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富山大学和漢医薬学総合研究所

Institute of Natural Medicine, University of Toyama
  • 第2部会

研究所・センターの概要


所長
早川 芳弘
Hayakawa, Yoshihiro
キーワード
漢方医学、伝統医学、病態薬効解析、生薬・天然物分析、データベース
住所
〒930-0194
富山市杉谷2630
新生・和漢医薬学総合研究所の使命

「くすりの富山」の伝統を背景に設立された本研究所は、近年著しく発展した先端科学技術を駆使することにより、伝統医学・伝統薬物を科学的に研究し、東洋医学と西洋医学の融合を図り、新しい医薬学体系の構築と自然環境の保全を含めた全人的医療の確立に貢献することを使命としています。近年、世界的に問題になっている高齢化の進行、多因子性疾患の増加、及び天然資源の枯渇に鑑み、新たに3重点研究プロジェクト(高齢者疾患対策研究、未病・予防先制医療研究、資源開発研究)を定め、推進し、その成果を社会実装するための組織へと2020年4月に改組しました。新体制は3部門5分野、1センター、1資料館からなり、これらが互いに連携し、東西医薬学の融合を基盤とした次世代型医療科学を創生して、健康長寿社会の形成に貢献することを目指しています。

令和2年度の研究活動内容及び成果


和漢薬のニクジュヨウエキスの臨床研究にて ロコモティブシンドロームの歩行機能を改善

本研究所・神経機能学領域の稲田祐奈助教、楊熙蒙助教、東田千尋教授の研究グループでは、ロコモティブシンドローム(*)傾向のある被験者を対象に、生薬のニクジュヨウのエキスの効果を検討し、12週間の投与によって歩行機能の改善がみられる知見を得ました。
研究グループはこれまでに、モデルマウスを用いた研究により、骨格筋に投射する軸索の伸展を促して骨格筋萎縮を改善し、骨格筋機能改善作用を示す和漢薬としてニクジュヨウを同定していました。そこで本研究ではヒトでの効果を検証するため、臨床研究として「ロコモティブシンドロームに対するニクジュヨウエキスの予防及び改善効果の研究」を行いました。
40歳以上80歳以下の方で、“運動器疾患”あるいは“運動器疾患の予兆”を示唆する、ロコチェック7項目のうち一つ以上該当する方など、適格基準に合致した被験者を、ランダムに2群に分けて、二重盲検法によって、プラセボ(偽薬)またはニクジュヨウエキスのどちらかを12週間服用しました。飲む前と後において、四肢の筋肉量の測定、握力、立ち上がりテスト、2ステップテスト、5 m歩行テスト、ロコモ25の解析を行いました。
60歳以上または65歳以上の層別解析において、プラセボ群と比較してニクジュヨウエキスの投与群では、2ステップテストにおける歩幅の増加が有意に示されました(図1)。また、2ステップテストでの歩幅と、5 m歩行テストによる歩行スピードの両方を改善する人数が、60歳以上において、ニクジュヨウ投与群で有意に多いことが示されました(図2)。また、血液検査においても自覚アンケートにおいても、ニクジュヨウエキス投与による副作用は検出されませんでした。

図1

図1

図2

図2

社会との連携


本研究所・和漢医薬教育研修センターの柴原直利教授が富山大学公開講座「健康と漢方医学」を企画し、健康長寿社会の実現に向け、地域社会や一般市民等に漢方医学の知識の普及を図っています。
市民のニーズにもマッチしており、25名が受講しました。
また、富山市教育委員会市民学習センター主催の富山市民大学講座「生活医学薬学を学ぶ」において本研究所の教員4名が和漢医薬学に関する講義を実施しました。

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