研究所・研究センター一覧

東京大学大気海洋研究所

Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
河村 知彦
Kawamura, Tomohiko
キーワード
海洋、大気、地球科学、気候変動、海洋生物資源、地球生命圏
住所
〒277-8564
千葉県柏市柏の葉5-1-5

大気海洋研究所は、地球表層を覆う海洋と大気の構造や変動メカニズム、および海洋に生きる生物に関する様々な基礎的研究を推進するとともに、地球環境の変動や生命の進化、海洋生物群集の変動など、人類と生命圏の存続にとって重要な課題の解決につながる研究を展開しています。また、大気海洋科学に係わる全国の研究者のための共同利用・共同研究拠点として、本所(柏キャンパス)と附属国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)において世界最先端の研究施設・機器、充実した研究環境を提供するとともに、海洋研究開発機構の所有する2隻の学術研究船「白鳳丸」と「新青丸」を用いた共同利用・共同研究を企画・運営し、世界の大気海洋科学を先導することを目指しています。さらには、大学院教育や様々なプロジェクト研究の推進などを通じて、次世代の大気海洋科学を担う若手研究者の育成にも力を入れています。

令和2年度の研究活動内容及び成果


旧石器時代後期の西アジアの気候と北大西洋の急激な寒冷化 〜当時の急激な西アジア大気循環変動を検出〜

旧石器時代の北大西洋では、10度以上の温度変化を伴う気候変動が、わずか10年ほどの間に複数回起きていたことが知られている。本研究は、そのような気候変動が、人類学で重要地域とされる西アジアを含む広域への環境変化を引き起こしたことを明らかにした。

北極海の冷水の起源はシベリアにあった! シベリア沿岸に冷水湧昇帯を発見し、その物理メカニズムを解明

太平洋と北極海をつなぐ海峡部に現れる冷水湧昇帯を発見し、ロシア船「マルタノフスキー号」と海洋地球研究船「みらい」を用いて詳細な海洋観測を実施した。

過去の赤道太平洋海面水温の変化が示唆する将来の温暖化増幅

全球の気温変化に大きな影響を与える赤道太平洋の海面水温の東西コントラストは、過去60年間で強まっているが、全球気候モデルのビッグデータを解析した結果、その要因が自然の数十年規模変動で説明できることが示された。気候モデルのシミュレーション群に対し、過去の東西コントラストの変化を再現しているという条件を課すことで、将来の温暖化傾向は高位の排出シナリオで9%、低位の排出シナリオで30%増大することが分かった。

南極海海氷域における窒素固定の発見 −窒素固定が全球プロセスであることが明らかに−

南極海海氷域で窒素固定が活発に行われていること、亜熱帯種と考えられていたシアノバクテリアのUCYN-Aが主要な窒素固定生物であることを明らかにした。窒素固定は全球プロセスであり、UCYN-Aがそれを可能にしていることを明らかにした。

海嶺上の乱流混合が貧栄養海域の生物生産を促す ~学術研究船「白鳳丸」によるルソン海峡観測航海の成果~

世界有数の内部波の発生域であるルソン海峡で、学術研究船「白鳳丸」航海による物理・生化学的海洋観測を実施した。乱流混合が亜熱帯貧栄養海域であるルソン海峡の生物生産に寄与している可能性を初めて示唆した。

降雨に伴って川に入るミミズが、ウナギの大きな餌資源になる!

降雨に伴って川の中に供給される陸棲のミミズが、大型河川の下流域に棲む捕食魚(ニホンウナギ)の大きな餌資源になっていることを明らかにした。

貝が「いつ死んだのか」「いつ成長が悪くなったのか」を調べる手法を開発

ホタテガイの殻の酸素同位体組成の分析により、ホタテガイの成長がいつから悪くなったか、ホタテガイがいつ死んだのかを明らかにする手法を確立した。

魚類はエネルギー最効率化のため生育環境に応じて呼吸代謝特性を調整する

日本周辺に分布するマサバ稚魚~未成魚の遊泳及び呼吸代謝を様々な水温で測定し、以前に発表したカリフォルニア海域のマサバの呼吸代謝データベースと統合した。西太平洋系群(日本周辺)は北東太平洋系群(カリフォルニア海域)と比べて、呼吸代謝に伴う酸素消費量の体重および水温依存性が低く、高水温でも酸素消費量を抑える能力が高いことが示された。

ミドリイガイのゲノム解析からわかった足糸の耐久性の秘密

熱帯・亜熱帯性のムール貝の一種ミドリイガイにおいて、高い完成度で全ゲノム情報を再構築することに成功した。

足糸を張って水槽壁面に付着しているミドリイガイ

足糸を張って水槽壁面に付着しているミドリイガイ

 

社会との連携


東北復興研究への取り組み

本研究所附属の国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)は、東日本大震災によって壊滅的な被害を受けましたが、2018年2月に新しい研究実験棟と宿泊棟が竣工しました。文部科学省のプロジェクト研究「東北マリンサイエンス拠点形成事業」の一拠点として、震災後の海洋生態系の変化を総合的に記録し続けると同時に、地域水産業の復興・発展に資する沿岸海洋生態系の理解に向けた学際的フィールド研究拠点としての発展を目指しています。さらに地球の未来を形作る拠点としても機能し、次世代の人材育成等を通じて三陸地域の復興・発展に貢献したいと考え、文理融合型研究教育プロジェクト「海と希望の学校in三陸」を実施しています。

国際的取り組みへの貢献

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書の執筆に多数の教員が参加しているほか、ユネスコ政府間海洋学委員会、北太平洋海洋科学機構、Future Earthやアジア研究教育拠点事業などに参画し、大気海洋科学に関して国際的な協力が必要となる問題の解決に貢献しています。とくに国連海洋科学の10年(2021-30)の実施に向けて準備を進めています。

東京大学海洋アライアンス

東京大学の13の部局、250名以上が参加し、社会から要請される海洋関連課題の解決に向けて、関係する学問分野を統合して新たな学問領域を拓いていく東京大学海洋アライアンスに中核的部局として参加し、海外インターンシップを含む学際的な海洋教育(大学院)、海洋リテラシーの普及やシンクタンク機能等を果たしています。

広く一般へ向けた研究活動の紹介

「さいえんす寿司BAR」や講演会の開催、一般向け書籍・小冊子の刊行など、大気海洋科学に親しみ研究内容について楽しみながら広く知っていただく活動を行っています。7月の海の日前後に国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌町)、10月に柏キャンパスで一般公開を行っており、柏キャンパスの一般公開は8,000人以上が来場する一大イベントになっています。

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