地震研究所は、1925年に設立されて以来、地震・火山現象の科学的解明とそれらに起因する災害軽減の研究を使命としています。プレートの沈み込み帯に位置する日本は、地震・火山活動が世界的に見ても非常に活発な地域です。地震・火山噴火の解明には、その根源としての地球内部ダイナミクスまでを含めた包括的な理解が必要です。私たちは、固体地球科学の諸課題を対象として、観測・実験・理論的アプローチに基づく先端的研究を推進しています。全国の大学や国の研究・行政機関が参画する「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」(令和6年度より第3次)などの大型研究プロジェクトを企画・推進しています。また、海外の大学等と共同で大型観測研究を実施し、外国人研究者の長期・短期招聘を行うなど、国際共同研究を進めています。
2024 年1月1日に、石川県能登地方の深さ約15 km でM7.6の地震が発生しました。地震研究所では、地震に伴う海岸地形や内陸の地表変状の現地調査、2020年以来の活発な地震活動と合わせた震源再決定、津波モデリング、海底調査等を実施しました。海岸地形調査から、地震によって生じたと考えられる顕著な海岸隆起および津波の痕跡を確認しました(図1)。内陸調査の結果、二兎半島北東部、若山川沿いに地表地震断層と推定される崖地形が認められました。また、各地で観測された津波波形の解析から能登半島北側の断層が大きくずれ動いたことがわかりました。一方、その北東側、富山トラフ下の断層はほとんど動いていない可能性がわかりました。震源の再決定の結果、能登半島北岸に沿って地震が集中して発生し、その深度分布から南東に傾き下がる断層上で発生したことや、群発地震の震源が北部に移動したことを見出しました。それらを説明するモデルとして断層付近の流体の移動が考えられます。これらのモデルを検証するため、海域の地震活動や構造調査を継続中です。
地震研究所の研究・教育活動に関する情報をウェブサイト、パンフレット、広報誌等を通じて紹介しています。パンフレットと広報誌はウェブサイトからもダウンロードできます。重要な調査観測や研究成果については、ウェブサイトに掲載するほか、プレスリリースを行うなど一般の方へ広く伝わるよう情報発信しています。また、地震・火山に関する研究内容を理解してもらうための動画をYouTubeで公開しています。報道関係者からの取材や一般からの問合せへの対応も広報アウトリーチ室で行っています。地震・火山防災の担当者や報道関係者とのコミュニケーションに務め、日常的に研究の動向等の紹介や質問回答など交流を進めています。令和5年度は広報誌で取り上げた記事を紹介する「懇談の場」を3回開催し、また地震・火山噴火予知研究協議会との協働により「地震・火山噴火予測研究のサイエンスカフェ」を5回開催しました(図1)。
地震・火山に関する研究の最先端やその魅力を中高生や一般の方に広く伝えるため、公開講義や一般公開、施設見学会を開催しています。令和5年度は一般公開のライブ配信等を実施しました。また、自治体や教育機関等からの講演依頼、見学、・ 研修についても随時対応しています。所内見学・講義は、感染対策に留意した上で対面で実施し、1766名の参加がありました(図2)。国内外で開催された学会に展示ブースを出展し、地震研究所の研究活動を研究者や学生の皆さんに紹介しています。7月23日,30日には、関東地震100周年記念シンポジウムが東京大学の関連部局との共催により安田講堂で開催され、講堂入口にて関東地震のパネル展示を行いました。また関東地震記念グッズを科学博物館の企画展で販売しました。
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