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京都大学化学研究所

Institute for Chemical Research, Kyoto University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
時任 宣博
Tokitoh, Norihiro
キーワード
化学、元素科学、物性科学、生物・情報学、ビーム科学、および学際プラットフォーム
住所
〒611-0011
京都府宇治市五ケ庄
設立理念「化学に関する特殊事項の学理及びその応用の研究を掌る」を時宜に応じて…

1926年設立の京都大学で最初の附置研究所で、研究教育分野を単純明快に指す研究所名と自負しています。30研究領域(専任教員約90名、大学院学生210名、研究員約60名、別に5客員研究領域)からなる5研究系・3附属センター体制をとっています。化学を中心に物理・生物・情報に及ぶ各研究領域が特徴ある研究を展開する一方、多分野共同体として相互連携も図っています。20104月からは、共同利用・共同研究拠点:拠点名「化学関連分野の深化・連携を基軸とする先端・学際研究拠点」の活動を開始し、国内外との連携研究を推進しています。教育面でも、それぞれの研究領域が理、工、農、薬、医、情報学の各研究科協力講座として有為な若手研究者の育成に努め、学部教育や全学共通教育にも積極的に貢献しています。

平成28年度の研究活動内容及び成果


化学研究所では、基礎研究に重点を置きつつ応用にも目を配り、新分野の開拓に導く研究を展開しています。幅広い研究内容の詳細はウェブサイトに委ね、ここでは最近の成果の一つを特徴的な研究活動として紹介します。

多階層計算による非晶有機薄膜中での電荷輸送解析
~電荷移動度の予測が可能に、また、分子レベルでの詳細な電荷挙動の解析も可能に~

本研究所 梶弘典教授らのグループは、量子化学、分子動力学、モンテカルロ計算を併用した多階層計算により、有機非晶膜中での電荷挙動を分子レベルで明らかにするとともに、電荷移動度を予測することに成功しました。
有機ELは、白色照明やスマートフォンなどのディスプレイへの応用のみならず、我々の日常生活のあらゆる局面で利用可能な、極めて薄くフレキシブルな表示素子です。有機EL中では、注入された電荷が印加電界により輸送されますが、効率よく光るためにはデバイス内部の適切な位置で電荷(正孔と電子)が再結合する必要があります。そのため、基礎科学・実用化の両面で、デバイス中での電荷輸送現象を明らかにすることは極めて重要です。しかし、有機ELは結晶膜ではなく非晶膜からできており、非晶構造すら解明されていない現状で、その電荷輸送特性の予測は困難でした。
今回、我々は、上述の多階層計算により、任意性のある可変パラメータを一切用いることなく、対象となる分子を設定するだけで、有機非晶膜における実測の移動度、また、その電界強度依存を定量的に再現することに成功しました。また、このモデルにより、分子レベルでの電荷の挙動を詳細に調べることも可能としました。

有機分子からなる非晶凝集構造の構築(a)と電荷移動挙動の<em>in silico</em>計算(b, c)。<br />  (b) 電荷移動度 μ の電界強度 F 依存性。以前のモデル(<span style="color: red;">○</span>)では再現されていなかった実測データ(◆)が、今回のモデル(<span style="color: red;">■</span>)で精度よく再現されている。<br>(c) 有機非晶薄膜(100 nm)のx軸方向に0.9 Vおよび16.9 Vの電圧を印加したときの電荷の移動経路。<br>電荷として、ここでは正孔の例を取り上げている。

有機分子からなる非晶凝集構造の構築(a)と電荷移動挙動のin silico計算(b, c)。
(b) 電荷移動度 μ の電界強度 F 依存性。以前のモデル()では再現されていなかった実測データ(◆)が、今回のモデル()で精度よく再現されている。
(c) 有機非晶薄膜(100 nm)のx軸方向に0.9 Vおよび16.9 Vの電圧を印加したときの電荷の移動経路。
電荷として、ここでは正孔の例を取り上げている。

社会との連携


産官学連携・教育支援・研究情報発信

科学技術の高度化・専門分化が加速される中、産業界や官界との研究連携はその意義を一層深めています。本研究所では、多くの受託研究、共同研究などを通じて産官学連携研究の推進に注力しています。また、より広い社会貢献にも積極的で、所外研究者・一般社会人に対しても、秋の宇治キャンパス公開時の公開講演会(第24回[2017年])や研究室公開、12月の化学研究所研究発表会(第117回[2017年])などを開催し、最新の研究成果の発信を行っています。また、「理科離れ」が指摘される中、中等教育への積極的な協力(見学・体験実験の対応や教員の出前授業など)も行っています。毎年夏には、講演・デモ実験・体験実験などからなる「高校生のための化学」(第20回[2017年])を開催し好評を得ています。

高校生のための化学

高校生のための化学

産学交流会(高分子材料設計化学研究領域の施設見学)

産学交流会(高分子材料設計化学研究領域の施設見学)

国際交流

化学研究所では、部局間学術交流協定(平成2811月時点で71件)などを基盤に、多くの海外研究機関と積極的な国際交流を実践してきました。これを一層推進すべく、平成23年度から、若手教員や大学院生などの短期の研究滞在を対象として、当研究所からの派遣と海外からの受入を支援する「化学研究所若手研究者国際短期派遣・受入事業」を実施しています。

谷口卓也(博士課程)@レーゲンスブルグ大学(独)

谷口卓也(博士課程)@レーゲンスブルグ大学(独)

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