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名古屋大学環境医学研究所

Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University
  • 第2部会

研究所・センターの概要


所長
山中 宏二
Yamanaka, Koji
キーワード
次世代創薬、ストレス受容・応答、生体適応・防御、新規治療法・予防法、心血管、脳神経系、内分泌、代謝、ゲノム制御
住所
〒464-8601
愛知県名古屋市千種区不老町

環境医学研究所は名古屋大学で最も長い歴史を持つ研究所(1946年創設)です。これまで特殊な物理・化学環境に対する生体の適応とその破綻の仕組みを解明するために、航空・宇宙関連の「特殊環境医学」や「近未来環境医学」に関する研究を行ってきましたが、その到達点として基礎医学・疾患病態研究と次世代創薬技術の開発を目指す研究へとシフトしています。これに伴って、二つの研究部門(I. ストレス受容・応答、II. 生態適応・防御)に加えて「次世代創薬研究センター」と「産学協同研究センター」を立ち上げ、先進製薬企業との連携による次世代型創薬を目指し、アカデミアでは持ち得ない様々な創薬研究ファシリティーを利用できる環境を構築して様々な健康障害に対して有効な予防法・治療法を確立することを目標に実践的創薬開発を目指して研究を行っています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


「“エレクトロニクスフリー”な人工膵臓を開発」
―血糖値の変化を検知して、自律的にインスリンを放出―

近年、糖尿病に対するインスリン治療においてインスリンポンプの普及が進んでいますが、患者に及ぼす身体的・心理的負担や機械特有の補正・メンテナンスの必要性、医療経済上の問題など多くの課題があります。このため、エレクトロニクス(機械や電気)駆動を必要としない、自律型のインスリンポンプである「人工膵臓」の創出が強く求められています。従来、グルコースオキシダーゼやレクチン等のタンパク質を基材とする試みがなされてきましたが、生体由来材料の限界として、タンパク質変性に伴う不安定性や毒性が不可避であり、未だ実用化には至っていません。

 本研究では、タンパク質を一切使用しない、完全合成材料のみによるアプローチを考案しました。グルコースと可逆的に結合するボロン酸を高分子ゲルに化学的に組み込み、さらにこれを一本のカテーテルに搭載することで、皮下挿入が容易で、かつ「人工膵臓」機能を発揮する自律型のインスリン供給デバイスの開発に成功しました。実際、健常および糖尿病モデルマウスの皮下に当該デバイスを留置することにより、「クローズド・ループ型」のインスリン供給を達成しました。即ち、連続的な血糖値検知と血糖値変動に応答した拡散制御(スマートゲル表面で形成される「スキン層」と呼ばれる含水率変化)からなるフィードバック機構によりインスリン供給が調整されます。その結果、1型糖尿病(インスリン欠乏状態)および2型糖尿病(インスリン抵抗性状態)のいずれの病態においても、当該デバイスが3週間以上の持続性を持って、糖代謝を良好に制御することを実証しました。

 糖尿病におけるアンメットメディカルニーズ(低血糖の回避、血糖値スパイクの改善、患者負担の軽減)の解決に加え、「機械型」のものと比べて極めて安価かつ使用負担が軽減されることになるため、今後臨床応用へ向けた開発的研究が期待されます。
(Matsumoto et al. Sci. Adv, 3(11): eaaq0723, 2017)

人工膵臓デバイスによる安全・安心で快適な糖尿病治療の実現

社会との連携


先端研究を社会へ

■企業との連携
環境医学研究所は複数の製薬企業や医療機器メーカーとの共同研究、共同開発を推進し、私たちが保有する技術や知財の実用化を通して社会還元を図っています。その成果としてこれまでに複数の創薬ベンチャーや医療関連技術ベンチャー企業を排出してきました。

■市民との対話
私たちは毎年市民公開講座や研究所公開を実施して研究所で行われている先端研究を市民の皆様にわかりやすく説明しております。また、大学が実施する各種公開セミナーにも積極的に協力し、いずれも好評をいただいております。

 

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