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岡山大学異分野基礎科学研究所

Research Institute for Interdisciplinary Science, Okayama University
  • 第1部会

研究所・センターの概要


所長
高橋 裕一郎
Takahashi, Yuichiro
キーワード
数理科学、量子宇宙、光合成、進化、構造生物学、錯体化学、超伝導、有機エレクトロニクス材料、理論科学
住所
〒700-8530
岡山市北区津島中三丁目1番1号
従来の研究分野間の壁を乗り越える新しい学問体系の構築を目指す

異分野基礎科学研究所は、岡山大学においてこれまで活発に展開されてきた量子宇宙研究、光合成・構造生物学研究ならびに超伝導・機能材料研究を、統一的かつ組織的に遂行するために2016年(平成28年)に岡山大学に設置された新しい研究所です。上記の研究テーマは、素粒子物理学、生物科学、固体物理・材料科学の研究者によって、それぞれ独立に取り組まれてきましたが、本研究所では異なる分野の研究者の視点を融合して新たな学問体系を構築することを目指しています。本研究所を構成する研究者は、数学、物理学、化学、生物科学と多岐にわたっており、それぞれの研究分野の深化発展と、異分野融合研究を推進することを目標としています。また、国際的な共同研究体制を構築するために、海外との共同研究の推進に加えて、外国人研究者の主導する2つの研究グループを設置し、研究展開を図っております。

令和元年度の研究活動内容及び成果


自然界で最小の励起エネルギーをもつ原子核状態の人工的生成に成功-超精密「原子核時計」の実現に大きく前進-

自然界には約3300種以上の原子核が存在しますが、この中で最小の励起エネルギーをもつ原子核がトリウム229です。この励起状態(アイソマー状態と呼ばれる)は、レーザーを用いて励起することができる唯一の原子核励起状態であり、これとレーザーを組み合わせることにより超精密時計(”原子核時計”)を実現することが可能となります。またトリウム229は宇宙膨張の謎の解明など、基礎物理研究の舞台(プラットフォーム)としても有益であると予想されています。
トリウム229アイソマー状態に関する研究は40年以上にわたる歴史を持ちますが、大まかなエネルギー準位はわかっているものの、いまだレーザー励起には成功していません。困難な理由の一つが、この状態の生成方法にありました。すなわち、これまではウランからの放射線に伴う複雑な崩壊を利用する以外にその生成手段が存在しませんでした。
異分野基礎科学研究所の吉村浩司教授らの研究グループは、産業技術総合研究所、理化学研究所、大阪大学、京都大学、東北大学、ウィーン工科大学および高輝度光科学研究センター(JASRI)と共同で、世界で初めてアイソマー状態を人工的に生成することに成功しました。本方法は大型放射光施設(SPring-8)の高輝度X線を用いるもので、放射線の少ないクリーンな環境下でアイソマー状態を自在に生成できるという利点があります。これによりアイソマー状態の研究が進展し、原子核時計の実現に向けて大きく前進するものと期待されます。
本研究成果は英国時間2019年(令和元年)9月11日午後6時(日本時間9月12日午前2時)、英国学術雑誌「Nature」のオンライン版に掲載されました。

トリウム229準位図(関係する基底状態及び励起状態)①‐②の順番でアイソマーを生成。今後は③に示したアイソマー状態からの光遷移を観測する計画。

トリウム229準位図(関係する基底状態及び励起状態)①‐②の順番でアイソマーを生成。今後は③に示したアイソマー状態からの光遷移を観測する計画。

共鳴曲線(原子核共鳴散乱法によるトリウム229第二励起状態への遷移を確認。

共鳴曲線(原子核共鳴散乱法によるトリウム229第二励起状態への遷移を確認。

社会との連携


夏休みの時期に開催する高校生向けのオープンキャンパスを通じて研究所の広報活動に努めるほか,高校生の施設見学などを積極的に受け入れています。また,一般市民向けの公開講座や高校への出前授業を通じて,自然科学の知の発信に努めています。
2019年度(令和元年度)は『物質の創り出す「すごい世界」』と題して,一般の方を対象とした公開講座を開講しました。

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