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佐賀大学海洋エネルギー研究所

Institute of Ocean Energy, Saga University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
池上 康之
Ikegami, Yasuyuki
キーワード
海洋エネルギー、海洋温度差発電、波力発電、潮流発電、 洋上風力発電、再生可能エネルギー
住所
本部:〒840-8502 佐賀市本庄町1番地
伊万里サテライト:〒849-4256 伊万里市山代町久原字平尾1-48
久米島サテライト:
〒901-3104 沖縄県島尻郡久米島町真謝500-1 沖縄県海洋深層水研究所内
嬉野サテライト:〒843-0301 佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙2172番地

当研究所の目的は、海洋エネルギーに関する研究教育とその科学技術を戦略的に推進する国際的な先導的中核研究拠点として、海洋エネルギーに関する研究教育を総合的かつ学術的に行い、その研究基盤を確立するとともに、その利用促進に貢献することにより、21世紀の地球規模でのエネルギー問題と環境問題の解決に寄与することです。
特に新しい概念を導入した海洋温度差発電システム、波力発電システム、潮流発電システム、洋上風力発電システムを中心に、「海洋に賦存する膨大な種々のエネルギー及びエネルギー物質の回収とその複合的高度利用法」、「海洋エネルギー利用に関連する海洋環境への影響の解明」などに関して、基礎と応用、実証を目指した研究を行う全国で唯一の研究教育拠点です。
令和4年度から「海洋エネルギー研究センター」を「海洋エネルギー研究所」に名称変更しました。

令和4年度の研究活動内容及び成果


本研究所の長年の「海洋エネルギーの未来を切り開く研究成果と人材育成で世界を牽引」が評価され、令和5年3月に「第15回海洋立国推進功労者内閣総理大臣賞」を受賞しました。
(資料)https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2022/1420210_00005.htm

下記、研究分野の主な研究活動および成果は、下記の通りです。
海洋温度差発電の分野は、JST/JICAによるマレーシア工科大学との地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)どの海洋温度差発電に関する研究開発を推進しています。令和4年度は、SATREPS事業において開発した世界初のハイブリッド海洋温度差発電プラントをマレーシアに輸出し、輸出したプラントは令和5年度からマレーシアで稼働させ共同研究を実施する予定です。なお、研究施設は、マレーシアが建設予定の「UPM/UTM OTEC CENTRE」に設置されます(写真1)
波力発電の分野は、令和4年10月に岡山県玉野市日比港で浮体式波力発電装置の実海域試験を実施しました。装置本体は円筒型で、松江高専開発のタービンを搭載した装置本体は当研究所で設計・開発した当研究所伊万里サテライトの造波水槽でスケール模型を用いた波浪中動力変換実験・運動実験を行って装置本体形状や係留方法を決定しました。(写真2)
潮流発電の分野は、二つのシステムの研究開発を行いました。一つは相反転プロペラ式潮流発電ユニットであり、水中浮遊式の相反転方式潮流発電ユニットの開発を目指してブレードによる姿勢安定化を行いました。また集流装置付き水平軸潮流タービンの研究開発を行っており、反動形タービンの導入を実施しました。
洋上風力発電の分野は、ダウンウインドに関するIEA Wind Task 40の議長として「Downwind Turbine Technologies Technical Report」の最終報告書を発行するなど、本分野で国際的なリーダシップを発揮しています。国内でも、カーボンニュートラルの実現において特に重要視されている洋上風力発電の社会実装の推進に貢献しています。

(写真1) マレーシアに建設予定の海洋温度差発電研究所概念図 (マレーシア、ポートディクソン)

(写真1) マレーシアに建設予定の海洋温度差発電研究所概念図
(マレーシア、ポートディクソン)

(写真2)波力発電の実海域実験

(写真2)波力発電の実海域実験

社会との連携


  1. 国際的な人材育成への貢献を推進するため、『海洋エネルギーに関する国際プラットフォーム人材育成事業』及び『若手研究者のための国際インターンシップ・共同利用支援事業』を実施しました。令和4年度オンライン開催の『第9回海洋エネルギーに関する国際プラットフォーム人材育成事業』では、13カ国から63名が参加し、研究発表と活発な議論が実施されました。また、『若手研究者のための国際インターンシップ・共同利用支援事業』では実際に共同利用施設をリモートで操作し教育を実施しました。『若手研究者のための国際インターンシップ・共同利用支援事業』では、フランスからの若手研究者を支援しました。

    最近10年間の海外からの視察者および共同研究者(77ヶ国 1427名)

    最近10年間の海外からの視察者および共同研究者(77ヶ国 1427名)

  2. 佐賀県再生可能エネルギー等イノベーション共創プラットフォーム(略称 CIREn)
    佐賀県と協力し、オープンイノベーションを基軸に様々な分野の英知を結集させ、再生可能エネルギー等の研究開発や市場開拓を進め、県内の関連産業創出を加速させる取り組みを実施中です。海洋温度差発電分野、洋上風力発電分野、潮流発電分野をはじめ、遠隔監視、電気化学など再生可能エネルギーに関連する産官学が一体化した分科会活動を行いました。

  3. 各研究分野の国際貢献・社会貢献
    海洋温度差発電分野では、アジア開発銀行の「High-Level Investor Forum on The New Ocean Energy Economy」において、本研究所が提案したパラオ共和国での社会実装モデルが高く評価され、入賞しました。
    https://events.development.asia/learning-events/high-level-investor-forum-new-ocean-energy-economy
    波力発電分野では、令和5年3月にマレーシア国 Universiti Sains Malaysia の Centre for Marine and Coastal Studies (CEMACS)において、マレーシア国における波力発電の利用と環境影響評価に関するセミナーを実施しました。海洋工学、土木工学、電気工学、海洋生物学などの研究者が参加し、波力発電の導入とその影響について議論しました。
    潮流発電分野では、日本では最大規模の潮流エネルギーのポテンシャルを有する早崎瀬戸において、潮流発電システムの設置を目指して、一般社団法人の早崎潮流発電推進研究会と連携しており、潮流タービンの実証試験の実施を目指しています。
    上風力発電分野では、九州大学、北九州市立大学と共同で、資源エネルギー庁の洋上風力人材育成事業に採択(当該カテゴリーで唯一)。FY2023からの新講義「洋上風車工学特論」に対して、企業ならびに他大学(教員・ポスドク)から30人強の聴講申請がありました。

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