熱帯生物圏研究センターは、沖縄北部・瀬底島に設置される瀬底研究施設、西表島に設置される西表研究施設と沖縄本島中部の琉球大学キャンパス内に設置される分子生命科学研究施設・西原研究施設より構成される、日本最南端の共同利用・共同研究拠点(熱帯生物圏における先端的環境生命科学共同研究拠点)です。本センターでは、琉球列島をはじめとする亜熱帯から熱帯域の多様な生物群を主な対象として、熱帯圏特有の生命現象に関する研究を行っています。研究組織は5つの研究部門と客員研究部門から成り、国内外の研究者との共同研究を行うほか、外部研究者が主体となった研究プロジェクトへの施設・設備の提供も実施しています。また野外での実習や調査のベースなどとしても機能し、大学院生や学部学生の教育にも利用されています。
西原研究施設の多様性生物学研究ではメダカの網羅的系統樹を推定し、メダカ科魚類の共通祖先がインド亜大陸に起源することを明らかにしました。また、瀬底研究施設ではサンゴの産卵・受精に関して、産卵日を決める環境要因を解明し、配偶子の遺伝的多様性と量が次世代に反映されることを明らかにしました。マングローブの保全遺伝学研究や、環境DNAを用いたマングローブ生態系の生物多様性研究では、西表研究施設は国際的な研究ネットワークの中心的な研究拠点となっています。当センターの研究で構築したマングローブのゲノム研究に関する国際研究ネットワークの成果として、マングローブ林保全におけるマングローブ植物のゲノム情報の有用性を報告しました。分子生命科学研究施設では、結核菌の病原因子がミトコンドリア電子伝達系の構成分子への結合を介して、抗結核免疫に重要な分子IL-1bの産生を抑制することを見出しました。また、沖縄県衛生環境研究所とハブ類毒素に関する共同研究を進め、その結果、沖縄に生息するハブ類4種(ハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、タイワンハブ)の毒を迅速に識別可能なイムノクロマトキットの試作に成功しました。
当センターは、日本最南端最西端の国立大学附置研という立地を活かし、サンゴ礁、マングローブ林、亜熱帯林をフィールドとして、中高大学生および大学院生を対象とした実習や講義を、多数実施してきました。残念ながら、令和3年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、社会との連携活動が大きく抑制され、特に西表島などの医療環境が悪い離島での研究教育活動支援は、非常に困難な状態に陥りました。現在、少しずつ外部の研究者による施設利用が増加してきておりますが、感染拡大防止の観点から一部で施設利用者数の制限等を設けております。このため、まだ本来の活動にはほど遠い状態ですが、現在は県内感染者数や自治体による活動制限等の推移を見守りながら、本格的な活動再開を模索しています。
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