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大阪大学蛋白質研究所

Institute for Protein Research, The University of Osaka
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
栗栖 源嗣
Kurisu, Genji
キーワード
蛋白質科学、構造生物学、基礎生物学、蛋白質合成・デザイン、 システム生物学、蛋白質情報科学
住所
〒565-0871
大阪府吹田市山田丘3-2
理学、医学、情報科学にまたがる蛋白質生命科学研究の実施と蛋白質研究共同利用・共同研究の拠点活動の推進

蛋白質研究所は、蛋白質の基礎研究を通じての生命現象の原理解明を使命として、1958年に大阪大学の理学部と医学部が母体となり全国共同利用型の附置研究所として創設されました。その後、蛋白質研究共同利用・共同研究拠点として文部科学省から認定を受け、SPring-8の放射光ビームライン、超高磁場核磁気共鳴(NMR)装置群、最先端クライオ電子顕微鏡等の大型計測設備の共同利用、蛋白質構造データバンク(Protein Data Bank; PDB)の構築・公開を介した蛋白質情報の発信を行っています。現在では、さらに、動植物における蛋白質機能解析研究、合成・デザイン技術の開発、蛋白質情報科学、イン・シリコ創薬へと研究活動を広め、ダイバーシティに富んだ蛋白質研究体制を所内に構築しています。共同研究員制度による招聘や蛋白研セミナーの開催を通じて、国内だけでなく海外も含めた研究コミュニティの発展に貢献し、蛋白質を中心とした統合的な生命科学研究を推進しています。

令和6年度の研究活動内容及び成果


  • ロート製薬(株)との共同研究
    「~大阪大学蛋白質研究所との共同研究成果~データサイエンスの活用により皮膚老化に対し効果的な因子がトロンボスポンジン-1(THBS1)であることが判明
    THBS1が皮膚老化により活性化するTGFβを制御」(『iScience』オンライン発表)

  • 豊橋技術科学大学、東京薬科大学、佐賀大学、金沢大学、自治医科大学、東京都立大学との共同研究
    「光合成を調節する光スイッチの動作するしくみを解明」(『Science Advances』に発表)

  • 東京大学、産業技術総合研究所らとの共同研究
    「細胞内の熱が神経分化を駆動する ―自ら作りだす細胞内の熱が神経再生の鍵である―」(『Nature Communications』に発表)

  • 京都大学 iPS細胞研究所らとの共同研究
    「ヘパラン硫酸鎖が結合された次世代型合成細胞外マトリックスを用いて、高効率な骨格筋幹細胞の誘導を実現」(『Advanced Science』に発表)

  • 関西学院大学、バーゼル大学、グルノーブル・アルプ大学らとの共同研究
    「海洋性珪藻類が行う高効率CO2固定を可能にするタンパク質を発見 ―ゲノム編集とクライオ電子顕微鏡で解明する葉緑体ピレノイド構造の謎―」(『Cell』に発表)

  • 理化学研究所、静岡県立大学らとの共同研究
    「鉄硫黄タンパク質が触媒する[4+2]環化付加反応 -多様なルイス酸触媒の設計の有望な出発点に-」(『Nature Communications』に発表)

  • 東京薬科大学、豊橋技術科学大学、東京大学らとの共同研究
    「プラス電荷を失ったリシン側鎖がつくる新規な水素結合の発見 -リシンについて教科書の常識を見直す。新たな分子間相互作用から創薬へ-」
    (『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要)』に発表)

  • 京都大学、岡山大学、京都工芸繊維大学らとの共同研究
    「クライオ電子顕微鏡による小胞型モノアミン輸送体の分子基盤解明 ―シナプス小胞における神経伝達物質の輸送機構を可視化―」(『Nature Communications』に発表)

  • 「網膜色素変性症をはじめとした繊毛病(希少難病)の治療法開発に道 ―根本的治療法がなかった難病の治療薬候補を発見―」(『Life Science Alliance』に発表)

  • 大阪公立大学らとの共同研究
    「太陽光捕集メカニズムの解明へ一歩前進!人工的な光合成アンテナの構造解析に成功」(『PNAS Nexus』に発表)

