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名古屋大学環境医学研究所

Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University
  • 第2部会

研究所・センターの概要


所長
山中 宏二
Yamanaka, Koji
キーワード
次世代創薬、ストレス受容・応答、生体適応・防御、新規治療法・予防法、心血管、脳神経系、内分泌、代謝、ゲノム制御
住所
〒464-8601
愛知県名古屋市千種区不老町

環境医学研究所は名古屋大学で最も長い歴史を持つ研究所(1946年創設)です。これまで特殊な物理・化学環境に対する生体の適応とその破綻の仕組みを解明するために、航空・宇宙関連の「特殊環境医学」や「近未来環境医学」に関する研究を行ってきましたが、その到達点として基礎医学・疾患病態研究と次世代創薬技術の開発を目指す研究へとシフトしています。これに伴って、二つの研究部門(I. ストレス受容・応答、II. 生態適応・防御)に加えて「次世代創薬研究センター」を立ち上げ、先進製薬企業との連携による次世代型創薬を目指す産学協同研究部門を開設、アカデミアでは持ち得ない様々な創薬研究ファシリティーを利用できる環境を構築して様々な健康障害に対して有効な予防法・治療法を確立することを目標に実践的創薬開発を目指して研究を行っています。

平成28年度の研究活動内容及び成果


神経難病ALSの病態メカニズムの解明:小胞体・ミトコンドリア接触部の崩壊が発症の鍵

ALS(筋萎縮性側索硬化症)は運動神経細胞が選択的に傷害される神経難病です。多くは50代以降に発症し、数年内に全身の筋肉を動かすことが困難になります。現在まで有効な治療法は少なく、その効果も極めて限定的であるため、ALS病態の理解に基づいた、新しい治療法の開発が待ち望まれています。

ALSのほとんどは遺伝的背景をもたない孤発性ですが、一部は家族性に発症し、現在までに20種類以上の様々な遺伝子が家族性ALSの原因として報告されています。しかし、これらの家族性ALS、ひいては孤発性ALSで共通して運動神経細胞が傷害される原因はなにか、という点については、よくわかっていませんでした。この問題に答えるため、私達はSOD1遺伝子の変異による家族性ALS(ALS1)とSIGMAR1遺伝子の変異による家族性ALS(ALS16)における共通の病態メカニズムを探索しました。その結果、2つのALSの運動神経細胞では共通して小胞体とミトコンドリアの接触部:「小胞体・ミトコンドリア膜間領域(MAM)」と呼ばれる領域が崩壊していることを発見しました。さらにMAMの破綻は、運動神経細胞で選択的に発現するタンパク質(IP3R3)の機能異常を通じて、神経細胞死を引き起こすことも見出しました。異なる2種類の家族性ALSで共通してMAMの破綻が運動神経細胞の傷害につながっていたことから、MAMの破綻は多くのALSで共通した病態メカニズムであることが示唆されました。

本研究成果により、今後はMAMの機能維持を標的として、孤発性も含めた幅広いALSに対して有効な治療法の開発につながるものと期待されます。
(Watanabe et al. (2016) EMBO Molecular Medicine, 8(12): 1421-1437.)

社会との連携


先端研究を社会へ

■企業との連携

環境医学研究所は複数の製薬企業や医療機器メーカーとの共同研究、共同開発を推進し、私たちが保有する技術や知財の実用化を通して社会還元を図っています。その成果としてこれまでに複数の創薬ベンチャーや医療関連技術ベンチャー企業を排出してきました。

■市民との対話

私たちは毎年市民公開講座や研究所公開を実施して研究所で行われている先端研究を市民の皆様にわかりやすく説明しております。また、大学が実施する各種公開セミナーにも積極的に協力し、いずれも好評をいただいております。

 

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