研究所・研究センター一覧

東京大学大気海洋研究所

Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
津田 敦
Tsuda, Atsushi
キーワード
海洋、大気、気候変動、海洋生物資源、地球生命圏
住所
〒277-8564
千葉県柏市柏の葉5-1-5

大気海洋研究所は、地球表層の環境、気候変動、生命の進化に重要な役割を有する海洋と大気の基礎的研究を推進するとともに、先端的なフィールド観測と実験的検証、地球表層システムの数値モデリング、生命圏変動解析などを通して、人類と生命圏の存続にとって重要な課題の解決につながる研究を展開しています。

また、世界の大気海洋科学を先導する拠点として、国内外における共同利用・共同研究を強力に推し進めるとともに、これらの先端的研究活動を基礎に大学院教育に積極的に取り組み、次世代の大気海洋科学を担う研究者ならびに海洋・大気・気候・地球生命圏についての豊かな科学的知識を身につけた人材の育成を行っています。

平成27年度の研究活動内容及び成果


2014年の御嶽山噴火に先立つヘリウムガスの異常―火山活動を評価できる指標の可能性

水蒸気噴火はマグマ噴火に比べて火山体に与える影響が比較的小さいため、その予知は困難と考えられている。佐野有司教授(大気海洋分析化学分野)らは、2014年の御嶽山の噴火に先立ってヘリウム-3とヘリウム-4の同位体比が、2003年の6月から噴火後の2014年11月の間に御嶽山の火口に最も近い濁河 (Nigorigo) 温泉の源泉付近で顕著に増加していたことを示した。しかし、他の温泉・鉱泉の源泉付近では、ヘリウムガスの同位体比にほとんど変化が見られなかった。加えて、1981年の11月から2000年の6月までの間、濁河温泉の源泉付近のヘリウム同位体比はほとんど一定であった。これらの観測結果は、ヘリウムガスの増加が水蒸気噴火と関連していることを示唆する。佐野教授らは、これらのことから、10年という長期にわたって揮発性物質が火道内で蓄積し、加圧されたことが御嶽山の水蒸気爆発の原因であったとする仮説を提案している。 

2014年御嶽山噴火のモデル

2014年御嶽山噴火のモデル

 

ナンキョクオットセイの餌捕りの意思決定

岩田高志特任研究員(行動生態計測分野)らは、オットセイの下アゴに装着した加速度記録計から餌獲得イベントを抽出し、背中に装着した行動記録計から遊泳軌跡の再構築をした。その結果、彼らは2-3潜水前(過去244秒間)までの餌獲得経験に基づいて、その後の移動距離を決めていたことが示唆された。また、オットセイは過去2-3潜水中に多くの餌を獲得したとき、その後はあまり水平方向へ移動せずその場に留まっていたことが示された。過去複数回の潜水中の採餌経験を参考にするためには、採餌とは関係無い呼吸などを挟んだ長時間の記憶が必要となる。採餌の効率を追求する潜水動物がこのような意思決定をしていることを世界で初めて報告した。

Fig30_02

過去1500秒間のどのくらい過去までの餌捕り経験が、その後のオットセイの行動に影響を与えているのかを示す図。AIC値*が最も低くなる過去244秒間が、その後の行動に影響を与える時間と考えられる。
*モデル選択の基準。AIC値が小さいほどモデル適合度が高いと予測される。

 

Fig30_03

過去244秒間の餌捕り率とその後の水平移動距離の関係。餌捕り率が高いときはあまり移動せず、低いときは離れた場所へ移動していた。

 

 

社会との連携


東北復興研究への取り組み

本研究所の附属国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)は、東日本大震災で壊滅的被害を受けたものの、復旧・復興に向けての取り組みを継続しています。文部科学省「東北マリンサイエンス拠点形成事業」ではこの国際沿岸海洋研究センターを拠点とし、東北の海洋生態系再生へ向けて海洋生態系遷移のプロセスとメカニズムを総合的に明らかにしていきます。

国際的取り組みへの貢献

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「第5次評価報告書」執筆に多数の教員が参加しているほか、ユネスコ政府間海洋学委員会関連事業、北太平洋海洋科学機構、Future Earthやアジア研究教育拠点事業などに参画し、大気海洋科学に関して国際的な協力が必要となる問題の解決に貢献しています。

広く一般へ向けた研究活動の紹介

「さいえんす寿司BAR」や講演会の開催、一般向け書籍・小冊子の刊行など、大気海洋科学に親しみ研究内容について楽しみながら広く知っていただく活動を行っています。7月の海の日前後に国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)、10月に柏キャンパスで一般公開を行っており、柏キャンパスの一般公開は5,000人以上が来場する一大イベントになっています。

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