会科学、計算科学、データサイエンスの融合領域である計算社会科学における共同研究を推進し、計算科学とデータサイエンスに基づいた新しい社会科学としての計算社会科学の確立を目指しています。

当センターは、2018年4月1日に神戸大学基幹研究推進組織として設置され、主に以下の事業を行っています。

  1. 計算社会科学における先端研究
  2. 計算社会科学における研究を促進するための技術開発
  3. 計算社会科学における研究を促進するためのデータベース作成
  4. その他、計算社会科学における学術研究の推進と普及のために必要な事業

令和6年度の研究活動内容及び成果


■Journal of Computational Social ScienceJCSS
Journal of Computational Social Science(JCSS)は、当センター長上東貴志教授を編集委員長として2018年1月にSpringer社から創刊されました。計算社会科学に特化した世界初の査読付き学術雑誌として、世界中から多数の論文が投稿されています。2021年にEmerging Sources Citation IndexとしてWeb of Scienceに収録されました。

令和6(2024)年度は、当センター主催の国際シンポジウム・国際ワークショップを2回、共催のシンポジウム・学会を2回開催しました。主な開催事例は以下のとおりです。

■The 2nd Joint CCSS-UvA Workshop on Computational Social Science and Intelligent Systems, Amsterdam 2025
2025年3月5日から6日にかけて、オランダのアムステルダム大学にて、『The 2nd CCSS-UvA Joint Workshop on Computational Social Science and Intelligent Systems, Amsterdam 2025』が開催されました。このワークショップは、神戸大学計算社会科学研究センターとアムステルダム大学情報学研究所および社会行動科学部の共催で行われました。

ワークショップ1日目は、メインコーディネーターであるIvan Romic氏 (神戸大学計算社会科学研究センター)とFernando Santos氏(アムステルダム大学情報学研究所)が概要を説明し、10名の研究者が、経済学、ビジネス、金融、環境科学、メンタルヘルスなど、多様な分野における計算社会科学的手法の応用事例について発表しました。発表内容は、人間やAIエージェントの行動を研究するための理論的、実験的、ハイブリッドなアプローチなど多岐にわたり、トピックには、ハイブリッド集団における協力と評判のダイナミクス、社会的ジレンマにおける人間の協力を反映する大規模言語モデル(LLM)の能力などが含まれました。

  

このプログラムでは、地球システム予測のための基礎モデルの利用や、社会規範とメンタルヘルスを症状レベルで理解するための計算機的アプローチに関する講演も行われました。さらに、不正検知、銀行と借り手のネットワークにおけるリレーションシップ・レンディング、匿名化データを利用したダイナミックな産業セグメンテーションなど、金融におけるAIと機械学習の応用について探求するセッションもありました。最後に、断続的な給水のような資源不足に対する社会的適応を理解するための計算手法が発表されました。

ワークショップ2日目は、Steven Pickering氏(アムステルダム大学社会行動科学部)によるRoeterseilandキャンパスのキャンパスツアーを行い、計算社会科学プログラムの学部2年生が実際に受講している授業を見学しました。参加者は熱心にメモを取り、質問を通して積極的に講師と関わるなど、高い関心を示しました。

  

授業見学後のワークショップでは、アムステルダム大学 社会・行動科学部の計算社会科学学士プログラムのディレクターであるEelke Heemskerk氏による、プログラムの構成、目的、教育的アプローチについての詳細なプレゼンテーションが行われました。

その後、アムステルダム大学のSteven Pickering氏、Giovanni Sileno氏(アムステルダム大学情報学研究所)、Vitor Vasconcelors氏(アムステルダム大学情報学研究所)、神戸大学からは、柴本昌彦氏、内田浩史氏(神戸大学大学院経営学研究科)、宮崎智視氏(神戸大学大学院経済学研究科)の3名が参加し、それぞれの学部における計算社会科学やデータサイエンスの教育プログラム立ち上げの取り組みについて発表しました。また、実施するに当たり課題も共有され、学際的な議論が活発に行われました。
最後に、アムステルダム大学の計算社会科学学位プログラムに在籍する4人の学生(1年生1名、3年生3名)が、現在進行中のプロジェクトについて報告し、PBL(Problem-Based Learning)カリキュラムやプロジェクト作業についての経験を共有しました。

 

今年も2日間にわたるワークショップは成功裏に終わることができ、両大学の今後のパートナーシップは間違いなく強化されたと確信しています。

社会との連携


■YouTubeチャンネル『CCSS School on Computational Social Science』
主に大学院生や研究者を対象に、2022年に『計算社会科学入門』(丸善出版、2021年1月発行)12章のうち9章の紹介動画とともに開設しました。その後も動画を追加しています。

CCSS School on Computational Social Science – You Tube – https://www.youtube.com/@ccssschooloncomputationals1386/featured

■スーパーコンピュータ「京」の展示
理化学研究所から譲渡されたスーパーコンピュータ「京」の1筐体を神戸大学フロンティア館3階において2022年から公開しています。経済経営研究所経営機械化展示室では国産初のコンピュータを展示していることから、神戸大学キャンパス内では、国産最古と最新のコンピュータを間近で見学することができます。

スーパーコンピュータ「京」展示

スーパーコンピュータ「京」展示

経営機械化展示室 展示

経営機械化展示室 展示

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