研究所・研究センター一覧

名古屋大学未来材料・システム研究所

Institute of Materials and Systems for Sustainability, Nagoya University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
岩田 聡
Iwata, Satoshi
キーワード
革新的省エネルギー技術、高度計測技術、次世代半導体材料・デバイス、持続可能な社会のためのシステム技術
住所
〒464-8601
名古屋市千種区不老町

「未来材料・システム研究所」は、持続可能な社会を実現するための材料からシステムまでの幅広い研究課題に対して理工学的見地から取り組んでおり、国内外の多くの研究者と共同研究を行っています。
「未来エレクトロニクス集積研究センター」では、GaN次世代パワーデバイス開発からシステム応用までを視野に入れた研究を、「高度計測技術実践センター」では、電子顕微鏡、素粒子、X線、ナノ加工などを駆使して、基礎学術面から計測に関する研究と人材養成を実践します。
一方、「材料創製部門」では、高性能な断熱材料、熱電・発電・エネルギー変換材料など先端ナノ材料に関する研究を推進します。また、「システム創成部門」では、情報・通信技術の更なる発展に立脚した様々な要素技術がネットワーク化された将来のユビキタス社会におけるエネルギーシステム技術の開発に関する研究を行います。このような教育・研究を通して、人間と自然が調和する豊かな環境調和型社会の実現に貢献していきます。

平成30年度の研究活動内容及び成果


GaNパワーデバイス実現に向けた要素技術開発

低炭素、省エネルギー社会を実現するために、電力損失の大幅低減が可能になる超低損失パワーデバイスの開発が要求されています。GaNは、パワーデバイスの損失を従来と比較して一桁以上低減できる物性を有しています。しかしGaNパワーデバイス実現のためには作製技術に多くの課題があり、その解決が必要です。本研究ではパワーデバイス(図1)の性能を決めるトレンチ形成およびゲート絶縁膜の課題を解決しました。微細トレンチ形成では、底部角を丸くし、かつ側壁の加工ダメージを除去しつつ平坦性を確保する加工方法を開発しました(図2(a))。ゲート絶縁膜では、SiO2 とAl2O3膜の特徴を取り込むため、それぞれを数原子層の厚さで交互に堆積したAlSiOナノ積層膜を開発しました(図2(b))。これらの成果によりGaNパワーデバイスの実現に向け大きな進展を得ることができました。

図1 GaNパワーデバイスの構造。赤矢印は電流の流れを示す。

図1 GaNパワーデバイスの構造。赤矢印は電流の流れを示す。

図2 (a) 開発した手法で作製したトレンチ形状。(b) 原子層堆積法で作製したAlSiOナノ積層膜の構造。

図2 (a) 開発した手法で作製したトレンチ形状。(b) 原子層堆積法で作製したAlSiOナノ積層膜の構造。

 

自動車排気ガス浄化触媒の原子レベルオペランド計測

世界で唯一のガス環境セルを搭載した超高圧電子顕微鏡(反応科学超高圧走査透過型電子顕微鏡(RS-HVSTEM))に、高感度の四重極質量分析計(QMS)をガス環境セル部分に接続し、反応するガス分子や反応の結果生成したガス分子の検出及び分子種特定が可能となる複合装置を開発しました(図3)。
本研究では、浄化が難しいNOxの分解・浄化に注目し、NOガス中でのロジウム(Rh)ナノ粒子の触媒反応中の構造変化を実時間・原子レベルで記録すると共に、質量分析によってそこで実際に分解/生成されているガスを同時に検出することに世界で初めて成功しました。このとき、Rh微粒子の表面では、フラットな結晶面上で酸化膜層の生成・消滅が繰り返し起こり、隣接する低次結晶面が接続する稜部分では激しい原子列の動きが観察されます(図4)。

図3 新たに質量分析計を搭載した反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡(RS-HVSTEM)のブロックダイヤグラム。

図3 新たに質量分析計を搭載した反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡(RS-HVSTEM)のブロックダイヤグラム。

図4 99%Ne-1%NOガス中(ガス圧:30Pa、観察温度500℃)のZrO<sub>2</sub>担持Rhナノ粒子の表面構造変化の様子(上段)とその触媒反応の模式図(下段)。図内の白矢印に注目。

図4 99%Ne-1%NOガス中(ガス圧:30Pa、観察温度500℃)のZrO2担持Rhナノ粒子の表面構造変化の様子(上段)とその触媒反応の模式図(下段)。図内の白矢印に注目。

社会との連携


電力・エネルギーシステム工学に関する国際会議を開催

The 5th International Conference on Power and Energy Systems Engineering(電力・エネルギーシステム工学に関する国際会議:CPESE 2018)を、平成30年9月19日(水)~21日(金)にかけて、名古屋大学にて共催開催した。22ヶ国から79名の参加があり、様々な国の電力・エネルギー需要の特徴を踏まえたシステム制御の提案や省エネルギー性の評価などに関して多くの興味深い研究成果が発表された。本研究所(IMaSS)からも、システム創成部門の加藤丈佳教授、前エネルギーシステム寄附研究部門教授の舟橋俊久氏(現琉球大学客員教授)、IMaSSと学術交流協定を締結したクルディスタン大学工学部の Hassan Bevrani教授らが基調講演者として参加した。

天野浩教授による特別講演会を開催

天野浩教授 特別講演「10年後の未来から、今できることを考える」を平成30年10月20日(土)、名古屋大学ホームカミングデイ企画として開催した。一般市民、卒業生、青色LED基金寄附者など約180名の参加があった。特別講演では、省エネルギー社会を実現するための材料として注目される窒化ガリウム(GaN)について紹介があったほか、参加者から事前にいただいた質問に対し天野教授がユーモアを交えて答えるなど、盛会のうちに終了した。
講演会に引き続き行った、基金寄附者を対象とした懇談会及び施設見学では、青色LED基金事業の活動状況や、今年度完成したエネルギー変換エレクトロニクス実験施設(C-TEFs)についての説明があった。

第1回市民公開講座を開催

第1回市民公開講座「『電気をためる』が世界を変える」を名古屋大学ホームカミングデイ企画として平成30年10月20日(土)に開催した。杉本寄附研究部門教授による「電力システムにおける蓄電装置の役割と今後の展望」に続き、トヨタ自動車株式会社 電池材料技術・研究部担当部長 射場英紀氏から「サステナブルモビリティ実現のための革新型蓄電池への期待」と題した講演が行われた。電力インフラやモビリティに導入されている蓄電池の概要と動向から今後の蓄電技術への期待まで、具体的事例を交えながら紹介された。78名にご参加いただき、講演後は活発な質疑応答が行われた。

第2回エネルギーシステムシンポジウムを開催

第2回エネルギーシステムシンポジウム「電力システムにおいて蓄電池を駆使する技術」を平成30年12月3日に名古屋大学にて行った。電力系統への再生可能エネルギーの導入や、自動車の電動化の進展による電力系統の様々な問題への対策として期待される蓄電池は、社会的コスト低減のために自動車用蓄電池も含めてできる限り多くの用途に適用し、「駆使」する技術が重要となる。
本シンポジウムでは、この観点から、北裕幸北海道大学教授には北海道における蓄エネルギー技術の活用、小田拓也東京工業大学特任教授には電気自動車の充電実態と充放電の誘導制御、太田豊東京都市大学准教授には電力系統側から見た電気自動車用蓄電池の活用、三田裕一電力中央研究所上席研究員には蓄電池の劣化特性・寿命の評価についてご講演いただき、聴講者は82名に及び、活発な討論が行われた。

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