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富山大学和漢医薬学総合研究所

Institute of Natural Medicine, University of Toyama
  • 第2部会

研究所・センターの概要


所長
早川 芳弘
Hayakawa, Yoshihiro
キーワード
漢方医学、伝統医学、病態薬効解析、生薬・天然物分析、データベース
住所
〒930-0194
富山市杉谷2630

「くすりの富山」の伝統を背景に設立された本研究所は,近年著しく発展した先端科学技術を駆使することにより,伝統医学・伝統薬物を科学的に研究し,東洋医学と西洋医学の融合を図り,新しい医薬学体系の構築と自然環境の保全を含めた全人的医療の確立に貢献することを使命としています。特に,世界的に問題になっている高齢化の進行,多因子性疾患の増加,及び天然資源の枯渇に鑑み,本研究所では令和2年度から重点研究プロジェクト(高齢者疾患対策研究,代謝・免疫疾患対策研究,未病医療・創薬研究及び資源開発研究[令和4年度現在])を推進し,その成果を社会実装することを目指しています。これらの目標を達成するための組織として,3部門5分野,1センター,1資料館からなり,これらが互いに連携し,東西医薬学の融合を基盤とした次世代型医療科学を創生して,健康長寿社会の形成に貢献することを目指します。

令和3年度の研究活動内容及び成果


沈香の香り成分を生み出す重要な酵素を発見

本研究所の森田洋行教授らの研究グループは,東京大学,北京中医薬大学,北京大学の研究グループとの共同研究により,沈香の香り成分を生み出すために重要な酵素を世界で初めて明らかにしました。
沈香は高級香木として重宝されていますが,その香り成分は,沈香の基になる牙香樹等の植物が細菌等によって自分の木部を侵されたとき,その防御策としてダメージ部の内部に樹脂を分泌,蓄積されるのが特徴です。沈香の人工栽培も試みられていますが,実用的な栽培方法は今のところありません。今回,研究グループは,牙香樹の培養細胞のゲノム遺伝子から香り成分の生産に関わると考えられる酵素の候補遺伝子を見い出し,そして,その酵素の役割を詳細に検証することで,沈香の香り成分の生産に関わる重要な酵素を明らかにしました。今回の研究成果で明らかになった酵素の遺伝子の発現を詳細にモニタリングしながら,それらがよく発現するストレス条件を検討して明らかにしていくことで,それらの香り成分を高含量で生産する人工沈香の開発に繋がる可能性があります。

社会との連携


本研究所・和漢医薬教育研修センターの柴原直利教授が富山大学公開講座「健康と漢方医学」を企画し,健康長寿社会の実現に向け,地域社会や一般市民等に漢方医学の知識の普及を図っています。
市民のニーズにもマッチしており,10代から70代までの幅広い世代の32名が受講しました。
また,富山市教育委員会市民学習センター主催の富山市民大学講座「生活医学薬学を学ぶ」において本研究所の教員7名が和漢医薬学に関する講義を実施しました。

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