研究所・研究センター一覧

京都大学生態学研究センター

Center for Ecological Research, Kyoto University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


センター長
中野 伸一
Nakano, Shin-ichi
キーワード
生態系、生物多様性、生物間相互作用、琵琶湖、熱帯林
住所
〒520-2113
滋賀県大津市平野2丁目509-3

生態学研究センターは、生態学の基礎研究と国際共同研究の推進を目的に、平成3年に全国共同利用施設として設置されました。現在は、生態学・生物多様性科学の共同利用・共同研究拠点として、国内外の研究者が利用できる研究体制を取っています。当センターでは、生物の個体群や群集、生態系など、個体レベル以上の生命現象をさまざまな観点から研究しています。多様な生物が、互いに影響を与えつつも共存している姿を描き出し、生態系が成り立っているプロセスや進化の理解と、我々が生態系から受けているさまざまな恩恵の解明を目指しています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


窒素制限下のツンドラ生態系における植物の窒素利用獲得戦略

ツンドラ生態系は極地域に広がる生態系で、植物や微生物が利用できる窒素が特に少ない生態系として知られています。これまで、植物の窒素源はどの形態の窒素であるかについて研究が行われてきました。植物が利用できる窒素はアンモニウムイオン(NH4+)や硝酸イオン(NO3)と古くから考えられてきましたが、90年代に溶存有機態窒素(DON)が重要な窒素源であることが明らかになりました(Chapin et al. 1993, Nature)。この大きな発見もあって、植物の窒素源判定に関する研究はその後DONとNH4+に集中し、もう一つの窒素源であるはずのNO3については、ツンドラ土壌では生成されず、植物にとって重要ではないと考えられてきました。

 そこで本研究グループは、「ツンドラ生態系ではNO3も重要な窒素源ではないか?土壌中でNO3は生成されると同時に消費されているだけで「見えない」だけではないか?」という仮説を立て、最新の濃度・同位体比測定技術を駆使して検証しました。その結果、土壌中でのNO3生成(硝化)があり、その硝化で生成されたNO3をツンドラ植物が吸収同化(つまりは利用)しているということが明らかになりました。ツンドラ植物にとって見えないNO3が実は重要な窒素源であったことが示唆されることとなりました。

窒素の少ないアラスカツンドラ生態系。ツンドラ植物は観測されなかった土壌中の硝酸イオンを利用していた

社会との連携


京都大学は、全国各地に数多くの教育研究施設を展開しています。これらの隔地施設は、本学の多様でユニークな教育研究活動の拠点として重要な役割を果たすとともに、施設公開などを通じてそれぞれの地域社会における「京都大学の窓」となっています。これらの施設をそれぞれの地域により溶け込ませるため、京都大学は「京大ウィークス」として各施設を一般公開し、さまざまな公開イベントを行っています。

生態学研究センターは、京大ウィークスの機会を利用して、生態学の入門講座を小中学生や一般市民向けに開催しています。例年、「生態研センターの森の自然観察会」と題した野外の森の観察会を行い、参加者からは大変な好評をいただいています。この企画は、毎年少しずつ工夫をしながら、今後も継続します。

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