研究所・研究センター一覧

東京大学大気海洋研究所

Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
河村 知彦
Kawamura, Tomohiko
キーワード
海洋、大気、地球科学、気候変動、海洋生物資源、地球生命圏
住所
〒277-8564
千葉県柏市柏の葉5-1-5

大気海洋研究所は、地球表層を覆う海洋と大気の構造や変動メカニズム、および海洋に生きる生物に関する様々な基礎的研究を推進するとともに、地球環境の変動や生命の進化、海洋生物群集の変動など、人類と生命圏の存続にとって重要な課題の解決につながる研究を展開しています。また、大気海洋科学に係わる全国の研究者のための共同利用・共同研究拠点として、本所(柏キャンパス)と附属国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)において世界最先端の研究施設・機器、充実した研究環境を提供するとともに、海洋研究開発機構の所有する2隻の学術研究船「白鳳丸」と「新青丸」を用いた共同利用・共同研究を企画・運営し、世界の大気海洋科学を先導することを目指しています。さらには、大学院教育や様々なプロジェクト研究の推進などを通じて、次世代の大気海洋科学を担う若手研究者の育成にも力を入れています。

令和元年度の研究活動内容及び成果


対馬海峡で複数の漁船の遭難事故をもたらした突風の正体に迫る ~わずか直径1kmの竜巻状渦が繰り返し発生していた様子が明らかに~

2015年9月1日未明、対馬海峡で突風発生時に存在したメソβスケールの渦(以下メソβ渦)を、スーパーコンピュータ「京」による高解像度シミュレーションで再現し、突風の原因がメソβ渦内で発生した複数の竜巻状の渦である可能性が高いことを示した。

再現されたメソβ渦の特徴。午前4時41分の(a)雨の強さ(色; 単位重さの空気に含まれる雨の重さをkg kg–1の単位で表示)と海面気圧(黒実線; hPa)(b)高度30mの鉛直軸周りの回転の強さ(色; s–1)、海面気圧、水平風のベクトル。(c)高度30mの鉛直軸周りの回転の強さの最大値(青破線; s–1)と最大風速(赤実線; m s–1)の時間変化

再現されたメソβ渦の特徴。午前4時41分の(a)雨の強さ(色; 単位重さの空気に含まれる雨の重さをkg kg–1の単位で表示)と海面気圧(黒実線; hPa)(b)高度30mの鉛直軸周りの回転の強さ(色; s–1)、海面気圧、水平風のベクトル。(c)高度30mの鉛直軸周りの回転の強さの最大値(青破線; s–1)と最大風速(赤実線; m s–1)の時間変化

津波を記録していたムール貝 〜貝がらの元素分析から明らかになった津波による沿岸環境の変化〜

東日本大震災から半年後に岩手県大槌町で採取したムール貝(ムラサキイガイ)の貝がらを分析したところ、津波による沿岸への土砂流入や海底堆積物の巻き上がりが、貝がらのマンガン濃度の変化として記録されていたことがわかった。

初夏の日本付近の雨の降り方は将来どう変わるか? ~衛星搭載降水レーダ観測と気候モデル予測の複合利用による将来変化推定~

衛星搭載降水レーダの降水立体観測と気候モデルの予測結果とを複合的に利用することで、初夏の日本付近における雨の降り方の将来変化を推定することに成功した。

降海から北方回遊へ:大槌湾内におけるサケ稚魚の時空間的分布を環境DNA分析により解明

三陸の川で生まれ、海に降ったサケ稚魚が、外洋に出る前に、いつ、湾内のどこに分布するのかを、環境DNA分析により明らかにした。

モガニ属の新種「オオヨツハモガニ」を発見~三陸の藻場における重要種

東日本大震災後の海洋生態系調査において、北海道・三陸地方の藻場に生息する大型のモガニ類(甲長4cm程度)を新種「オオヨツハモガニ」として発表した。本種は、これまで日本全国の藻場に棲む「ヨツハモガニ」の地理的変異と見なされてきたが、多くの形態的特徴において既知のモガニ類とは明瞭に異なっていた。

地球温暖化が引き起こすマッデン・ジュリアン振動の変調と降水分布の変化

地球温暖化に伴ってインド–西太平洋暖水域が急速に拡大しており、その影響でマッデン・ジュリアン振動の活発な雲活動の場所が遷移し、 降水量の空間パターンにも世界的な変化傾向を生じていることを示した。

社会との連携


東北復興研究への取り組み

本研究所附属の国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)は、東日本大震災によって壊滅的な被害を受けましたが、2018年2月に新しい研究実験棟と宿泊棟が竣工しました。文部科学省のプロジェクト研究「東北マリンサイエンス拠点形成事業」の一拠点として、震災後の海洋生態系の変化を総合的に記録し続けると同時に、地域水産業の復興・発展に資する沿岸海洋生態系の理解に向けた学際的フィールド研究拠点としての発展を目指しています。さらに地球の未来を形作る拠点としても機能し、次世代の人材育成等を通じて三陸地域の復興・発展に貢献したいと考え、文理融合型研究教育プロジェクト「海と希望の学校in三陸」を実施しています。

国際的取り組みへの貢献

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書の執筆に多数の教員が参加しているほか、ユネスコ政府間海洋学委員会、北太平洋海洋科学機構、Future Earthやアジア研究教育拠点事業などに参画し、大気海洋科学に関して国際的な協力が必要となる問題の解決に貢献しています。とくに国連海洋科学の10年(2021-30)の実施に向けて準備を進めています。

東京大学海洋アライアンス

東京大学の13の部局、250名以上が参加し、社会から要請される海洋関連課題の解決に向けて、関係する学問分野を統合して新たな学問領域を拓いていく東京大学海洋アライアンスに中核的部局として参加し、海外インターンシップを含む学際的な海洋教育(大学院)、海洋リテラシーの普及やシンクタンク機能等を果たしています。

広く一般へ向けた研究活動の紹介

「さいえんす寿司BAR」や講演会の開催、一般向け書籍・小冊子の刊行など、大気海洋科学に親しみ研究内容について楽しみながら広く知っていただく活動を行っています。7月の海の日前後に国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)、10月に柏キャンパスで一般公開を行っており、柏キャンパスの一般公開は8,000人以上が来場する一大イベントになっています。

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