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帯広畜産大学原虫病研究センター

National Research Center for Protozoan Diseases, Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


センター長
玄 学南
XUAN, Xuenan
キーワード
原虫病、ベクター、OIEコラボレーティングセンター、国際協力、獣医学、診断、予防、治療
住所
〒080-8555
北海道帯広市稲田町西2線13番地
国際的な原虫病研究を通じた研究者養成と国際貢献

帯広畜産大学における原虫研究の歴史は長く、本センターの前身は1986年に獣医学科家畜生理学講座に併設された「原虫病細胞免疫研究室」です。本センターでは、黎明期より継続実施してきた原虫病基礎研究をさらに発展させ、これまで実施困難とされてきた自然宿主や媒介節足動物を用いた実験系の開発を行っています。自然宿主と媒介節足動物を用いた原虫病研究が実施できる研究施設は世界的にも貴重な存在です。このような特色を生かした国内外研究機関との共同研究を積極的に実施し、将来世界基準として活用され得る「診断・予防・治療」創出を先導することを目指しています。

平成27年度の研究活動内容及び成果


1.我国の畜産業への貢献とリスク分析

拠点機能の向上と社会貢献および政策提言への寄与を促進するため、社会の需要を勘案した重点課題テーマを設定し、研究分野の枠を越えた統合的な活動を展開しています。その結果、我が国の原虫感染による下痢症・貧血症・繁殖障害の実態とリスク因子が明らかになりつつあり、得られた成果は現場で実施可能かつ有効な原虫病予防対策として社会還元しています。

 

2.原虫感染による脳病態のしくみを解明

ネオスポラはイヌやウシなどに感染し神経障害の原因となる病原性原虫ですが、その病態発症メカニズムは分かっていません。今回、ネオスポラのマウス感染モデルを用い、感染による脳組織の変化を解析しました。その結果、炎症反応に伴う脳病変、神経伝達物質量の異常、神経細胞の活性低下が認められました。本研究により、ネオスポラの感染による中枢神経の機能障害が生じていることが明らかとなりました。 

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3.原虫感染を抑制する物質の発見

クリプトスポリジウム原虫は広範な哺乳動物に感染し、水様性下痢を引き起こす人獣共通感染症の病原体です。今回、ヘパリンという硫酸化多糖の一種がクリプトスポリジウム原虫の感染を抑制することを発見しました。更に、哺乳類細胞表面の硫酸化多糖であるヘパラン硫酸がクリプトスポリジウム原虫の感染に関与していることを明らかにしました。この研究成果は、クリプトスポリジウムの感染機構の解明と新規薬剤の開発につながると期待されます。

4.家畜原虫病に対する簡易迅速診断法の開発

途上国において家畜原虫病による被害を最小限に抑えるためには、牧野のような施設設備の全く無い場所であっても実施可能な簡易迅速診断法を開発・普及する必要があります。当センターではこれまでに各種の原虫病簡易迅速診断法として応用し、成果を挙げてきたイムノクロマト(ICT)法を実用化するべく、モンゴル国立農業大学獣医研究所と共同して家畜のトリパノソーマ病、ピロプラズマ病に対するICT法の開発とフィールドへの展開を行っています。新規開発したICT法を利用して、モンゴル国におけるウマトリパノソーマ病の疫学調査を行った結果、1)ウマトリパノソーマ病が高度に蔓延していること、2)ICT法は既存の診断方法に劣らない感度・精度でトリパノソーマ病を診断できることが明らかになりました。今後はさらに高感度な迅速診断法の開発に加え、実際にモンゴル国で流行している原虫株の分離培養と、自然宿主(主にウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ)感染実験系を用いた診断法評価系の確立を通じて、モンゴル国で家畜防疫に従事する獣医師・若手研究者の育成を行う予定です。モンゴルのような家畜原虫病高度汚染国での包括的な疫学調査とそれに立脚した原虫病対策は、世界規模での原虫病対策を策定する上でも極めて有用かつ具体的なモデルとなると考えられます。
(AMED/JICA SATREPS事業による)

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社会との連携


原虫病制圧を目指して
学術国際貢献

本センターは平成19年度に3種類の重要な原虫病に関する国際獣疫事務局(OIE)レファレンスラボラトリーに認定され、翌年「動物原虫病の監視と制圧に関する研究拠点」としてアジア初のOIEコラボレーティングセンター認定を受けました。また、拠点の期末評価において本センターはA評価を受け、高く評価されています。今後、世界唯一の動物原虫病OIEコラボレーティングセンターとして、国際基準となる診断・予防・治療技術開発拠点としての役割を強化し、学術面での国際貢献を図ります。

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