研究所・研究センター一覧

新潟大学脳研究所

Brain Research Institute, Niigata University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
小野寺 理
Onodera, Osamu
キーワード
基礎・臨床神経学、精神神経疾患、バイオリソース、統合脳機能、神経病理学、 ヒト脳科学、システム脳病態学、進化脳病態
住所
〒951-8585
新潟県新潟市中央区旭町通1-757
脳科学の基礎と臨床の融合と実践
脳神経病理標本資源を活用した共同研究の実施

新潟大学脳研究所は、「脳及び脳疾患に関する学理及びその応用の研究を行うこと」を目的として設置された脳科学に関する唯一の国立大学附置研究所です。超高磁場磁気共鳴装置等を用いてヒトの高次脳機能を探る「統合脳機能研究センター」と、脳疾患リソース(脳標本・モデル動物・遺伝子データベース)を管理・研究する「生命科学リソース研究センター」が附属施設として設置されており、世界有数の膨大な脳疾患標本を所有しています。本研究所は、脳神経疾患を対象とする脳神経外科、脳神経内科の臨床2科を有することでもユニークな存在です。これらの特色を生かし、脳科学の基礎部門と臨床部門が有機的に融合した研究所として、多くの先駆的な業績を挙げています。

令和6年度の研究活動内容及び成果


臨床-基礎分野の連携による脳内異常タンパク質の伝播機序の解明

脳研究所では、脳機能の理解と脳疾患の克服を目指し、臨床、基礎両部門の連携のもと研究が進められています。脳アミロイドアンギオパチー(CAA)は、アミロイドβ、タウという異常タンパク質が脳血管に蓄積し、多発性の脳出血をきたす疾患です。また一部の症例においては、タウという異常タンパク質も神経細胞に蓄積することが報告されています。これまで、ヒト硬膜移植を受けた患者さんで、異常タンパク質が移植硬膜から他の脳領域に伝播することが知られていましたが、この伝播のメカニズムは不明のままでした。本年度、臨床-基礎分野の合同チームは、ヒト硬膜移植後にCAAを発症した患者さんにおいて、アミロイドPET、タウPETを撮像し、異常タンパク質の蓄積を可視化し、論文発表しました(Eur J Nucl Med Mol Imaging 2024. doi: 10.1007/s00259-024-07030-z.)。本研究では、アミロイドβが移植硬膜と対側、タウが移植硬膜と同側に蓄積しており、それぞれの異常タンパク質で伝播のメカニズムに違いがあることが示唆されました。アミロイドβとタウは、アルツハイマー病などの原因物質でもあることから、本研究の結果は、他の神経疾患の病態解明・治療法開発にもつながることが期待されます。

社会との連携


わが国の脳研究の先駆けの地における若手研究者の育成と産学共創

■新潟神経学脳研セミナー
共同研究拠点国際シンポジウムの開催に併せて、神経科学分野において国内外で活躍中の若手研究者にスポットを当て、「新潟神経学脳研セミナー」を開催しています。特定のテーマのもと、所内外の専門研究者による講演と討論から、最先端の高度な知識を学ぶことができます。

■共同研究拠点国際シンポジウム
毎年、わが国における脳神経疾患の病態解明と治療法開発、ヒトの高次脳機能の理解を指向する研究の発展を期して、著明な外国人講師を招いた国際シンポジウムを実施しています。また、ポスター発表の場を併設し、全国若手研究者の成果発表、外国人講師を含む参加者との討論の機会としています。

■企業との共同研究・寄附研究部門の開設
世界的に見ても有数の脳病理標本資源を活用し、多くの製薬企業との創薬に向けた共同研究を行っています。また、企業からの寄附金により脳神経疾患に関する先端的な治療法の調査・研究に向けた寄附研究部門を開設しました。

研究所・研究センター一覧

Links

文部科学省日本学術会議国立大学共同利用・共同研究拠点協議会janulogo300-80