帯広畜産大学原虫病研究センターは1990年に学内共同利用施設として設置され、2000年には全国共同利用施設として、また2010年には共同利用・共同研究拠点として文部科学省に認定されました。一方、2008年には国際獣疫事務局(OIE)コラボレーティングセンターに認定されました。原虫病に特化した研究拠点として、国内外の最先端原虫病研究の先導役、地球規模での原虫病の監視制御の司令塔役、ならびに国内外の原虫病専門家の育成役を三大ミッションとしています。
平成29年度より当センターの総力を結集してこの新規プロジェクトを開始しました。マダニは動物の血液を唯一の栄養源とする吸血性節足動物であり、人や動物に与える被害は吸血による直接的なもの(体力消耗)と媒介する病原体(ウイルスから寄生虫にいたるまで多くの病原体)による間接的なもの(感染症)があります。特に後者による被害は甚大とされています。したがって、マダニとマダニ媒介感染症対策に関する研究は世界的急務となっています。本プロジェクトでは、マダニの鑑別・繁殖・供給システムからゲノム情報までを網羅した日本初のマダニバイオバンクを整備し、マダニに特化した国際的共同研究拠点を形成することにより、国内外のマダニとマダニ媒介感染症対策法の開発研究に貢献することを目標としています。
マラリアは、マラリア原虫によって引き起こされる、世界最大規模の感染症です。今回、実験モデルであるネズミマラリア原虫で、従来の遺伝子組換え体作製法の一部に試験管内短期間培養法を用いることで、従来法の約10倍の効率で遺伝子組換え原虫を作製・分離する方法の確立に成功しました。今後、本法を用いた様々な遺伝子機能解析により、マラリア原虫の宿主寄生戦略の解明、新たなワクチン開発にむけた研究の進展が期待されます。
国内に生息するマダニの最優占種はフタトゲチマダニですが、その卵母細胞の発育過程についての詳細な観察はこれまで行われていません。本研究では、未吸血から産卵期におけるフタトゲチマダニ(単為生殖系)雌ダニの卵巣組織切片を観察し、卵母細胞の細胞質の特徴により、発育ステージをⅠ~Ⅴに分類しました。確立した分類基準に基づき、未吸血および緩慢吸血期の雌ダニ卵巣ではステージⅠが、急速吸血期ではステージⅠおよびⅡの卵母細胞が存在することが明らかになりました。さらに、飽血(吸血完了)後4日目以降では、ステージⅠ~Ⅴの卵母細胞が観察されました。これらの知見は、マダニの卵形成だけでなく、原虫がマダニの卵母細胞に感染するしくみを理解するための重要な基礎情報となります。
当センターは、1995年から10ヶ月間の研修コース(文科省-JICA合同事業)を実施しており、現在までアジア、アフリカ、中南米の36ヶ国から約200名の研修員を輩出しました。また、センター設置時から約150名の海外からの大学院・研究生修了者が世界中に分布しています。これら海外OB/OGから構築された国際ネットワークは、今や当センターの日常教育研究活動のインフラとなっています。この国際ネットワークをさらに強化する目的で、海外OB/OGを対象にした再教育プログラムも実施しています。このプログラムでは、毎年3-6名のOB/OG研究者を3-12ヶ月の期間で招聘し、現場での課題解決に焦点を当てた実践的国際共同研究を実施しています。また、当センターの教員が海外に赴き、定期的にOB/OG研究集会を開催しています。
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