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東京医科歯科大学難治疾患研究所

Medical Research Institute, Tokyo Medical and Dental University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
仁科 博史
Hiroshi Nishina
キーワード
難治疾患、基礎生物学、ゲノム応用医学、難治病態、先端分子医学
住所
〒113-8510
東京都文京区湯島1-5-45
「難治疾患に挑む」

難治疾患研究所は、「難治疾患の学理と応用」を目的として、昭和48年設置されました。研究対象とする難治疾患は、設立当初の自己免疫疾患に加え、がん、循環器疾患、神経疾患、骨・関節疾患、免疫疾患、生活習慣病など、国民的要請の高い疾患を3つの部門で進めています。先端分子医学研究部門では、最先端の分子的研究手法を駆使した遺伝子・細胞・器官・個体レベルでの研究、難治病態研究部門では、心血管、神経、免疫性難病などの難治疾患の病態機構と生命現象の基本的なメカニズム解明、ゲノム応用医学研究部門では、難治疾患に関わるヒトゲノムの構造、機能、さらにタンパク情報を併せた学横断的な研究を進め、画期的な診断法の開発、個別化医療の実現、発症前診断や疾患予防法などの未来医療のための難治疾患研究のHub Instituteを目指しています。

令和元年度の研究活動内容及び成果


アルツハイマー病の超早期に生じるネクローシスを発見

難治疾患研究所神経病理学分野の岡澤均教授と田中ひかり博士課程学生、藤田慶太助教らは、アルツハイマー病において新しいネクローシスTRIADが、アミロイド細胞外凝集以前の超早期に生じていることを明らかにしました。アミロイド細胞外凝集を標的としたアミロイド抗体を初めとするアルツハイマー病治療薬の臨床試験の頓挫を背景に、近年はアルツハイマー病早期病態の解明が求められていました。本研究は、アミロイド細胞外凝集が細胞死の原因ではなく、むしろ細胞死の結果であることを示唆するもので上記の臨床試験の失敗を良く説明しうるものです。研究グループは、MARCKSのリン酸化がアミロイド細胞外凝集出現より早い時期に変動していること、細胞外HMGB1がMARCKSリン酸化を誘導することを先に報告しました。ヒト髄液中HMGB1を調べるとアルツハイマー病発症後よりも、発症直前のMCIと呼ばれる状態で高値を示し、また、リン酸化MARCKSをネクローシスマーカーとして利用すると、ヒトではMCI状態、モデルマウスではアミロイド細胞外凝集の超早期にネクローシスが活発に起きていることが示されました。さらに、細胞外凝集に先行する細胞内アミロイド蓄積はYAPとの結合と機能阻害を通じてネクローシスを誘導しており、先行研究で報告したTRIADと同一のネクローシスであることが明らかになりました。続いて、神経細胞型YAPであるYAPdCを発現するAAV-YAPdCの投与により、細胞死、アミロイド細胞外凝集、シナプス、認知機能の全てが回復することを示しました。

 

幹細胞競合は皮膚の恒常性維持と老化を司る

東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の西村栄美教授らの研究グループは、幹細胞が互いに競り合うことにより上皮系臓器の若さ(質)を維持していることを明らかにしました。組織の要となる幹細胞は日々発生する様々なストレスを受けた後にどのような運命を辿っているのか、その運命と動態の多くは不明で臓器老化への関与は未解明でした。研究グループは、皮膚の表皮幹細胞の多色クローン解析を行い、個々の表皮幹細胞はストレスを受けると基底膜との係留を担うXVII型コラーゲン(COL17A1)の発現レベルに違いを生じ、幹細胞クローンが拡大するか消失するかという大きな運命の違いを生み出すことを見出しました。基底膜上で水平方向へと対称分裂を行うCOL17A1+幹細胞は、ストレス反応性に縦方向に非対称分裂を繰り返して基底膜との接着が減弱したCOL17A1-/low細胞との間で細胞競合を引き起こし、後者の低品質な幹細胞を皮膚から淘汰することで皮膚の若さを維持していました。幹細胞競合を繰り返す過程で色素細胞や繊維芽細胞も減少し、遂には残存する表皮幹細胞の多くがCOL17A1となり競合不全によって臓器老化が顕著となることを明らかにしました。最後に、研究グループはCOL17A1を表皮幹細胞において恒常的に発現させると皮膚の老化形質を遅延できることや、同様の効果をもたらす低分子化合物を明らかにしており、幹細胞競合の制御による抗老化や組織再生に向けて道が開かれました(Nature 568(7752):344-350,2019)。

上記のほかに次のプレスリリースを行いました。

  • 胎児成長パターンの多様性を発見(佐藤憲子准教授)

  • 人工知能でゲノミクスを-遺伝子など非画像データを深層学習で扱う方法-(角田達彦教授)

  • がん抑制型miRNA-634 を創薬シーズとした核酸抗がん製剤を開発(稲澤譲治教授)

  • エストラジオール/GPERはin vitroで乳管構造の完全性に影響を与える(三木義男教授)

  • 動脈硬化における炎症の新しいメカニズムを解明(古川哲史教授)

 

社会との連携


高大連携プログラム

高大連携による研究所見学を通じて、難治疾患研究の成果と科学の面白さを高校生に発信しています。

 
市民公開講座

文京区と共催の市民講座を2回開催し、4名の教員が講演しました。
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、1回中止(例年は年に3回の開催)

 

 
四大学連合文化講演会

東京工業大学、一橋大学、東京外国語大学と共演で「環境・社会・人間」に関する学際的な講演会を毎年、開催しています。

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