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京都大学ヒト行動進化研究センター

Center for the Evolutionary Origins of Human Behavior, Kyoto University
  • 第2部会

研究所・センターの概要


センター長
中村 克樹
Nakamura, Katsuki
キーワード
霊長類学(脳機能、認知機能、生体機構、ゲノム、モデル動物)
住所
〒484-8506
愛知県犬山市官林41-2

ヒト行動進化研究センターは、霊長類研究所の改編に伴い、脳科学研究を主たる内容とし、ヒトの行動特性とその進化の生物学的基盤の究明を目的とする新組織として、令和4(2022)年4月1日に設置されました。進化的にヒトに近縁なサル類を対象とした実験的研究により、ヒトの行動特性とその進化の生物学的基盤を究明することで、世界的に卓越した知の創造を行い、それをもとにヒトの健康や生活様式、さらには人間社会のあり方に対して様々な提言を行うことを目的としています。サル類を対象とした研究の豊富な経験や知識、そして蓄積された多くの研究リソースに立脚した共同研究の場を提供することにより、広く国内外の研究コミュニティに貢献します。また、理学研究科生物科学専攻において、この目的に則した活動を推進し発展させることのできる高度専門性を持つ人材の育成を行います。

令和4年度の研究活動内容及び成果


幾何学的形態計測法(GM)という数理的手法を駆使して、ニホンザルの下顎骨の成長パターンを近縁種であるカニクイザルのものと比較して、ニホンザルらしい下顎のかたちが成長する仕組みを明らかにしました。ニホンザルは硬い食べ物も食べられるよう頑丈な下顎骨をもっていますが、その成体の頑丈な形状は、それが必要となる離乳期にさしかかる頃までの間に、サル類一般にみられる成長パターンとは別の成長の仕組みがはたらいて形成されることを見出しました。本センターが旧霊長類研究所から引き継いだサル類の骨格標本コレクションを利用した研究です。特に、ニホンザルについては世界随一の規模です。

頭皮上から記録する脳波は、脳内の電気活動を無侵襲で観察できる唯一の手段であり、ヒトはもちろん、サルなどにおいても利点の多い脳機能計測法です。ただ、神経科学において小型霊長類のコモンマーセットは頭部が小さく、従来の方法での脳波記録は仮に1、2チャンネルであっても困難で、これまでひとつも成功例はありませんでした。
この問題を解決するため、新潟大学脳研究所の伊藤浩介・准教授および京都大学ヒト行動進化研究センターの中村克樹・教授らのグループは、従来の発想にとらわれない新しい電極設置法を考案し、マーモセットの無侵襲脳波記録に世界で初めて成功しました。

社会との連携


広報活動

研究成果を社会へ還元する目的の一環として、犬山キャンパス一般公開、オープンキャンパス等を通して、講演・実習・演習による研究成果の公表や霊長類学の啓発を毎年実施しています。また、年報を作成し、研究成果や実施した事業の報告を自己点検評価として公開します。

国際化戦略

平成22年に国際共同先端研究センターを設置し、外国人教員を採用するとともに大学院国際コースを実施しています。海外派遣事業等とも連携を図り、国際化を強化し国際共同研究拠点の形成を推進することで、より新しい視点を社会へ還元することを目指します。

教育活動

「京都大学理学研究科霊長類学・野生動物系」の大学院生の定員を持っており、その一部をつかって国際コースを設置しています。それによって大学院生の外国人比率を50%前後に維持しています。リーディング大学院プログラム・オンリーワン型「霊長類学・ワイルドライフサイエンス」が平成25年度から採択されました。それを基盤にして従来の研究者養成に加えて、新たなグローバルな視点を持った博士を輩出することを目指しています。

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