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東京大学大気海洋研究所

Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
津田 敦
Tsuda, Atsushi
キーワード
海洋、大気、地球科学、気候変動、海洋生物資源、地球生命圏
住所
〒277-8564
千葉県柏市柏の葉5-1-5

大気海洋研究所は、地球表層の環境、気候変動、生命の進化に重要な役割を有する海洋と大気の基礎的研究を推進するとともに、先端的なフィールド観測と実験的検証、地球表層システムの数値モデリング、生命圏変動解析などを通して、人類と生命圏の存続にとって重要な課題の解決につながる研究を展開しています。

また、世界の大気海洋科学を先導する拠点として、国内外における共同利用・共同研究を強力に推し進めるとともに、これらの先端的研究活動を基礎に大学院教育に積極的に取り組み、次世代の大気海洋科学を担う研究者ならびに海洋・大気・気候・地球生命圏についての豊かな科学的知識を身につけた人材の育成を行っています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


光を利用するか、それとも避けるか?
~海洋細菌の二種類の光適応戦略の解明~

熊谷洋平博士、吉澤晋准教授、岩崎渉准教授らは、大規模なゲノムデータ解析を行い、海洋表層に生息する細菌には光からエネルギーを得る「太陽電池型」と色素で光を遮る「日傘型」の適応戦略があることを発見した。
太陽からの莫大な光エネルギーにさらされる海洋表層の細菌は、ただその恩恵を受けるだけではなく、「光を利用するか、光を避けるか」という“究極の選択”を迫られているのである。
本研究結果は、地球表面の7割を占める海洋表層に生息する膨大な細菌の基本生存戦略の理解につながるとともに、光が生物の設計図である「ゲノム」の大きさを決めるという生物進化メカニズムを示唆するものである。

(上) PR(プロテオロドプシン)の機能の模式図。PRは太陽光のエネルギーを用いてプロトン(水素イオン)を細胞膜外へと輸送し、そうして生成されたプロトンの濃度勾配を用いて、ATP(アデノシン三リン酸)合成酵素がATPを生産する。<br>(下) 光からエネルギーを得る「太陽電池型」と色素で光を遮る「日傘型」の適応戦略の模式図

(上) PR(プロテオロドプシン)の機能の模式図。PRは太陽光のエネルギーを用いてプロトン(水素イオン)を細胞膜外へと輸送し、そうして生成されたプロトンの濃度勾配を用いて、ATP(アデノシン三リン酸)合成酵素がATPを生産する。
(下) 光からエネルギーを得る「太陽電池型」と色素で光を遮る「日傘型」の適応戦略の模式図

スーパーエルニーニョの急激な終息の引き金を引いたのは 赤道を旅する巨大な雲群マッデン・ジュリアン振動(MJO)
~スーパーコンピュータ「京」× 新型超精密気象-海洋モデル~

宮川知己特任助教、佐藤正樹教授、および理化学研究所、海洋研究開発機構の共同研究チームは、雲の生成・消滅を詳細に計算できる全球大気モデルNICAMに、日本の代表的な全球気候モデルMIROCの海洋部分を連結させた超精密気象—海洋モデル「NICAM-COCO (NICOCO)」を開発し、熱帯域を東進する巨大な雲群マッデン=ジュリアン振動(MJO)と、東太平洋の海面温度が通常より高くなるエルニーニョ現象との相互作用の再現を可能にした。これにより海洋の変動が活発な状況でのMJOの予測精度が向上した他、観測史上最大のスーパーエルニーニョ(1997年ー1998年)が急激に終息した原因がインドネシア多島海付近のMJOにあったことを実証した。
本研究の成果はMJOとエルニーニョが引き起こす地球規模の大気変動の動向の早期把握に繋がるため、日本付近の季節予報や台風発生予測の精度向上に貢献することが期待される。

新たに開発された超精密気象—海洋モデル。全球準一様の高解像度化に対応するために開発された正20面体をベースとした格子系の超高解像度の大気モデルと、海洋に特化した高解像度化に対応するために開発された3極構造格子の海洋モデルが、異なる格子系の間での情報のやり取りの整合性を保つシステム(カップラー)を介して接続されている。上の図は、新モデルの再現した2011年11月27日の海面水温(カラー)、雲の高さに対応する赤外放射(グレー)、降水(青系)を示したもの。紫の枠に囲まれた領域にマッデン・ジュリアン振動の雲群が存在している。

社会との連携


東北復興研究への取り組み

本研究所の附属国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)は、東日本大震災で壊滅的被害を受けましたが、平成30年2月に高台移転した研究棟、宿舎棟が竣工しました。文部科学省「東北マリンサイエンス拠点形成事業」ではこの国際沿岸海洋研究センターを拠点とし、東北の海洋生態系再生へ向けて海洋生態系遷移のプロセスとメカニズムを総合的に明らかにするとともに、それらの知見をローカルアイデンティティの再構築につなげ地域の希望を育む「海と希望の学校in三陸」を開始しました。

国際的取り組みへの貢献

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「第5次評価報告書」執筆に多数の教員が参加しているほか、ユネスコ政府間海洋学委員会関連事業、北太平洋海洋科学機構、Future Earthやアジア研究教育拠点事業などに参画し、大気海洋科学に関して国際的な協力が必要となる問題の解決に貢献しています。

東京大学海洋アライアンス

東京大学の13の部局、250名以上が参加し、社会から要請される海洋関連課題の解決に向けて、関係する学問分野を統合して新たな学問領域を拓いていく東京大学海洋アライアンスに中核的部局として参加し、海外インターンシップを含む学際的な海洋教育(大学院)、海洋リテラシーの普及やシンクタンク機能等を果たしています。

広く一般へ向けた研究活動の紹介

「さいえんす寿司BAR」や講演会の開催、一般向け書籍・小冊子の刊行など、大気海洋科学に親しみ研究内容について楽しみながら広く知っていただく活動を行っています。7月の海の日前後に国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)、10月に柏キャンパスで一般公開を行っており、柏キャンパスの一般公開は8,000人以上が来場する一大イベントになっています。

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