研究所・研究センター一覧

岡山大学資源植物科学研究所

Institute of Plant Science and Resources, Okayama University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
坂本 亘
Sakamoto, Wataru
キーワード
環境ストレス、遺伝資源、ゲノム育種、分子生物学、植物生理、植物栄養、植物病理、遺伝
住所
〒710-0046
岡山県倉敷市中央2-20-1

当研究所は、1914年に創立された財団法人大原奨農会農業研究所を礎とし、1951年に岡山大学に移管され、2010年の改組により資源植物科学研究所に名称変更しました。創立以来100年以上経過しましたが、作物の改良や新機能の開発など、植物に軸足を置いた農学分野の基盤研究と応用研究を設立以来一貫して行なっています。現在は5つの研究ユニットを中心とした研究体制をとり、「植物遺伝資源・ストレス科学共同研究拠点」として広く植物科学に関する基盤研究と国内外研究者との拠点活動を展開しています。
21世紀は温暖化がますます進み、人口が90億を超えると予想される人類はこれまでに経験したことのない気象変動、それに伴う災害、環境汚染、またそれらにより引き起こされる食糧不足が懸念されています。当研究所では、「劣悪環境下での食糧生産を可能にするための研究開発と関連分野の人材育成」を理念とし、持続可能な社会の実現を目指したSDGs (Sustainable Developmental Goals)達成に貢献する研究活動を行なっています。

平成30年度の研究活動内容及び成果


植物病原糸状菌の多層性抗ウイルス防御機構で働くDicerの多機能性

真核生物には、抗ウイルス自然免疫機構としてRNA干渉(RNAi)が広く備わっています。ウイルス由来の2本鎖(ds)RNAがDicerによってsmall interfering RNAに分解され、それがAGOを主成分とするRISCに取り込まれ、標的ウイルスmRNAの特異的分解へと導きます。植物病原糸状菌は、ウイルス/宿主の相互作用、ヴァイロコントロール(ウイルスを利用した生物防除)の研究の対象として最近注目されています。筆者らは、世界3大樹病の一つクリ胴枯病の病原糸状菌のDicerが、上記の抗ウイルスRNAiの主役として機能する以外に、病徴の軽減に関わる宿主遺伝子の転写にも関与することを見出しました。

クリ胴枯病菌では、ウイルス感知後Dicer、AGO遺伝子を含むRNAi関連遺伝子の転写が亢進されます。筆者らは、抗ウイルスRNAiの転写調節機構に関わる宿主因子の探索を進め、転写コアクティベーターSAGA複合体(ヒストンアセチル化酵素モデュール)が必須であることを明らかにしました。パン酵母での研究から、SAGA複合体は、全遺伝子の10%以上の遺伝子の転写調節に関わることが知られていました。筆者らもトランスクリプトーム解析を進め、非感染時に比べウイルス感染により10倍以上転写がSAGA制御下で促進される144個の宿主遺伝子を同定しました。興味深いことに、これらの遺伝子の転写誘導には、SAGAの他にDicerも不可欠であることが判明しました。8個の誘導される遺伝子の破壊株をそれぞれ作成し、ウイルス複製と病徴発現への影響を調べました。その結果、ウイルス複製への影響は認められませんでしたが、破壊株のいくつか(アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子破壊株等)が野生型に比べ病徴の激化(生育の低下)を示しました。
これらの結果は、Dicerが抗ウイルスRNAiの鍵役者としてウイルス複製の抑制だけではなく、病徴の軽減に関与する宿主遺伝子の転写調節にも貢献することを示しています。

多層性抗ウイルス防御機構で働くクリ胴枯病菌のDicer (DCL2)の役割

多層性抗ウイルス防御機構で働くクリ胴枯病菌のDicer (DCL2)の役割

社会との連携


オオムギによる災害被災地の復興にむけて

東松島市の津波被災農地および倉敷市真備町の水害農地に岡山大学資源植物科学研究所が保有する遺伝資源を活用して育成したビール醸造用オオムギ品種を栽培しました。生産物は地元のビールメーカーが地ビールの原料麦芽として活用し、復興支援ビールの醸造を進めています。

東松島市の津波被災地で栽培したオオムギ

東松島市の津波被災地で栽培したオオムギ

研究所・研究センター一覧

Links

文部科学省日本学術会議国立大学共同利用・共同研究拠点協議会janulogo300-80