iPS 細胞研究所(CiRA =サイラ)は、平成22 年4 月にiPS 細胞の基礎研究から臨床研究までをシームレスに推進するために設立されました。現在、未来生命科学開拓部門、増殖分化機構研究部門、臨床応用研究部門、基盤技術研究部門、上廣倫理研究部門の5つの研究部門に分かれ、iPS 細胞技術を創薬や再生医療に応用することを目指した研究に取り組んでいます。また、iPS 細胞に関連する倫理的、社会的、法的課題の解決に向けた研究および対処法の実践を進めています。世界最高水準のiPS 細胞研究拠点として機能し、幹細胞分野をはじめとする学理の探求に貢献するとともに、若手研究者の育成にも努めます。
京都大学iPS細胞研究所は、2021年度に設立11年を迎えました。「iPS細胞およびiPS細胞技術の医療応用」という使命を掲げ、これを念頭に以下の4つの目標を達成することを目指して、研究所一丸となって研究に取り組んでおります。
<CiRA 2030年までの目標>
2021年度は、武田薬品工業株式会社との共同研究プログラムである、T-CiRAにて研究を進めてきた、iPS細胞由来心筋細胞とiPS細胞由来膵島細胞が、再生医療等製品候補としてオリヅルセラピューティクス株式会社(OZTx)に移管されました。今後OZTxにて、重症心不全、糖尿病を対象とした細胞治療の実現に向けた研究開発が加速されます。
11月にはiPS細胞から作成したナチュラルキラー細胞を使って、卵巣がんの治療に関する治験を実施し、一人の患者さんに移植が終了したことを発表いたしました。12月には筋ジストロフィーのゲノム編集治療を目指したmRNAの送達技術の開発について発表しました。iPS細胞を使った再生医療や新しい治療法の開発を着実に進めています。
引き続き世界中が新型コロナウイルスに対峙するなかで、私たちも新型コロナウイルスに対する研究を実施しています。新型コロナウイルスに反応するキラーT細胞に関する研究や、新型コロナウイルスワクチンの効果と年齢差に関する研究など免疫反応に関する研究について公表しました。また、2020年度に作成したACE2発現iPS細胞を利用して、新型コロナウイルスへの感染メカニズムの一端をあきらかにしました。
2022年3月に山中伸弥教授が所長を退任し、4月からは髙橋淳教授が新所長に就任しました。患者さんに一日でも早くiPS細胞技術を届けるべく、所員一同、研究活動に邁進してまいります。今後ともCiRAをご支援賜ますよう心よりお願い申し上げます。
iPS細胞は、今後の医療に大きな影響を与え、誰もがその恩恵をうける可能性のある新しい技術です。そのため、より多くの方々に研究活動について理解していただけるように、ニュースレター、シンポジウム、サイエンス・カフェ、ウェブサイト、SNS等、各種媒体を利用したコミュニケーションに努めています。研究者に向けては、国内外から研究者を招聘し、セミナーを開き研究促進のための意見交換を積極的に行なっています。
2021年度には、一般の方を対象としたシンポジウムをはじめとしたイベントや、研究者を対象とした国際シンポジウムを開催しました。新型コロナウイルスによるパンデミックの影響により、多くがオンラインでの開催となりましたが、一部は感染防止対策をしながらオンサイトで開催することができました。活動が制限されるなか、日本中・世界中から多くの方にご参加いただくことができました。
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