  • 金沢大学、シンガポール国立大学との共同研究
    「「分子の拡散」と「細胞の接着」の組み合わせが,新たな細胞領域を作り出す!~三次元空間で組織パターン形成過程を再現~」(『EMBO Reports』に発表)

  • 医薬基盤・健康・栄養研究所らとの共同研究
    「脳内炎症と統合失調症とをつなぐ新たな分子を発見~未だ根本的な治療法の存在しない統合失調症の原因を解明する新たなモデルマウスとして期待~」(『Translational Psychiatry』に発表)

  • 東北大学との共同研究
    「遺伝子変異とタンパク質の立体構造をつなぐ新しいポータルサイトを公開!~創薬への応用に期待~」日本蛋白質構造データバンク(Protein Data Bank Japan :PDBj)

  • キリンホールディングス株式会社、静岡大学、自然科学研究機構との共同研究
    「PETを高効率で分解するケミカルリサイクル技術を開発、廃繊維中のPETも循環可能に
    ~混紡繊維中のPET分解率が世界最高値の90%、ペットボトルのPET分解量が28倍に向上~」(キリンホールディングス株式会社Webサイトに発表)

  • 農研機構、九州大学、東京歯科大学短期大学、筑波大学との共同研究
    「甘い味がする新規の香気成分の発見と甘さを感じる仕組みの解明 ― より自然な甘味の実現に向けて ―」(『Scientific Reports』に発表)

  • 久留米大学、京都大学、千葉大学、京都工芸繊維大学らとの共同研究
    「がん悪液質治療薬アナモレリンが結合したグレリン受容体構造を解明
    創薬、個別化医療への道を拓く構造・薬理学情報を拡充」(『Nature Structural & Molecular Biology』に発表)

  • 京都府立医科大学、国立感染症研究所との共同研究
    「MERSコロナウイルスに対する高親和性DPP4製剤を開発
    将来のMERSパンデミックに向けて治療効果が期待される」(『Cell Biomaterials』に発表)

  • 横浜市立大学、京都大学、東北大学との共同研究
    「分解酵素は細胞膜の中でタンパク質をヘッドロックして切断する〜基質と結合した膜内タンパク質分解酵素の立体構造を解明〜」(『Science Advances』に発表)

  • 「数滴の血液でAIが見抜く、あなたの本当の健康年齢 ―未来を予測する新手法―」(『Science Advances』に発表)

  • 京都工芸繊維大学、広島大学、東京大学との共同研究
    「カーボン量子ドットが切り拓く「細胞温度計測」:細胞内の微小な温度変化を検出」(『Nano Letters』に発表)

  • 北海道大学、京都大学らの共同研究
    「狂犬病ウイルスが標的とする、四量体pY-STAT1の構造を初めて解明
    ~STATファミリーに関する新知見の提供及び、狂犬病に対するワクチン開発の貢献に期待~」(『Science Signaling誌』に発表)

  • 横浜市立大学、Aarhus大学、Nebraska大学らとの共同研究
    「ワニはどうして長時間水に潜れるのか?~クライオ電子顕微鏡によってワニのヘモグロビンのもつ特徴的なアロステリック制御のしくみを解明~」(『Nature Communications』に発表)

 

社会との連携


先端的研究施設の共用促進と医療・産業利用を目指した共同研究

先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業、創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)などの事業を推進し、国内外のアカデミアおよび企業研究者への研究成果の普及を行っています。また、平成28年4月より(株)ニッピによる「マトリクソーム科学(ニッピ)」寄附研究部門を設立し、iPS細胞等の培養に必須の接着蛋白質ラミニンの大量生産方法を確立するなど、蛋白質研究所ならではの産学連携を深めています。
さらに、蛋白質結晶解析を効率化するタグ、固体NMRの感度を1,000倍に向上させるDNP法等の蛋白質計測・解析技術の開発に加え、高感度の細胞内温度イメージング技術、細胞の運命の制御を目指した遺伝子回路設計技術、イン・シリコ創薬基盤の構築、動植物における遺伝子機能解析技術等、蛋白質研究を応用に導くための最先端の解析技術の開発を行い、産業界との共同研究を幅広く進めています。

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