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東京大学素粒子物理国際研究センター

International Center for Elementary Particle Physics, The University of Tokyo
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


センター長
浅井 祥仁
Asai, Shoji
キーワード
素粒子物理、CERN LHC-ATLAS実験、PSI MEG実験、国際リニアコライダーILC、陽子・陽子衝突、ヒッグス粒子、超対称性理論、統一理論、量子AIテクノロジー
住所
〒113-0033
東京都文京区本郷7-3-1

素粒子物理国際研究センターは、初代施設長・小柴昌俊博士(2002年ノーベル物理学賞)が1974年に設立した組織で、世界最先端の加速器施設において我が国の素粒子物理研究の中心拠点となり、国際共同実験を主導・実施しています。具体的には、欧州原子核研究機構(CERN)の世界最高エネルギーの陽子・陽子衝突型加速器LHCを用いた国際共同実験ATLASを遂行し、2012年7月のヒッグス粒子発見時には本センターの研究者が大きく貢献しました。現在は、ヒッグス粒子の精密測定や素粒子の標準理論を超える新粒子・新現象の発見を目指しています。一方、世界最高強度のミュー粒子ビームと新しい素粒子測定技術を用いて、大統一理論とニュートリノ質量の謎に挑むMEG実験をスイスのポールシェラー研究所(PSI)で実施しています。更に、世界の次期基幹計画である国際リニアコライダー(ILC)計画を国際協力のもと強力に推し進めています。

令和2年度の研究活動内容及び成果


CERNの陽子・陽子衝突型加速器LHCは、衝突エネルギー13TeVでの第2期運転(Run2)が2018年12月に完了し、運転休止期間にあります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、第3期運転(Run3)の計画は、2022年2月に開始、2024年冬まで実施に変更されました。現在Run3及び2027年開始予定の高輝度LHC(HL-LHC)に向けて、加速器のメインテナンス・アップグレード作業が進行中です。40年間稼働したLINAC2に代わりLINAC4を新たに導入するなど、4つの前段加速器に関する増強作業が昨年12月までに完了しており、最大輝度はRun2と同程度ながら、Beam brightnessの向上等により、Run3では年間100 fb-1(Run2の約2倍)のデータ取得が可能になります。
ATLAS実験では、LHCの増強と並行して検出器のアップグレード作業を行っており、本センターは、ミューオン検出器とカロリーメータ検出器のレベル1トリガーの改良作業で大きく貢献しています。2020年はCOVID-19の影響によりCERNへの渡航・入構が制限される中、現地に留まった本センターのスタッフが日本からのリモート研究をサポートし、大学の枠を超えATLAS日本グループ全体のリモート共同研究体制構築を牽引し、スピードを損なうことなくシステムコミッショニングを進めることができました。
本センター設置の地域解析センターシステムは、ATLAS実験で発生する膨大なデータを解析するための日本における拠点で、日本の共同研究者が独占的に使用できる計算機資源を提供するとともに、Worldwide LHC Computing Grid(WLCG)と呼ばれる世界規模の分散計算環境であるグリッドインフラの一翼を担っています。WLCGは、COVID-19対策の一環としてFolding@homeプロジェクトを通して、このウイルスのタンパク質構造の解析に計算資源の一部を提供しました(ATLASでも本センターを含め4月から9月末までこの活動に参加)。

レプトンフレーバーを破るミューオン稀崩壊μ→eγを世界最高感度で探索するMEG II実験は、実験開始に向けた準備がスイス・ポールシェラー研究所(PSI)で精力的に進められています。COVID-19の影響により2020年のPSI加速器の稼働開始が大幅に遅れ、MEG II実験のビームタイムが大きく削減されましたが、2021年に予定しているフルエンジニアリングランに向け、ミューオンビームを用いた各測定器の最終調整が行われました。コロナ禍の困難な状況にもかかわらず、本センターのスタッフと大学院生がPSIに長期滞在し、準備作業に大きく貢献しました。また、日本からリモート参加する共同研究者との協力体制を強化することで、ビームタイム中の試験項目の多くを実施できました。2021年のフルエンジニアリングランの後、2022年から実験を開始する予定です。

LHC加速器の陽子・陽子衝突点にあるATLAS検出器

LHC加速器の陽子・陽子衝突点にあるATLAS検出器

ATLAS実験のWorldwide LHC Computingモニター

ATLAS実験のWorldwide LHC Computingモニター

MEG II実験の液体キセノンγ線検出器内部

MEG II実験の液体キセノンγ線検出器内部

 

社会との連携


毎年夏に本郷キャンパス全体で開催していた「高校生のためのオープンキャンパス」は、ウィズコロナ時代の新しい運営方法としてオンデマンドを取り入れ、2021年1月に実施しました。本センターは理学部オープンキャンパス企画に参加し、「宇宙誕生の始まりの非常識」と「真空が凍って宇宙ができた? ~国際リニアコライダー(ILC)の挑戦~」の講義ビデオコンテンツを公開しました。

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