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北海道大学遺伝子病制御研究所

Institute for Genetic Medicine, Hokkaido University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
村上 正晃
Murakami, Masaaki
キーワード
感染癌、免疫学、感染症、腫瘍、炎症、基礎医学、生命科学
住所
〒060-0815
北海道札幌市北区北15条西7丁目
北海道から世界へ―感染癌、免疫、癌を中心に基礎医学、生命科学に新しいコンセプトを切り拓く

遺伝子病制御研究所は、免疫科学研究所と医学部附属癌研究施設が統合され、「遺伝子の異常が関わるヒト疾患の病因、病態解明およびその予防・治療法の開発」を目標として2000年に設置されました。病因、病態、疾患制御、フロンティア研究ユニットなどの5つの大研究部門に渡る13の研究分野、研究室と附属動物実験施設、感染癌研究センター等から構成されています。2008年には「細菌やウイルスの持続性感染により発生する感染癌の先端的研究拠点」(感染癌拠点)として文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定され、2022年度さらに6年間更新されました。感染癌は我が国の癌死亡者の20%以上の原因とされ、感染癌拠点拠点では、新規の革新的な診断法、治療法の開発、より広い研究者のネットワークの形成、さらに新興感染症・新規感染癌への備えが大切で、感染、免疫、癌を含む周辺領域研究からそれらを解決することも研究所の研究目的です。また、国際的に活躍できる若手研究者の育成に取り組み、北海道大学独自のフロンティア精神をもって、独創的な切り口で、基礎医学、生命科学に新しいコンセプトを国際的に切り拓きます。

令和4年度の研究活動内容及び成果


感染癌誘導のプロセスには、少なくとも感染、癌化、免疫反応、感染癌形成、炎症反応があります。そのプロセスの中で、感染癌になる細胞では、染色体構造と転写、細胞分裂、細胞膜性質、オートファジーなどの変容も見られます。遺伝子病制御研究所では、感染癌を引き起こすピロリ菌、肝炎ウイルス、EBウイルスなどを含めこれらの研究課題に対応する第一線の研究者が、基礎研究・応用研究分野で独自のコンセプトを発表し、感染癌の撲滅を目指して日夜研究を実施しています。実際に、これらの研究活動から国際的にもインパクトのある論文を発表して、AMEDムーンショット研究、学術変革領域研究、クレスト研究開発の代表者を輩出し、さらに、北大の機能強化事業である「フォトエキサイトニクス研究拠点」、「若手研究支援事業」などを展開しています。また、国内外の研究者と感染癌と周辺領域の共同研究を実施し、感染癌関連の研究者が集まる共同利用・共同研究拠点シンポジウムを主催して研究者のネットワークの形成を推進しています。遺伝子病制御研究所では、北大病院の研究者と実施した感染癌解析データ、炎症の基盤であるIL-6アンプ関連遺伝子データ、siRNAなどの各種ライブラリー、最先端機器を共同研究者に公開するとともに、社会貢献にもつながる新型コロナウイルス関連の研究も研究所プロジェクト研究として実施しています。令和4年度には、社会問題であるコロナ禍に対応するために引き続き札幌市内の大学機関で唯一の新型コロナウイルスに対するPCR検査のための衛生検査所として活動するとともに、感染癌関連のピロリ菌、肝炎ウイルス、EBウイルス、さらに、社会問題である新型コロナウイルス関連の研究成果として10報以上の論文に報告しました。

全身性エリテマトーデス患者が神経・精神症状を生じる分子機構を解明

遺伝子病制御研究所の研究チームが、⼤学⼤学院医学研究院免疫・代謝内科学教室と共同研究で、正常マウスでは、単独で病態を誘導しない睡眠不⾜による慢性ストレスが、全⾝性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスにて、⼤脳の特定神経核のミクログリア活性化を介したIL-12ファミリーサイトカインの異常産生を引き起こし、それに伴う神経回路の異常活性化の影響で異常⾏動を伴う重症化を引き起こす分⼦機構を解明しました。重要なことに、同様の分子機構が、重症SLE患者である気分障害を持つ精神神経ループス患者に存在することを発見しました。重症SLE患者の中枢神経症状に対する特異的治療としてIL-12/23 シグナル経路を阻害する治療が有効であることが期待されます。

慢性ストレスによる自己免疫疾患「全⾝性エリテマトーデス」の重症化の分子機構

慢性ストレスによる自己免疫疾患「全⾝性エリテマトーデス」の重症化の分子機構

社会との連携


教育、研究活動を通じて社会への還元を目指す

感染癌とその周辺領域である「免疫、癌、感染、炎症など」に主眼を置いた基礎医学や生命科学研究の成果を通じて、感染癌と関連疾患の予防法や治療法を社会に還元することが大きな目標です。研究活動を学生や市民の皆さんに知っていただくため、大学祭に併せて学内の他の研究所、センターと協働して所内一般公開を実施しています。さらに、将来研究者を目指す高校生を対象とした所内見学会、職場体験、小学生を対象とした「北大こども研究所」の開催、幼稚園への寸劇を含む出張授業などを通じて、研究所で実施している研究を広く社会に対して発信しています。また、高大連携の新たな取り組みとして本研究所が主催する北海道大学部局横断シンポジウムのノーベル賞受賞者にて実施される特別講演を(2020年度:梶田隆章先生、2021年度:本庶佑先生、2022年度:大隅良典先生)収録して、北海道内の高校の教材として提供しています。2023年度は、ベンジャミン・リスト北大特任教授の予定でハイブリッド配信します。

大隈良典先生の講演風景

大隈良典先生の講演風景

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