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東京医科歯科大学難治疾患研究所

Medical Research Institute, Tokyo Medical and Dental University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
石野 史敏
Ishino, Fumitoshi
キーワード
難治疾患、基礎生物学、ゲノム応用医学、難治病態、先端分子医学
住所
〒113-8510
東京都文京区湯島1-5-45
「難治疾患に挑む」

難治疾患研究所は、「難治疾患の学理と応用」を目的として、昭和48年設置されました。研究対象とする難治疾患は、設立当初の自己免疫疾患に加え、がん、循環器疾患、神経疾患、骨・関節疾患、免疫疾患、生活習慣病など、国民的要請の高い疾患を3つの部門で進めています。先端分子医学研究部門では、最先端の分子的研究手法を駆使した遺伝子・細胞・器官・個体レベルでの研究、難治病態研究部門では、心血管、神経、免疫性難病などの難治疾患の病態機構と生命現象の基本的なメカニズム解明、ゲノム応用医学研究部門では、難治疾患に関わるヒトゲノムの構造、機能、さらにタンパク情報を併せた学横断的な研究を進め、画期的な診断法の開発、個別化医療の実現、発症前診断や疾患予防法などの未来医療のための難治疾患研究のHub Instituteを目指しています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


主要ながん免疫抗原である硫酸化グリコサミノグリカンの同定

東京医科歯科大学難治疾患研究所ゲノム病理学分野の石川俊平教授と加藤洋人助教、河村大輔助教らは、東京大学との共同研究により、胃がん組織におけるリンパ球集団の全体像を次世代シーケンサーを用いた免疫ゲノム解析で明らかにし主要な液性がん抗原を同定しました。近年注目されているがん免疫療法においては効果のある症例は一部であり、悪性度の高いびまん型胃がんについては良い標的とはなりにくいと予想されるためその詳細な免疫学的特性の解析による介入ポイントの探索が求められていました。研究グループは、びまん型胃癌組織に浸潤するリンパ球について、次世代シーケンサーを用いて免疫レパトア解析と呼ばれる詳細な免疫ゲノム解析を行い、がん組織におけるリンパ球組成の全体像を明らかにしました。そのなかで多くの症例のがん組織中では特定のB リンパ球が増えていることを見いだし、それらのB リンパ球が作り出す抗体が糖鎖の一つである硫酸化グリコサミノグリカンを認識していることをつきとめました。これにより硫酸化グリコサミノグリカンが胃がん組織における主要ながん免疫抗原であることが初めて示されました。また、このような免疫ゲノム解析によって得られたがん特異的に反応するBリンパ球のDNAシーケンス情報をもとにヒト抗体を作成したところ、様々ながん細胞に結合し抗腫瘍活性を持つことを見いだし抗体医薬品としての開発の可能性も考えられました。

がん悪化や炎症を主導するマクロファージの源となる細胞を発見

東京医科歯科大学難治疾患研究所生体防御学の樗木俊聡教授らの研究グループは、東京医科歯科大学で行った研究成果として、ヒト単球のみを生み出す源の細胞を発見しました。研究グループは、ヒト単球の分化経路を明らかにするため、臍帯血または骨髄細胞を用いてさまざまな表面分子のスクリーニングを行い、ヒト単球に高発現するCD64とCLEC12Aに着目しました。ヒト臍帯血や骨髄中には、顆粒球と単球への分化能を併せ持つGMP(granulocyte and monocyte progenitor)という前駆細胞が報告されていました。研究グループは、このGMPがCD64とCLEC12Aの発現レベルによって4つの亜集団に分かれることを見出しました。そして各分画の分化能を解析したところ、CLEC12AhiCD64hi分画は単球のみに、CLEC12AhiCD64int分画は単球と顆粒球に分化しました。これら2分画はリンパ球への分化能を完全に欠落していることも確認しました。残り2つの分画は雑多な前駆細胞の集合体でした。これらの結果から、CLEC12AhiCD64hi分画が単球のみを数多く産生する前駆細胞と結論付け、ヒト共通単球前駆細胞(human common monocyte progenitor, cMoP)と定義しました。これまでGMPと定義されていた前駆細胞は、CD64とCLEC12Aの発現パターンによって細分化できる複数の前駆細胞の集合体であることが判明し、研究グループは、その中の1つがヒト単球のみを多く産み出すcMoPであることを証明しました。

上記のほかに次のプレスリリースを行いました。

  • 難治性がんに腫瘍抑制効果を示すマイクロRNAを同定(稲澤譲治教授)
  • ヒト着床前胚の、親の年齢による遺伝子発現変化を捉える(幸田尚准教授)
  • がんが異常なエネルギー代謝を引き起こす新しい分子機構の同定(中山恒准教授)
  • アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症の共通病態を発見(岡澤均教授)
  • インターフェロンγは炎症性腸疾患の原因となるマクロファージを誘導する(樗木俊聡教授)
  • ぜんそくに関わる新しい遺伝子領域を発見(角田達彦教授)
  • てんかん発作の多様性を引き起こす仕組みをマウスで発見(田中光一教授)
  • 発達期病態が脊髄小脳失調症の発症後予後に関与する(岡澤均教授)
  • 炎症性腸疾患発症感受性が高い新たなモデルマウスを樹立(木村彰方教授)
  • 胎生期栄養環境が肝臓の絶食応答に影響を及ぼすことを発見(佐藤憲子准教授)
  • 筋萎縮性側索硬化症に似た症状をグリア細胞の異常が引き起こす機序を解明(田中光一教授)
  • 小頭症・小脳脳幹部低形成 (MICPCH)を伴う発達遅滞の包括的解析(稲澤譲治教授)
  • 概日リズムや運動を制御する神経細胞内で働く遺伝子を同定(仁科博史教授)
  • オートファジーが腸上皮幹細胞維持と腸再生に必要不可欠なことを発見(樗木俊聡教授)
  • 損傷した肝細胞を排除する仕組みを発見(仁科博史教授、宮村憲央助教)
  • がん転移に深くかかわる上皮間葉転換を制御するマイクロRNAの機能を解明(稲澤譲治教授)
  • オートファジー細胞死の生体での役割(清水重臣教授)

 

 

社会との連携


高大連携プログラム

高大連携による研究所見学を通じて、難治疾患研究の成果と科学の面白さを高校生に発信しています。

 
市民公開講座

文京区と共催の市民講座を3回開催し、6名の教員が講演しました。

 

 
四大学連合文化講演会

東京工業大学、一橋大学、東京外国語大学と共演で「安全・安心」に関する学際的な講演会を毎年、開催しています。

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