研究所・研究センター一覧

東北大学電気通信研究所

Research Institute of Electrical Communication, Tohoku University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
塩入 諭
Shioiri, Satoshi
キーワード
情報デバイス、ブロードバンド通信、人間情報システム、システム・ソフトウェア工学、ナノエレクトロニクス・スピントロニクス、ブレインウェア
住所
〒980-8577
宮城県仙台市青葉区片平2-1-1

本研究所は、八木・宇田アンテナやマグネトロンなど、1930年前後の本学工学部電気工学科における電気通信の先駆的研究の高まりを背景に、1935年、附属電気通信研究所として設置されました。現在、20余の研究分野から構成され20年のホライズンの研究を行う4研究部門、10年のホライズンで活動する 2研究施設、5年のホライズンを特化して行う研究開発センターの3体制を整えております。本研究所は、情報通信分野唯一の共同利用・共同研究拠点として研究者コミュニティに開かれた共同研究を推進し、国内外の研究者と連携して「人間性豊かなコミュニケーションを実現する総合的科学技術」の研究を行い、先導的役割を果してまいります。

令和2年度の研究活動内容及び成果


単一チャネル超テラビット級大容量光伝送技術に関する研究

本研究は、我々が考案したコヒーレントナイキストパルスを用いて、光通信で最も高速なビットレートを達成したものである。コヒーレントナイキストパルスはスペクトル広がりを抑えつつ超高速伝送を実現できる新たな光パルスである。現在実用化されている基幹光伝送網は1チャネルあたり100 Gbit/sで稼働しているが、本研究ではその100倍以上のスピードである15 Tbit/s伝送を単一チャネルで初めて達成した。本成果は科研費特別推進研究の中心的成果であり、日経産業新聞、日刊工業新聞等でも取り上げられ、社会的な関心を呼んでいる。
これを並行して、本研究では、ナイキストパルスを用いることで1チャネルあたり1 Tbit/sの伝送速度で1000 kmを超える長距離伝送が実現可能であることを示している。最近の光通信では、1チャネルあたり1 Tbit/sへの高速化に向けた研究開発が始まっているが、伝送距離の拡大が課題となっている。本成果は、ナイキストパルスが1Tbit/s超のビットレートで長距離伝送と高い周波数利用効率を実現可能な唯一のパルスであり、数ある伝送方式の中で最も実用性の高い超高速伝送システムであることを意味している。今後本伝送技術を基盤として、高速・高密度且つ制御性・経済性に優れた光通信の実現が期待される。

超高速ナイキストパルス伝送実験の様子

超高速ナイキストパルス伝送実験の様子

光通信に通常用いられるガウスパルスとナイキストパルスの比較。(a)のガウスパルスでは、隣り合うパルスどうしが重ならないよう、パルス幅を狭くする必要がある。(b)のナイキストパルスでは、隣り合うパルスどうしが重なっているにもかかわらず、青線で示すように各シンボル点では隣のパルスから干渉されず、情報が識別できる。

光通信に通常用いられるガウスパルスとナイキストパルスの比較。(a)のガウスパルスでは、隣り合うパルスどうしが重ならないよう、パルス幅を狭くする必要がある。(b)のナイキストパルスでは、隣り合うパルスどうしが重なっているにもかかわらず、青線で示すように各シンボル点では隣のパルスから干渉されず、情報が識別できる。

15.3 Tbit/sの半分の多重度で生成した7.7 Tbit/s信号。各パルスの振幅が64値で多値変調されているため、振幅方向に広がりが見えている。測定器の分解能の限界でこれ以上の高速パルスは測定出来ない。

15.3 Tbit/sの半分の多重度で生成した7.7 Tbit/s信号。各パルスの振幅が64値で多値変調されているため、振幅方向に広がりが見えている。測定器の分解能の限界でこれ以上の高速パルスは測定出来ない。

 
COVID-19流行と経済活動の相互作用に関する数理的研究

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行は、2021年5月現在、全世界的に猛威を奮っている。流行を阻止するためには、大型イベントを自粛する等、人と人との接触をできる限り少なくすることが必要であるが、その一方で自粛により膨大な経済損失が起きてしまうというジレンマが存在する。このジレンマを解消し、経済活動を維持しつつも流行を阻止するための方策を見出すことは、喫緊の課題である。
従来の感染症流行の数理モデルは、感染症流行と経済活動の相互作用が考慮されていない。そこで本研究では、経済活動の要因を取り込んだCOVID-19流行の数理モデルを提案した。個人の挙動が全体にどのような影響を与えるのかについて、本質的な要因を捉えるため、シンプルなエージェントベースモデルを採用した。シミュレーションの結果、上記ジレンマを再現することに成功した。本数理モデルは、今後ジレンマの解消についての議論をするためのプラットフォームになり得ると期待される。
T. Kano, K. Yasui, T. Mikami, M. Asally, and A. Ishiguro, An Agent-based Model of the Interrelation between the COVID-19 Outbreak and Economic Activities, Proceedings of the Royal Society A, 477, 20200604 (2021)

構築した数理モデルの概要。(a)各エージェントの感染状態の変化。(b)各エージェントの経済活動。各エージェントは基本的に自宅に滞在するが、商品に対する需要が閾値を超えると外出して商品を購入する。流行の度合いに応じて外出を自粛する。

構築した数理モデルの概要。(a)各エージェントの感染状態の変化。(b)各エージェントの経済活動。各エージェントは基本的に自宅に滞在するが、商品に対する需要が閾値を超えると外出して商品を購入する。流行の度合いに応じて外出を自粛する。

シミュレーション結果。(a)感染による死者数、(b)経済苦による死者数。λは自粛率、pEは感染率を表す。

シミュレーション結果。(a)感染による死者数、(b)経済苦による死者数。λは自粛率、pEは感染率を表す。

社会との連携


東北大学 電気・情報 産学官フォーラム 2020 の開催

2020年11月12日(木)に東北大学 電気・情報 産学官フォーラム 2020 をオンラインで開催しました。コロナ禍における「新しい」社会や人々の生活のために電気・情報技術がどう活用できるのかを考えるため、「『新たな日常』を豊かにする電気情報技術」をテーマとした議論に 240 名を超える方々が参加しました。

2020年度共同プロジェクト研究発表会の開催

電気通信研究所の共同プロジェクト研究は、情報通信分野に関係するさまざまな研究を国内外の優れた研究者の協力のもとに企画・コーディネートして実施しています。2021年2月18日(木) に開催された2020年度の研究発表会では、コロナ禍の現状を鑑み初のオンライン形式での開催となりましたが、260名を超える参加者と発表者の間で活発な議論が行われました。

 

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