生態学研究センターは、生態学の基礎研究と国際共同研究の推進を目的に、平成3年に全国共同利用施設として設置されました。現在は、生態学・生物多様性科学の共同利用・共同研究拠点として、国内外の研究者が利用できる研究体制を取っています。当センターでは、生物の個体群や群集、生態系など、個体レベル以上の生命現象をさまざまな観点から研究しています。多様な生物が、互いに影響を与えつつも共存している姿を描き出し、生態系が成り立っているプロセスや進化の理解と、我々が生態系から受けているさまざまな恩恵の解明を目指しています。
生態系が地球環境の変化によって大きく変貌しつつある今、卓越したバイオマスを持ち、生態系のエネルギーフローの出発点にある植物の長期応答を理解することは急務です。生物の長期応答には体細胞分裂や世代を超えた細胞レベルのクロマチン記憶が主要な役割を果たします。クロマチン記憶は動物では個体発生に重要であることが知られていますが、興味深いことに植物では個体発生に加え、特定の季節に生殖を行うための長期温度応答の鍵となります。生態学研究センターの分子生態学グループでは、野外植物のクロマチン変化を経時的に調べるというアプローチにより、生殖以外の季節応答においてもクロマチン記憶が関与すること、複数のヒストン修飾がダイナミックに応答することを見出しました。その成果により、令和3年度はCREST「フィールドエピジェネティクス:環境変動下での頑健性の基盤」が1年追加支援となりました。新たな課題は、長期クロマチン記憶における異なる修飾間のクロストークを明らかにすること、また、長期クロマチン記憶の生態機能を明らかにすることです。その解明に向けて令和3年度より特別推進研究「変動環境下での頑健な応答を支える長期クロマチン記憶」が始まりました。
京都大学は、全国各地に数多くの教育研究施設を展開しています。これらの隔地施設は、本学の多様でユニークな教育研究活動の拠点として重要な役割を果たすとともに、施設公開などを通じてそれぞれの地域社会における「京都大学の窓」となっています。これらの施設をそれぞれの地域により溶け込ませるため、京都大学は「京大ウィークス」として各施設を一般公開し、さまざまな公開イベントを行っています。
生態学研究センターは、京大ウィークスの機会を利用して、生態学の入門講座を小中学生や一般市民向けに開催しています。例年、「生態研センターの森の自然観察会」と題した野外の森の観察会を行い、参加者からは大変な好評をいただいています。この企画は、毎年少しずつ工夫をしながら、今後も継続します。
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