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東北大学加齢医学研究所

Institute of Development , Aging and Cancer , Tohoku University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
川島 隆太
Kawashima, Ryuta
キーワード
加齢制御、腫瘍制御、脳科学、スマート・エイジング、医療機器開発
住所
〒980-8575
宮城県仙台市青葉区星陵町4-1

研究所では、「加齢に伴って増加する認知症などの脳加齢疾患および難治がんの克服」を具体的な目標として、「加齢制御」、「腫瘍制御」、「脳科学」の三つの研究部門、附属施設である医用細胞資源センターと非臨床試験推進センター、学内共同教育研究施設であるスマート・エイジング学際重点拠点研究センターで研究を推進しています。加齢制御部門では、加齢の分子メカニズムや、ゲノム損傷修復機構、生体防御機構の解明を行います。腫瘍制御部門では、腫瘍増殖制御のメカニズムを解明するとともに、最先端の癌診断・治療法の開発を行います。脳科学部門では、脳の発達と加齢の基礎研究を行うとともに、認知症など脳加齢疾患の最先端の診断・治療法の開発を行います。以上により、個人や社会のスマート・エイジング達成に貢献することを、理念に掲げております。なお研究所は「加齢医学研究拠点」として、全国共同利用・共同研究を積極的に推進しています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


がん細胞の染色体不安定性の原因の解明

がん細胞のほとんどで染色体の数や構造の異常が見られ、その背景には細胞分裂の際に染色体の不均等な分配が高頻度に起こる状態(染色体不安定性)が存在します。染色体不安定性は遺伝的多様性を持つ細胞集団を生み出し、これががんの発生や進展・転移・薬剤耐性などの素地となっていると考えられます。しかし、がん細胞で見られる染色体不安定性の原因についてはよくわかっておらず、私たちはこの点について研究を進めています。染色体の分配は紡錘体上で行われ、正確な分配が行われるには、染色体が紡錘体を形成する微小管と適切に結合することが必要です(図)。私たちは、染色体が紡錘体上で微小管と結合して中央に整列するしくみや、染色体と微小管の正しい結合をモニターする紡錘体チェックポイントの新たな制御機構を明らかにしました。染色体の異常は多くの場合細胞生存に不利であり、過度の染色体不安定性は細胞にとって致死的です。そのため、染色体不安定性を増大させるような手段の開発は、がん細胞特異的な治療法につながるのではないかと考えられます。

(分子腫瘍学研究分野 田中耕三)

 

研究成果

少子高齢化が進み、また比較的高齢で子供を持つことを希望する夫婦が多くなる中で、加齢に伴う配偶子の劣化による不妊や子孫への影響に対する不安が増しています。わたしたちは、健康な子供を授かることを保障する正常な配偶子形成の分子機構と、加齢をはじめ、様々な環境ストレスが生殖細胞に及ぼす影響および、そのメカニズムを解明するために、まず正常な生殖細胞の分化過程で起こる特徴と制御機構、特に細胞機能に直結する代謝状態の解析を網羅的に行いました。その結果、胎仔期のマウス生殖細胞は他の細胞とは異なる、特徴的な代謝状態を示すことを見いだしました。例えばエネルギー代謝経路に注目すると、生殖細胞では体細胞や多能性幹細胞と比較して、ミトコンドリアの酸化的リン酸化が顕著に亢進しており、それが生殖細胞の正常な分化や生存に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。今後、異なる分化段階の生殖細胞を含め、加齢や肥満などの要因が生殖細胞に及ぼす影響と、その制御機構の解明を目指した研究を推進する計画です。

(医用細胞資源センター 松居靖久)

社会との連携


基礎研究と医療

加齢医学研究所の二十数分野のうち、臨床腫瘍学分野、呼吸器外科学分野、老年医学分野の3分野は、東北大学病院において、腫瘍内科、呼吸器外科、加齢・老年病科として診療も担当しています。臨床の現場から診療上の問題点を拾い上げて基礎研究につなげる、また基礎研究の成果を診療につなげ様々な疾患の治療成績の向上に努めるといった役割を特に担っている研究分野と言えます。
私が担当する呼吸器外科学分野では、これまで112例の肺移植を行いました。術後長期に生存する患者さんが増えてくるに従い、慢性期の合併症である慢性拒絶反応を多く経験するようになりました。肺移植における慢性拒絶反応の多くは、閉塞性細気管支炎という病態で発症します。閉塞性細気管支炎の発症には、T細胞が重要な役割を担っていると考えられていますが、T細胞の免疫反応のみではこの疾患を説明できず、他の免疫機構の存在が示唆されてきました。
我々は、生体防御分野の小笠原康悦教授と共同研究を行い、閉塞性細気管支炎の発症におけるNK細胞の関与について研究を行いました。閉塞性細気管支炎のマウスモデルである同種異系異所性気管移植において移植組織の変化を調べたところ、気道上皮細胞にNK細胞の活性化受容体NKG2Dのリガンドの発現上昇が認められました。さらに、抗NKG2D抗体の投与により、閉塞性気道病変の形成が抑制されたことにより、NKG2Dを介したNK細胞の活性化によって移植組織の傷害が引き起こされることが閉塞性細気管支炎の原因の一つとなっていることが明らかとなりました。このような知見の積み重ねによって新薬が開発され、肺移植のみならず臓器移植全般の成績向上がはかられることを期待しています。

(呼吸器外科学分野 岡田克典)

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