本研究所は、2016年度に疾患酵素学研究センター・疾患プロテオゲノム研究センター・藤井節郎記念医科学センター・糖尿病臨床・研究開発センターを発展的に統合し、発足しました。2020年度には、酵素学研究拠点としての先導的成果を基盤に病態解明と医療応用を目指す「基幹研究部門」、糖尿病・がん・免疫疾患等を“慢性炎症”という共通基盤病態で捉え新たな学術領域の創出と牽引を目指す「重点研究部門」、個々の研究活動と拠点形成を強力にサポートする「技術開発支援部門」の3部門に編成し、次世代人材育成と健康長寿社会の実現を目指す最先端の医科学研究を展開しています。2022年度からは、九州大学、東京医科歯科大学、熊本大学との4拠点ネットワークによる「高深度オミクス医学研究拠点整備事業」を進め、データ駆動型サイエンスを推進します。
国内7医療機関で実施したiDIAMOND研究において、1,327名の健常人と糖尿病患者に対して、筋障害の有病率を評価した。その結果、健常者に比較し、糖尿病では既知の加齢性筋萎縮であるサルコペニアを高頻度に認めるとともに、筋量が保持されるも筋力が低下するダイナペニアを糖尿病患者特異的に高頻度に認めた。糖尿病性血管合併症とも高い関連性が示され、糖尿病合併症の新しい病態であることが示唆された。
外来抗原に応答し自己に寛容なT細胞集団は、胸腺での正と負の選択を経て形成されます。近年、胸腺でのT細胞の至適産生は、正と負の選択を惹起するペプチドが異なる事が重要だと提唱されていましたが、キラーT細胞として働くCD8T細胞の正の選択ペプチドの産生を担う胸腺プロテアソームの役割についての研究を進め、胸腺プロテアソームによる正の選択は、負の選択非依存的にCD8T細胞集団の至適産生を担うことを明らかにしました。
研究活動を通じて蓄積された膨大なデータを地域医療に役立てるため、徳島県が克服すべき最重要課題である糖尿病や社会的解決要請の大きいがん・免疫疾患に関する研究について、一般市民向けのセミナー・フォーラムを開催するなど、人材育成・普及啓発に大きく貢献しています。特に、毎年2日間にわたり開催する「高校生向け遺伝子組換え実験講習会」は参加申し込みが殺到する好評企画です。
研究所では実用化が見込める研究者に対して集中的に支援を行う体制を構築しています。藤井節郎記念医科学センター内には、基盤機器・消耗品利用システムを完備した「オープンラボ」を設置し、ベンチャー企業や若手研究者がいつでも研究を開始できるように充実させています。また全分野が産学連携の共同研究を展開しており、その成果として大学発ベンチャー企業(当研究所からベンチャー3社が起業)が精力的な活動を続けています。
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