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大阪大学接合科学研究所

Joining and Welding Research Institute, The University of Osaka
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
藤井 英俊
Fujii, Hidetoshi
キーワード
接合科学、分離科学、積層造形技術、ものづくり基盤技術
住所
〒567-0047
大阪府茨木市美穂ヶ丘11-1
接合技術に関する我が国唯一の拠点研究機関

接合科学研究所は、「ものづくり」に欠かせない接合技術のイノベーション創出を通して、人類社会に貢献することを目指す、我が国で唯一、世界屈指の接合科学に関する総合研究所です。我が国の高度経済成長期に溶接工学関連の研究者・技術者の強い要望に応えた日本学術会議の勧告に基づき、1972年に大阪大学の独立した部局として「溶接工学研究所」が設立されました。これは、工学系で我が国初の全国共同利用研究所として、溶接工学に関する総合研究を目的とするものでした。そして、科学技術の着実な進歩と発展、ものづくりの変革とグローバル化の大きな潮流の中で、「つなぐ」ことへの産業界の要望と期待がより高度に多様化された結果、1996年に「接合科学研究所」に改組・改称されました。2009年には文部科学省から「接合科学共同利用・共同研究拠点」として認定され、国内外の大学・中立機関と共同研究ならびに拠点間連携研究を推進するとともに、3つの協働研究所、1つの共同研究部門などと連携して産学共創事業を展開しています。現在は、次世代AM(3Dプリンティング)センターである多次元造形研究センターを設置し、当該分野において世界をリードしています。このような強みを生かし、関連分野の研究者コミュニティに開かれた世界の中核拠点としての役割を果たしつつ、国際社会で活躍できるグローバル人材の育成を図っています。

令和6年度の研究活動内容及び成果


拠点間連携・国際産学共同研究の推進と世界に通じるグローバル人材育成

拠点間連携では、5大学6研究所(本研究所、東北大学金属材料研究所、東京科学大学・フロンティア材料研究所、生体材料工学研究所、名古屋大学未来材料・システム研究所、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構)が参画する「マテリアル革新力強化のための5大学6研究所間連携体制の構築(コア出島・マルチ出島)」事業が2022年に開始しました。世界屈指の異分野融合連携研究体制を構築し、社会的要求を起点とする課題解決とイノベーション創出の加速化を通じて、共同利用・共同研究拠点間連携の新時代を創造することを目的としています。他方、国際的な拠点活動の観点では、接合科学共同利用・共同研究拠点の国際共同研究員制度(JIJReC)、グローバルD&I推進室をエンジンとして、接合科学共同利用・共同研究拠点のネットワーク(海外57機関)、JWRIオフィス(10機関)、国際ジョイントラボ(8機関)などを核にして活動を行ってきました。
特に、ベトナムにおいては、2018年11月に発足した「大阪大学接合科学研究所ベトナム溶接研究会」を活用しながら、これらの活動が実を結び、2023年1月には、ハノイ工科大学(ベトナム)に接合科学研究所HUST-OU(接合研ASEAN戦略拠点)を設置しました。ハノイ工科大学、本研究所と民間企業による国際産学連携の基盤を整備することで、現在では、在ベトナム日系企業を中心に民間企業56社が当研究会に参画しています。

接合研活動図2025

接合研活動図2025

JWRIオフィス

JWRIオフィス

 

社会との連携


ものづくり産業を支える溶接・接合技術のイノベーション創出

■イノベーションの創出と展開

「ものづくり」の基盤となる溶接・接合技術の学理を極める世界屈指の国際研究拠点としての強みを生かし、共同研究および拠点間連携研究から生まれる革新的な技術シーズの創出と産業展開を図るため、産官学等の戦略的連携・共創を強化し、新たな価値創出に繋がるイノベーションを展開しています。とりわけ、「産」と「学」が組織的に連携して共に「新たな知」を創造する産学共創の場として、3協働研究所および1共同研究部門の体制を整え、ニューノーマルものづくりコンソーシアム室を設け、基礎研究から社会実装まで切れ目なくスピーディに実行できる体制となっています。
また、次世代AM(3Dプリンター)センターである多次元造形研究センター1号館を改修し、22部屋のオープンスペースを設けました。経済安全保障重要技術育成プログラムにも採択され、青色マルチビームレーザを用いたAM技術など、当該分野において世界をリードする最先端の技術を多数開発しています。加えて、日本溶接協会と連携することで、AMに関するデータベース、規格、認証を担う唯一の機関として積極的に活動を行っています。

■研究成果等の公開・社会への発信

共同研究成果は、産学連携シンポジウムや、接合科学共同利用・共同研究拠点で取り上げた課題(先導的重点課題)をメインテーマとした東京セミナーを開催して、社会に発信・公開しています。特に、産学連携シンポジウムは、地域コミュニティとの連携を促進するため、研究シーズを発信するとともに、産業界のニーズを捉えた実社会とのマッチングを図っています。また、技術者向けの教材として、デジタル・コミック「浪速博士の溶接がってん!R」を本研究所が企画、制作に協力し、(一社)日本溶接協会が配信しています。スマートフォンやタブレット端末でも閲覧可能なため、溶接に関わる技術者・研究者の初学者向け教材として好評を博しています。
接合科学研究所で開発した固相抵抗スポット接合(CSJ)は、JST新技術説明会で説明させて頂きましたが、動画のアクセス数が、全領域のおよそ2000件の中でトップとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ybW2uMjFE9U&list=PLgOnCE9KusCOd8WnIia9dL5Kw4LgrHbmw&index=3
この技術は、上述の3つの協働研究所(ダイヘン溶接・接合協同研究所、日本製鉄ものづくり未来協働研究所、Honda-大阪大学接合科学ものづくり協働研究所)とともに、実用化に向けて継続的に研究を行っています

改修された多次元造形研究センター1号館

改修された多次元造形研究センター1号館

JST新技術説明会でアクセス数トップの「固相抵抗スポット接合」

JST新技術説明会でアクセス数トップの「固相抵抗スポット接合」

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